こちらは、AJC(Global Jewish Advocacy)の代表、デービッド・ハリス氏による寄稿です。ケリー国務長官と個人的にも何度も会っているようであり、彼のスピーチが心からのものであることを同情している一方で、現実離れしていることを指摘しています。ケリー氏の指摘は、非軍事化された、民主的なパレスチナ国家ということであれば、可能なのです。けれども、無理な理由が主に二つあります。
①他の周辺アラブ諸国で起こったアラブの春の結末の、後追いをするのではないか?
パレスチナ代表のアッバス議長は、80歳代です。後継者は定めていません。既に西岸で権力闘争が起こっています。ガザ地区はハマスが掌握しましたが、これを機に西岸で力を持つことは十分にあり得ます。自治区が不安定になれば、イスラエルだけでなく、ヨルダンにも直接影響します(PLOがヨルダン国内の中に国を造ろうとして、フセイン国王が内戦を開始した「黒い九月」は有名)。
イスラエル人は大方、二国家案に賛成しています。けれども、同時に今の中東が大暴風が吹いており、相手側のパレスチナがイスラエル破滅を目標とする政体へとなるのではないか?という不安があります。平和を望むけれども、こうした深い懸念は十分に正当化できるものです。
②イスラエルの右傾化は、2000年以降から発展した衝突の蓄積の結果である。 続きを読む 国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ④