今月24日で、アナログ放送がなくなることを良い機会に我が家ではテレビそのものを見ないことに決めました。理由は、NHK料金を支払いたくないからです。
NHKの放送内容に反対して料金を支払いたくないのではなく、単純にそんなに番組を見ていないのに高い料金を払いたくない、というのがあります。むしろ、NHKの淡々とした原子力発電に関わる情報や被災地情報は、二次資料としてとても役に立っています。また、一次資料や当事者へのインタビューに果敢に取り組み、NHKスペシャルなどで良質のドキュメントを制作しているのにも関心します。
進化論とパレスチナ
けれども、NHKであまりもの偏向ぶりに開いた口が塞がらない分野がありますが、一つは進化論です。これは完全に事実としてずっと流しているのには驚きです。そしてもう一つは、「パレスチナ問題」です。よくもまあ、こんなイデオロギー色に満ちた、報道ならず主張と宣伝の番組を作れたなあと思います。この分野も進化論と同じく、長いこと作り続けているようです。
クローズアップ現代
瀬戸際の中東和平 パレスチナ独立巡る攻防
一方的なパレスチナ国家独立宣言を国連に承認してもらうパレスチナ自治政府内の動きを報道していますが、ハマスとファタハが統一政府発足は具体的には全然解決策が得られていないこと、国際社会から一方的独立の支持が全然得られていないのに(ヨーロッパ連合など)、あたかも得られているかのような言い方、そしてイスラエルがこの動きを警戒しているのは、イスラエルの存続そのものが極めて軍事的に困難になることであるのに、まるで国内の宗教右派の圧力によって行っているという見せ方。
そして、ネタフヤフ政権になってから西岸の経済が順調になり、また彼が交渉の席に着くことも何度も何度も表明しているのに、歩み寄りが一切なかったという物言いなど、それをあたかも中立的、客観的に聞こえるように淡々と話しているので、「なんじゃこりゃー!」の連続でした。
「中東の民主化」⇒「一方的独立」ではない!
その中で私が悪意を感じたのは、「中東の民主化」と「一方的独立」をくっつけたことです。NHKは、周囲のアラブ諸国が自国政権に対する民衆の蜂起であるのに、パレスチナ自治区のみが民主的政府だと思っているのでしょうか?とんでもないことです、パレスチナ自治区内でも政府に対するデモが起こるのを強い監視の中で抑え込んでいました。対して、ムバラク支持のデモは許していたのです。
国外のパレスチナ難民も、シリアからはお金をたくさんもらってイスラエル国境のところでデモを行なったり、すべて「官製デモ」であります。民主主義の言う「デモの自由」というのは、あくまでも自国政府に対する自由を保証するということで、だからこそ非常に画期的なのであり、パレスチナ自治政府がそれを許した形跡を一切見ることはできません。
イスラエルでは、ハアレツ紙などまるでパレスチナ人ではないかと思われるほどのパレスチナ寄りの主張をしているのに、その表現の自由として完全に保障されているのに対して、パレスチナでは自分がイスラエル当局に協力したという嫌疑がかけられることを非常に恐れていて(一度かけられたら、パレスチナ社会全体から制裁を受けます)、公の場では常にイスラエル打倒を叫ばなければいけない状況であるのを知っているはずなのに、意図的に無視しています。
生活基盤さえない国家が必要か?
もう一つ、人というのは経済的動機が非常に強いです。飯が食えるかどうかが、抽象的独立よりも差し迫ったことであることは言うまでもありません。もしパレスチナが一方的な独立を宣言したらイスラエルから受けている民生面での協定はいったいどうなってしまうのでしょうか?イスラエルが徴収している付加価値税の送金もすべて停止するのです!国家どころか、財政や生活基盤さえ危うくなってしまうのです。
仲間のヨルダンは反対する!
そして、ヨルダンがパレスチナ国家独立に反対する意向であることをNHKは知っているのでしょうか?
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4088927,00.html
ヨルダンには七割がパレスチナ人と言われており、隣にその人々を代表する独立国家ができることは自国の安定を大きく揺るがしかねない事情があるのです。かつてPLOがヨルダン国内にパレスチナ国家を作ろうとし、ハシミテ王国との間に内乱が起こった経験があるのです。
事はもっともっと複雑なのです。
オバマ大統領が、オサマ・ビン・ラディン殺害に浮かれて、1967年境界線までイスラエルに戻ることを要請したのと同じように、パレスチナ当局も何か浮かれているだけのような気がします。今回のNHK報道でなおさらそう思いました。
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