「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」②

サイクス=ピコ協定 百年の呪縛前記事①においては、本書の前置きの話で終わってしまいましたが、ここから中身に入ります。

ダニエル書にある世界帝国

私は、この本に衝撃を受けたのは、まず、ダニエルの見た幻にある「世界帝国の姿」の続きを見たからです。ダニエルは、ユダの国とエルサレムが神によって引き抜かれた後の、異邦の諸国、殊に世界帝国となった国々の興亡の幻を見ました。ネブカデネザルは、金属によってできた人の像であり、金がバビロン、銀がペディヤ・ペルシヤ、青銅がギリシヤ、鉄がローマ、そしてその後の世界はローマの影響を残しながら緩くつながり統合できていない、粘土と鉄のまじりあった姿を描いています。足の指はもちろん十本です。

The great image that God revealed to Nebuchadnezzar in a dream was interpreted by the prophet Daniel. Each section represents a world-ruling superpower. Each succeeding metal is less valuable, but each succeeding metal is stronger, as each empire was more powerful than the last.
The great image that God revealed to Nebuchadnezzar in a dream was interpreted by the prophet Daniel. Each section represents a world-ruling superpower. Each succeeding metal is less valuable, but each succeeding metal is stronger, as each empire was more powerful than the last.

続きを読む 「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」②

「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」①

サイクス=ピコ協定 百年の呪縛先日、池内恵氏による「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」を完読しました。

「いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない。危機の本質を捉える緊急出版!」(新潮社のウェブサイトから)

終末論や陰謀論をまともに扱ったイスラム研究者

その前に、私の読書の中での池内恵氏との出会いを紹介したいと思います。その付き合いは、2001年の米国同時多発テロの起こった後に出版された、「現代アラブの社会思想 ― 終末論とイスラーム主義(本ブログ記事)」からでした。今でさえ、現実の世界趨勢として、差し迫った危機として一般社会でも認知されていますが、当時、「終末論」や「イスラム主義」を直球で、まともに取り扱っていたのは見ることはなく、私は、アメリカの聖書教師によるものしか知りませんでした。池内氏はキリスト者でもなく、ムスリムでもないのに、どうして、等身大のイスラムの世界をこれほどまで精緻に描写できるのか、とても不思議でありました。 続きを読む 「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」①

英のEU離脱と「第四の獣」

わたしは、すべての国々を揺り動かす。(ハガイ2章7節)」

イギリスがEU離脱というニュースが入りました。これが、世界経済にとっての大激変であり、ただでさえ危うい日本経済が、今、大変なことになります。

これから、どんどんこれまで何十年単位、百年単位保たれていた既存の秩序が、どどっと崩れる現象を見ていくでしょう。イスラエルと中東が聖書の舞台ですが、百年続いた秩序が全く後戻りしています。いやこれまでの世界が表面的にきれいに抑えられていただけにしか過ぎません。天変地異にしたって、我が国も、東日本大震災や熊本地震で、何百年という周期の揺れ動きを経験したばかりではないでしょうか?

そして、下のFBの投稿では、ダニエル書2章と7章、黙示録に詳しく書かれている、復興ローマについての言及があります。私は、今の国々と当時のそれと合致するわけではないと思っていますが、しかし、その流れは、過去の歴史から断絶されることなく今も続いていると思っています。「ローマ帝国の亡霊」とでも呼びましょうか、その地下水と底流は衰えることなく続いています、主がお許しになれば、いつでも噴出します。

私たちの告白、「イエスが主である」というものが、どれだけ尊いことなのか、これからますます、実感していくことになるでしょう。

続きを読む 英のEU離脱と「第四の獣」

クリスチャン・シオニズムに対する誤解

三月初めに、以下の会議の内容をオンラインで見ました。

Christ at the Checkpoint Conference 4

パレスチナ自治区における、福音派の聖書学校「ベツレヘム聖書大学」と関連の深い、パレスチナ人クリスチャンの主催の会議です。彼らの立場からのイスラエルとパレスチナの問題、そしてクリスチャンとしてのイニシアチブを提起している会議です。この会議、特に今回のは、クリスチャン・シオニストと呼ばれる人々から多くの批判を受けました。

その中で深い懸念を持っていたユダヤ人信者の神学者、伝道者である、ミカエル・ブラウン氏が、その主催者の一人、ムンター・アイザック氏にラジオ番組にて、率直に意見を交わしています。

Dr. Brown Interacts with a Palestinian Christian and Sets the Record Straight about Saul Becoming Paul

DrMLBrown
ミカエル・ブラウン博士

以下はフェイスブックで書いた投稿です。

ユダヤ人信者が、パレスチナ人の福音派の指導者と、先日行なわれた「検問所におけるキリスト」会議について、率直な意見を交わしています。

私は、このカンファレンスの内容には正直、非常に当惑しました。ミカエル・ブラウン博士は、明確に相手のムンター・アイザック博士に質問をしたことによって、またアイザックさんも冷静に返答していることによって、互いの違いがはっきりしたと思います。意見ははっきり違いながら、キリストにある兄弟であることを確認する、非常に大人の会話でした。

ムンター・アイザック博士
ムンター・アイザック博士

パレスチナ人クリスチャンの提起している、「クリスチャンのシオニズム」すなわち、神のユダヤ人に対する選びが今も有効であるという立場への疑問は、日本の教会の多くも共有しているのではないかと思います。

①ユダヤ人が土地に戻ってくる、国を建てるという預言について、パレスチナ人のクリスチャンは「それでは、ずっとそこに住んでいた私たちはどこに住めばよいのか。出ていけということか。」という問題について。 続きを読む クリスチャン・シオニズムに対する誤解

ワンデイ・セミナー@カルバリーチャペル那覇

2月5‐8日、沖縄に行ってきました。その間にあった恵みを分かち合います。

ワンデイ・セミナーoneday_seminar

カルバリーチャペル那覇にて、一日セミナーが行われました。

左のチラシにあるように、私は聖書預言の二つのメッセージを担当しました。

世の終わりのシナリオ(拡大図)マタイ24章
音声 ・ PPT

世の終わりのシナリオ(凝視図)エゼキエル38章
音声 ・ 38章の図

そして、カルバリー国分寺の桜井知主夫さんによる「聖書の効果的な学び方①」と「聖書の効果的な学び方②」も、豊かな恵みでした。
続きを読む ワンデイ・セミナー@カルバリーチャペル那覇

キリストの御国とカリフ制

ぜひじっくりと観て、それからご紹介したい三つの記事があります。先に紹介した「第三の標的」の著者である、ジョエル・ローゼンバーグ氏によるものです。(ちなみに、当ブログで「ジョエル・ローゼンバーグ」を検索にかけると、彼がこれまでどのようなことを話し、行なってきたかフォローできます。)

後で、特に②と③は情報を追加していきます。なので、またこちらのブログに後でいらして、続きを読んでください。:)

① 黙示的イスラム教の終末論と聖書的終末論の違いは何か?

What’s the difference between Apocalyptic Islamic eschatology & Biblical eschatology?

ジョエル・ローゼンバーグ氏は、まず、「イスラム過激主義(Radical Islam)」の範疇をさえ越えてしまっている、「イスラム黙示主義(Apocaplytic Islam)」の脅威について述べています。シーア派においてはイラン、スンニ派においてはイスラム国が顕著です。彼らの考える神の国の到来を早めるために、不信者を文字通り滅亡させることを目的としています。アルカイダやハマスなどの過激主義は、攻撃はしこそすれ全て滅ぼすことまでは考えていません。

そこで、「終末論」そのものについてですが、これは聖書が強調している神のご計画の完成であります。では、新旧約聖書の持っている終末論は何か?これについて詳しく教えてくれています。 続きを読む キリストの御国とカリフ制

ヒトラーに見る「私たち」の悪

今日は、ホロコーストを記憶する日だそうです。

今日1月27日は、ホロコースト犠牲者を想起する国際デー。わずか70年ほど前に実際に起きた、この大きな悲劇を記憶にとどめ、後世に伝えていくという目的の下に2005年の国連総会で制定されました。1945年のこの日、当時ナチス・ドイツによ…

Posted by イスラエル大使館 / Israel in Japan on 2016年1月26日

なぜ、人間がこんな悪を行なうことができるのか?この問いは、実にイスラム教のテロ等によって今にまで続いている問いかけです。先日、妻といっしょに次のNHKスペシャルを見て、心が揺さぶられました。

NHKスペシャル <新・映像の世紀> 第3集 「時代は独裁者を求めた」
hitler 続きを読む ヒトラーに見る「私たち」の悪

実が結ばれない教え

クリスマス礼拝を今日、無事に終えました。とても簡素、けれどもしっかりとクリスマスの讃美歌を歌い、キリストの降誕の御言葉、それから聖餐にもあずかりました。内容は濃かったと思います。一人、初めての方も来られて、とても感動的でした。

少しだけ時間がゆっくりできたので、前から思っていたことでメモのようにして書き残したいことがありました。今、東十条バイブルスタディでテモテへの手紙第一を学んでいますが、そこにある箇所をまず紹介します。

私がマケドニヤに出発するとき、あなたにお願いしたように、あなたは、エペソにずっととどまっていて、ある人たちが違った教えを説いたり、果てしのない空想話と系図とに心を奪われたりしないように命じてください。そのようなものは、論議を引き起こすだけで、信仰による神の救いのご計画の実現をもたらすものではありません。この命令は、きよい心と正しい良心と偽りのない信仰とから出て来る愛を、目標としています。ある人たちはこの目当てを見失い、わき道にそれて無益な議論に走り、律法の教師でありたいと望みながら、自分の言っていることも、また強く主張していることについても理解していません。(1テモテ1:3-7)」

二か月近く前に行われた、「カルバリーチャペル牧者「静養会」」において、バド・ストーンブレーカーさんが、「「安息」ルカ10章」のメッセージにて、大きく触発された内容を話してくれました。(31:00辺りから。日本語の通訳もあるのでぜひご自身で聞いてみてください。)

~~~~~~
羊を気遣う牧者の思いを持ってほしい。特に気づく分野は以下の三つである。その一つ一つは大変有意義なことだが、牧会の心がけを持っていないと、バランスを崩してしまう。 続きを読む 実が結ばれない教え

次世代への信仰の継承

今年もまた、8月13‐15日に「マラナサ・バイブル・フェローシップ」を富士山麓山の村で行いました(2014年2013年2012年2011年)。

涼しさで体が休まったキャンプでした。個人的には、今回のキャンプのテーマは「信仰の継承」であったのではと感じました。ゲストで招かれたは、「ユースパッションin Shizuoka」で用いられている、李相勇(サムエル)さんですが、その証しが物凄く心に残りました。自身、牧師の息子ですが、いかに自分自身が信仰を持つべきか、その凄まじい戦いを聞く恵みにあずかりました。

そして、若者が多く来てくれました。私が初めに会った時は小学生だった彼らの多くが今は二十代です。信仰が確実に継承されていますが、しかし、本人たちが聖霊によって深い罪の自覚、キリストの十字架を信仰で見て、その体験を持っています。

反面、信じているのにその情熱が冷めたり、離れていってしまう人々も現実にいることも知っています。ある人々は信仰に立ち返り、ある人々は信仰から遠ざかってしまう・・・。イエス様への道の行き来に、私は厳粛な思いがしました。 続きを読む 次世代への信仰の継承