エジプト - 扇情と洗脳の再現

前記事「エジプトの「路上民主主義」」の続きです。新しい情報が入ってきました。

ダニエル・マサイア氏のフェイスブック

ダニエルさんは、カルバリーチャペル宣教会議2011年のメイン・スピーカーで、力強い証しをされました。エジプト人でムスリムだった彼はイエス様を信じて、回心。同胞のムスリムに伝道したため、国内で最も悪名高い刑務所に九か月おり、その二か月は独房に入れられていました。しかしその中でエジプトの高官を含む数多くの人々に伝道することができ、出獄後、アメリカに移住、今は、ムスリムに対する力強い伝道と宣教を展開しておられます。そして、私と同じようにカルバリーチャペル・コスタメサから宣教師としての支援を受けています。

彼のミニストリー “Open the Gates

状況として、現在進行形で起こっていることで情報が錯綜していますので、何が起こっているのか全てを把握することはできないでしょう。けれども一つのことが言えます。「世界中が、再びこのことで騒いでいる。」ということ。私はいつも、この扇情的な空気に警戒していました。かつてはイラク戦争、イスラエルでの自爆テロ(第二次インティファーダ)、そして原発事故と、「平和」を連呼しながら排他的、攻撃的になっていく世界の空気を感じました。今回も同じです。私は、前記事で書いたようにかなり冷めてこの状況を見ていましたが、普段は中東のことを何も考えていない日本人までが、急にお祭りのように騒ぎ始めたので、妙な空気を感じ始めたのです。

なぜ国々は騒ぎ立ち、国民はむなしくつぶやくのか。(詩篇2:1)続きを読む エジプト - 扇情と洗脳の再現

エジプトの「路上民主主義」

カイロでの流血・・・皆さんも気になっているニュースだと思います。この惨状をどのように見れはよいのか?

中東諸国の情勢は「力」勝負

第一に、中東というのは「力」で動いている地域だということを理解する必要があります。朝日新聞などは、モルシ氏が民主選挙で大統領になったのだから、軍部のモルシ派デモの鎮圧は民主化に対する反動だ、と口角泡を飛ばして主張していますが、嘘です。(過去に朝日新聞の購読をやめたのが、イスラエル・パレスチナ報道の偏向に我慢できなくなったからだったのを思い出します。)全然、文脈を無視しています。反モルシ派も同じようにデモを行っていたのであり(彼らが反ムバラク・デモの中心でした)、そこに軍部が介入してモルシ氏を追放したのであり、反・同胞団派と同胞団派の街頭と広場でのぶつかり合いに、軍部が実際の調整に入っているとしたほうが現実に沿った見方です。

もともと、ムバラク政権の時も、上からの強い力で民を抑えながら治めていたのですが、その時は外部の人たちはエジプトをそのように見ていなかった。一般の見方は、ピラミッドのロマンス、そしてイスラエルは弾が飛ぶ危険地域・・・、あまりにもお粗末な偏見です。私たち夫婦は2008年にカイロを訪れた時、合計たった三日しかいませんでしたが、出エジプトのパロのイスラエルに対する抑圧を思い出しながら、その押し殺されるような雰囲気をびしびし感じていました。そして三年後にあのデモが起こった時、「ああ、やっぱりね」と冷ややかな目で見ていたのです。 続きを読む エジプトの「路上民主主義」

「不毛地帯」に見る聖書預言

個人の生い立ち、国の生い立ち

昨日、久しぶりにずっと会えていなかった兄弟姉妹と交わりました。今は結婚し、新しい生命も与えられています。お二人のご家庭の生い立ちを少し伺うことができ、改めて「人と知り合うには、その個人史を知る必要がある。」と実感した次第です。

6月には久しぶりに仙台に帰省しましたが、父が教会で救いの証しをしたその録音したものを聞きました。これまでも断片的に聞いていた、父の両親、つまり私の祖父母のことを聞き、自分のルーツを見た気がして、感慨深かったです。そして父が福島県福島市出身であることも前から聞いていましたが、実は私は福島ともつながりがったのだ、という、実感はまるでないですが不思議な思いになったひと時でした。

私たちの周囲には、断片的情報や知識が散らかしたような状態で存在しています。その情報に一喜一憂し、そして心を騒がせることは、実に神から与えられた時間を浪費していることになります。それらの断片を一つの筋の中で整理して並べていくときに、それが今の自分の発見につながり、そしてこれからの行き先の方向性が見えてきます。

歴史というのは、非常に大切です。 続きを読む 「不毛地帯」に見る聖書預言

堅実なイスラエル・中東情報 「オリーブ山便り」

公平なイスラエルのニュース、またその周辺国のニュースは、日本語のものは極めて乏しい中、次のブログ・ニュースは分かり易く、非常に良質です。

オリーブ便り|イスラエルを中心とした中東・世界のニュースをエルサレムから

発信者は、(ネット上で調べますと)ブリッジ・フォー・ピースの専任講師の石堂ゆみさんです。今、大変な局面に入っているエジプトでの内紛、そして現在進行形の中東和平交渉について、日本のマスコミには現れてこない情報が見えてきます。

例えば、これは信じがたいと思われる日本の人がいるかもしれませんが、現地の人にとっては周知の事実であるニュースを紹介します。

困惑する西岸地区現地の人々 2013.7.31

かつて、米国大統領候補のロムニー氏がエルサレム訪問でイスラエル支持の表明をした時、「パレスチナの人たちが、アメリカとイスラエルの思惑によって大変な目に合っている。」というコメントを教会の指導者がしていたのを見ましたが、それは日本の典型的な「弱者重視」を気取っている人々の意見です。けれども全く別の意味で、それは当たっています。 続きを読む 堅実なイスラエル・中東情報 「オリーブ山便り」

エジプトで再びクーデター

Inside The Revolution: Drama builds amidst military coup in Egypt. Muslim Brotherhood leadership arrested. Who is Adly Mansour, new “interim president?
(革命の内幕:エジプトの軍部クーデターで劇の開演。ムスリム同胞団の指導層の捕縛。「暫定政府大統領」アドリー・マンスールとは誰か?)

“Adly Mansour, left, has been declared interim President of Egypt by the military after mass protests.” (photo credit: UK Telegraph)

ムスリム同胞団のモルシ大統領が軍部によって拘束せられ、エジプトにクーデターが起こりました。私は、中東を見る目として一番参考にしている本が、ジョエル・ローゼンバーグ氏によるInside the Revolution(革命の内幕)(日本語記事)です。

中東には「過激派」と「穏健派」の相克があること。けれどももう一つのグループ「霊的復興派」の存在の紹介は、他のどの地域研究科にも国際情勢分析家にも出てこない視点です。過激派は、「イスラムが答え、ジハードが道」といい、穏健派は「イスラムが答え、ジハードはその道ではない。」と言い、復興派は、「イスラムは答えではない。イエスが答えで、道である。」という人々。

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シリアをキリスト者はどう見るか?

まずは、次の記事をご覧ください。

<玉本英子のシリア報告>22 破壊されたキリスト教徒地区

シリアの大統領が、対イスラエル戦も辞さない考えだという虚勢を張っていますが、ロシアの武器供与など、虚勢だけとは済まされない妖しい動きになっています。

玉本英子のシリア報告>には、今のシリア現地に赴き現地の人々の取材をしていますが、「自由シリア軍」によるキリスト教徒の惨状をかなり伝えています。シリアのキリスト教徒は基本的に、反乱軍ではなくアサド政権を支持しているからです。なぜか?彼らにとって、強権の独裁政治であっても、その政権が世俗であるかぎり、イスラム原理主義の政権よりは良いと考えているからです。そして反体制勢力にアルカイダが牛耳り始めているのは、すでにかなり報道されていることです。

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日本人におすすめする中東問題の本

三つ前の記事「ここが変だよ!池上彰さん その3」の補足です。ある方から、「日本のマスコミにこのレベルで問題を理解することを求めるのは難しいと思った。」「パレスチナ問題の本を読んだが学者によるもので、イスラム研究者だと思う。」という感想を頂きました。

以上の三つの投稿記事は、マスコミの人たちが読むことを期待して書いたものでした。けれどもキリスト者としてもっと突っ込んで大胆に書くならば、エルサレムやユダヤ人を取り囲む問題を取り扱うことは、すなわち自分自身の問題を取り扱うことに他なりません。聖書にあるように、イスラエルの民を神が選ばれているので、彼らに起こっていることが、すなわち私たち人間一人一人と神との関係を映し出す鏡となっているからです。

ゆえに、日本の人たちがエルサレム問題を取り組むことは、すなわちキリストへの信仰を持つぐらい難しいことであると思います。1パーセントのクリスチャン人口は、パレスチナ問題もそれだけの理解力しかもてないと言っても過言ではないと思います。(例:日本人は、たいてい自分は無宗教だと言いますが、実は強固な多神教信仰の世界観を持っている、ということに気づかないと、正しい理解はできません。)

私自身も、悩みながらこれまで調べてきたのですが、中東問題については専門家でも何でもなく、初心者また学習者だと思っています。けれども、一般に出ている良書と呼ばれているものは読むように努めてきました。イスラエル近現代史としては、以下のブログ記事にリスト・アップしていました。

初めから物語る歴史 - イスラエル その5

全体の流れを知るには「イスラエル全史」がいいです。これで全体像がくっきり見えました。

そして独立戦争は「おお エルサレム! 」が定番だと言われています、ひどく感動しました。肌で彼らのことを感じたいなら、絶対これをお勧めします。六日戦争については、「第三次中東戦争全史(Six Days of War)」にまさるものはないと言われています。この二書はイスラエル側だけでなく、アラブも、また英国や米国等、それぞれの登場人物の生身の姿を描き出すことに非常に長けています。池上さんのように「まとめて」いないのです。そのまま出して、あとは読者に感想をゆだねるというアプローチです。

ヨムキプール戦争全史」も良かったです。戦争のすさまじさと、そしてシャロンなどいつも悪者にされていますが(実際、かなりあくの強い人ですが)、そうした人の発想がかえって特殊な状況の中で突破口を作り出しているなど、いろいろ見えてきます。

そして、滝川義人氏の著作や訳本ミルトス出版のものは良質のものが出ています。

訳本は概して値段が高かったり絶版になっているのですが、英語のできる方は原書をアマゾンなどで購入するのも一つの方法です。

これまでの中東というのは、アラブ・イスラム研究者、しかも左翼的な人による書籍が多いのですが、数少ない信頼できるのは池内恵(さとし)さんの著作です。彼のイスラエルの見方であれば、その批判はアラブ・イスラム研究者側の意見として見れば妥当だと思います。けれども多くの研究者は、彼の言葉を借りると、「「中東めぐる問題」などではなく、なによりも「日本をめぐる問題」」と言うように、自分の日本国内にある考えをただ中東に投影させているだけに過ぎません。

ここが変だよ!池上彰さん (その3)

その2からの続き)

それでは、パレスチナ紛争についてお話したいと思います。

神を信じない「ユダヤ人」

まずは、パレスチナ紛争はユダヤ教徒とイスラム教の間であると言いながら、次の比率を出していました。

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争いは、ユダヤ教と、イスラム教です。イスラエル国民の宗教比率は、
ユダヤ教・・・・・・75.4%
イスラム教・・・・・17.2%
キリスト教・・・・・・2.0%
その他・・・・・・・・5.4%

で、ユダヤ教徒によって造られた国です。
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しかし大きな間違いがあります。それは「ユダヤ人」と「ユダヤ教徒」は違うからです。イスラエルでは、パレスチナとの溝よりも、もっと深刻ではないかと言われているのが「宗教派」と「世俗派」の溝です。世俗派は八割、宗教を信じている人は二割ぐらいだと言われます。シオニズムの父テオドールも、イスラエル建国の父ベングリオンも、ユダヤ教を実践する人ではありませんでした。シオニズムの構想は、神を信仰している人ではなく、むしろヨーロッパの啓蒙思想とロシアの社会主義の理想を掲げていた人々が主に造り上げていきました。イスラエルの主要政党は建国後ずっと労働党でしたが、彼らは左派でありユダヤ教は実践していません。

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ここが変だよ!池上彰さん (その2)

その1からの続き)

イスラム教:対抗する新興宗教

番組では、宗教を説明する時にイスラム教から始め、三宗教の中で一番時間を割いています。これは世界に台頭している宗教ということで、ジャーナリストとしては伝えなければいけないという使命感があるのでしょう。また、全ての人がテロリストなのではない、もっと大きな視点からイスラム教を見ようという意図も理解できます。

けれども、不思議なことにイスラム教とユダヤ教の関係と対立点、そしてイスラム教とキリスト教の対立点について論じられていませんでした。

イスラム教の聖典コーランを読めば、そこには旧約と新約の聖書の記述が散りばめられていて、ユダヤ教徒とキリスト教徒に対する対応も詳しく述べられています。今、キリスト教では異端とみなされているエホバの証人の人たちの訓練の場を取材すれば、必ずキリスト教の堕落やクリスチャンへの対応などの教育を受けている場面を見ることができるでしょう。コーランを見る限り、私は同じような印象を拭うことはできません。

イエスの否定がイスラム信仰の始まり

池上さんは岩のドームに入る取材許可を受けて、とても興奮しておられましたが、そのドーム内に刻まれているアラビア語は、まさにキリスト教を論駁する言葉に満ちています。

参照:The Arabic Islamic Inscriptions On The Dome Of The Rock In Jerusalem

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ここが変だよ!池上彰さん (その1)

今週火曜日に、他のカルバリーの牧師や宣教師たちとの聖書の学び&朝食会に行きました。そこで出てきた話題が「マスコミ」についてですが、私が日頃感じていたこと、「マスコミは嘘をつく」ということをアメリカ人の牧師も話していました。状況は日本だけでなくアメリカでもそうらしいです。
学べるニュース

今日は、今人気のニュース解説者である池上彰さんのことを取り上げてみたいと思います。この前の総選挙の速報で、政党代表への直接質問で挑発また虚偽発言があったので、気になっていました。私個人はこの人に対しては好感を持っていますし、影響力を持つ政治家に対して、挑発的になっても鋭い質問はすべきだと考えていますので、その姿勢には共感できました。

ですから彼のことを殊更に取り上げたくはないのですが、彼を通して今のマスコミの潮流を如実に見ることができるので、そこで、あえて挑発的な題名「ここが変だよ!池上彰さん」にしました。(さん付けにしているのは、彼個人に対する悪い感情は抱いていないという敬意の表れです。)

池上さんの特徴は三つあるでしょう。

「中立」
「ニュースを分かりやすく伝える」
「上手にまとめる」

彼の番組や著作物には、宗教関連のこと、また中東関連のものが多く含まれます。宗教また中東情勢は決して無視できない存在であり、それをお茶の間に伝えて啓蒙したい、という情熱は感じられます。そして今や中東情勢について政治家にも意見や助言をするぐらいの影響力を持つ存在になりました。だからこそ取り上げなければいけないと感じています。

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