「国家主義」について問う

昨日、「舟の右側」2017年3月号をキリスト教書店で購入しました。ここの表紙に大きく紹介されている三つの記事に興味を持ったからです。一つは、「ミッション・スクールの使命に生きる」ということで、元KGK主事の安藤理恵子玉川聖学院学院長の証しです。私が大学生の時、KGKに関わっていた時に、安藤主事もおられたので、その記事を読み、懐かしく思い出しました。

そして、二つの特別寄稿があります。これが大きな目当てでした。一つは、「『沈黙』をヨシュア記の視点から読む」(牧師 高橋秀典氏)であり、フェイスブックで当映画についての批評や感想を、たくさん互いに分かち合い、有意義でした。すでに、ブログにてこの記事の元となっている説教の要約を紹介させていただいています。⇒「『恐れ』を恐れよ

もう一つの寄稿について議論したいと思います。「国家と国家主義 「教会と国家」を聖書から見る(1)」(牧師 水草修治氏)です。最近、フェイスブックのページにてご本人と意見交換をさせていただきました。次の論考に似た内容になっております。

聖書から見た「教会と国家」PDF

自分の「国の見方」の変遷

上の論考、また雑誌の記事を読み、自分が聖書から読む国家観と似ていると思いました。特に、かつて自分が「聖書預言の旅」を書いた時に、天皇制の問題にも言及したように、以前は同じような国家観を持っていました。説教の中でも、折に触れて、国家主義に対する危機意識に言及していました。 続きを読む 「国家主義」について問う

東アジア青年キリスト者大会2017年報告

香港における、ThreeTogetherFacebook公開ページ非公開ページ)の2月21‐23日の大会から無事に戻ってきました。これまで以上に、豊かに祝福された集会でした。とても深い兄弟姉妹間の交わり、若者たちの三国をまたがる証し、韓国キリスト教の始まりが日中発祥であること、また香港市内にある他宗教の施設(私たちのグループは、イスラムのモスク)にいった宣教師疑似体験が、とても貴重でした。

そしてこの大会の醍醐味、三か国語での同時礼拝賛美、互いの国のための祈りがあります。

とりあえず、プログラムに沿って、音声やPPTをアップさせていただきます。(リンクされている部分をクリックしてください。) 続きを読む 東アジア青年キリスト者大会2017年報告

福音宣教者としての「沈黙」

次の記事の続きです。「映画「沈黙」- 観るべきか、観ざるべきか?」「キリシタン名跡サイト「天上の青」」「『恐れ』を恐れよ

今週水曜日、映画館で「沈黙 -サイレンスー」を鑑賞しました。フェイスブックにて、長いレビューを二日に渡って書きましたので、こちらにまとめて掲載します。

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私は、海外宣教もしていたことのある、日本人の牧者であると同時に、宣教者としての思い入れの強い、端くれです。ロドリゴの心の動き、そしてキリシタンの村の人々の心の行き交いは、非常に心を打つものでした。あまりにも生々しいので、いろんな思いが一挙に、交差しました。(※以下から話す言葉は激しいものになっていますが、決して、遠藤周作やマーティン・スコセッシ監督に向けられたものではありません。むしろ、このような作品を作ってくれたことによって、キリスト者信仰の生々しい戦いと葛藤の実存を、上手に表してくれたことに、感謝しているほどです。)

「助けてあげよう」という思いから「何もできない自分」へ

ロドリゴとガルベが、自分たちの師と仰ぎ、絶大な尊敬と信頼を持っていたフェレイラらが棄教した、という知らせを聞いた時に、日本に潜入することを申し出ます。ここの会話には、既に「私たちが行って、助け出します。」というヒロイズムが入っています。 続きを読む 福音宣教者としての「沈黙」

「恐れ」を恐れよ!

前々記事:「映画「沈黙」- 観るべきか、観ざるべきか?
前記事:「キリシタン名跡サイト「天上の青」

今晩、次の説教要約を見て、なんと言ったらいいか、言葉に言い尽くせない憤慨の思いが込み上がってきました。

ヨシュア記1-3章「恐れるな。わたしがあなたとともにあるから」

今話題の、小説・映画「沈黙」と、ヨシュアの信仰がいかに対照的であるかを述べているものです。全文をぜひ読まれることをお勧めしますが、最初の一部を下に引用させていただきます。

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日本におけるサタンの最大の働きは、人々の目を漠然とした「恐怖(terror)」に釘付けにし、主に信頼する一歩を踏み出させなくすることです。

最近、遠藤周作の「沈黙」が映画化され上映されていますが、「神は、忠実な信徒が死に直面しても、沈黙したまま」という恐怖感を広める結果にならないかと心配です。なお、主人公の神父ロドリゴは、日本人信者の命を守るために棄教せざるを得なくなりますが、それはかなり史実を反映しています。

古代教会以来、殉教者の血が流されるたびに、かえって福音が爆発的に広がったと言われますが、日本だけは例外です。1700年代初めの幕府の権力者、新井白石の記録では、20万人から30万人もが日本で殉教の死を遂げたとさえ言われています。残念ながら、それらが、「死の恐怖に勝利した」美談ではなく、日本の伝統に背いた「のろい」かのように見られるのは、世界では珍しいことかもしれません。

しかも、当時の迫害の先頭に立ったのは、大目付の井上政重を初めその多くは転びキリシタンだと言われます。彼らは信仰者の心理を熟知していました。これほど巧妙で残酷な迫害が行なわれた国はないのかもしれません。 続きを読む 「恐れ」を恐れよ!

トランプ大統領とクロス王

フェイスブックからの引用:

マスコミがほとんど、ヒラリー女史が当選すると言っていた中で、トランプ氏の支持が実は高いことを伝え続けていた数少ない人の一人が、この方です。私は、冷静に眺める時に、このような見方になるのではないかと思います

トランプ大統領就任 
(注:
こちらに、日本語訳付きの就任演説を見られます。)

つまり、日本がアメリカにおんぶにだっこの時代は終わりつつある、ということです。自分でしっかりと、自国について考えないといけない時代になっている、ということです。国の指導者のために祈るキリスト者の働きは、ますます顕著に重要になっています。

そして彼女の論評に補足させていただくと、トランプ・チームの人選、就任式やその後の国家祈祷会において、これまでにない数の福音派の指導者が目立っているということです。これまで、国に対して見張り役として声を挙げていた人々が、最高司令官のそばに呼ばれている、という感触を持っています。 続きを読む トランプ大統領とクロス王

「ドラマ 東京裁判」から学ぶ

今、東京裁判の四回連続NHKドラマを見ています。11か国からの判事の舞台裏を、生々しく描いていて、重い気持ちにもなりますが、非常に勉強になります。

「ドラマ 東京裁判」

そもそも「戦争を人が裁けるのか」という根源的な問いがテーマでありますが、それからは、ずれるのですが、私は11人の判事の、駆け引きとも言える人間模様の生々しさに興味をそそりました。そもそも「複人数の者たちが全く対等に、統一見解を歩調を合わせて出す。」ということ自体に無理があるなあ、と思いました。それぞれが、強い信念と正義感を持っています。そしてその「正義」には温度差があり、それぞれ異なり、意見が全く相反する人たちもいます。しかし、どこかで落としどころ、決着をつけなければ判決ができません。

続きを読む 「ドラマ 東京裁判」から学ぶ

突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する

イギリスのユダヤ教チーフ・ラビ、ジョナサン・サックス氏が、2016年9月27日に、欧州連合議会において、新しい形の反ユダヤ主義について雄弁に語っています。下は、原稿の英文を意訳したものです。

これまで、ロゴス・ミニストリーのサイトでは数多く反ユダヤ主義について取り扱ってきました。下の日本語の意訳の後に、関連記事をリンクします。

The Mutating Virus: Understanding Antisemitism(突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する)

ユダヤ人憎悪はユダヤ人で終わりません。ヒトラーによって苦しみを受けたのはユダヤ人だけではありませんでした。スターリンによって苦しめられたのはユダヤ人だけではありませんでした。イスラム国やアルカイダ、イスラム聖戦によって苦しんだのはユダヤ人だけではありません。反ユダヤ主義がユダヤ人だけに向けられたものであると考えたら大間違いです。これは、ヨーロッパに対する最大の危機であり、何世紀にも渡って達成した自由に対する脅威なのです。 続きを読む 突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する

教会での会話にある霊の戦い

友人の牧者が、毎年の秋の合同修養会で話すことは、「修養会の中での言葉のやり取りなどでも、誤解や意見の違いなどで、試みを受けることがある。そういったことも含めて、霊の戦いの側面があることを知って祈ろう。」ということです。

教会においては、何気ない言葉のやり取りで、思いもよらない誤解があります。例えば、興味深いのは、関西出身の人たちの表現が気が利いたもので、関東の人が文字通り受けとめて、傷を受けたり、憤慨したりするとか。その他、本人がちょっと気が逸れて、挨拶することができなかったり、また、その人が一週間、信仰の戦いがあって、それで疲れていたとか、いろいろあるでしょう。

conversationそこから出てくる言動で、自分の気分が害されても、大事なのは次です。

①裁かない

だって、その言葉を正しく自分が理解しているか、大方分からないからです。「こんなこと言われて傷ついた」という言葉をしばしば聞きますが、そう言っている時に「自分が、早まった判断をしてしまっていることはないか?」と心の中で戒めてみませんか。

あなたがたは、主が来られるまでは、何についても、先走ったさばきをしてはいけません。(1コリント4:5)」 続きを読む 教会での会話にある霊の戦い

リベラルにある「キリスト教徒恐怖症」

まずは、次の記事をお読みください。

ウィキリークス、クリントン陣営のカトリック・福音派侮辱メール暴露、キリスト教指導者ら謝罪求める
(注:私は、引用元のニュースサイトについて賛否両論のある団体であることは知りつつも、多くの一般記事は、事実を伝えており、日本語に訳されているという点で時々、シェアしております。)

ウィキリークスによって、ヒラリー陣営のスタッフのEメールの内容がハッキングされ、暴露されているニュースが続いています。かなり多くの衝撃的な内容が書いてあります。例えば、

1.ヒラリーは嘘つきだと皆が知っている
2.ヒラリーの同性婚についての「本当の」見解
3.サウジアラビアがイスラム国に資金提供
5.最低賃金は雇用に悪いことを知っている
6.民主党がトランプを推す企みを持っていた。
7.ベンガジ事件は、問題視されるに妥当なこと
8.ヒラリーの弁護人は、司法の介入を阻止したことを認めている
Damning Takeaways from ‘October Surprise’ Email Hack from WikiLeaks–This Looks REALLY Bad

民主党の選挙対策本部自身が、自党の主張を本音では信じていないこと、またヒラリー氏が政治責任を全く取っていないこと、また、犯罪を犯したことを認めていることになっています。これはかなり衝撃的ですが、しかし、私たちキリスト者に直接関わる内容が先の日本語に訳されている記事です。

その中で興味を持ったのが、「キリスト教徒恐怖症(Christianophobia)」と呼ぶべき人々が米国内にいるということです。今は、同性愛恐怖症(ホモフォビア)や、イスラム教恐怖症(イスラムフォビア)という言葉でしばしば使われていますが、実際にこのような人々が政治中枢部にいることが、はっきりと言葉として書かれていることは注目に値します。 続きを読む リベラルにある「キリスト教徒恐怖症」

秋の修養会2016年

ロゴス・クリスチャン・フェローシップとカルバリーチャペル西東京合同の、恒例とな「秋の修養会」を10月8‐10日に行ないました。場所は狭山市の智光山荘です。大きな智光山公園の中にあります。

calvarychapelDNA

西東京の教会の牧師、山東さんが作成した修養会の冊子は面白くて、上のイラストを表紙の一部とた本のような表紙になっていました。そこにいろいろな副題が書かれていますが、「聖書からではなく、聖書をそのまま伝える」「あなたは自分の教会をしっているか」「次の世代に本当に伝えるべきことは何か」”Knowing My Church”「自分の所属する教会を正しく知ることは他の教会を尊重することにも繋がる」など、書いてあります。 続きを読む 秋の修養会2016年