遅まきながら、8月18日、イスラエルの南端の町エイラット近郊で起こったテロ事件から、今のイスラエル周辺状況についてお話ししたいと思います。
*イスラエル南部で複数のテロがあり7人が死亡、31人が負傷した。最初のテロでは乗客でいっぱいのバスに大量の銃弾が撃ち込まれた。国防軍が駆け付けテロリスト7人をその場で射殺。(「シオンとの架け橋」ニュースから)
テロリストは、ガザ地区にいる過激派が、シナイ半島、つまりエジプト領経由でイスラエルに侵入、そして、おそらくは目的はイスラエル兵を誘拐するためではないかというものでした。そして、イスラエルは首謀者への制裁のためにガザ地区を攻撃、それに対してハマスが応酬し、イスラエル領にロケット弾を撃ち込んだ、という経緯になっています。
拙ブログで、「エジプトの騒乱 - 危険な振り子」そして「エジプト軍最高評議会下のエジプト」でお話しした通りのことが起こっているので、確かに不穏な動きになってきたと思いました。
この事件で大事なのは、ハマスを代表するガザ地区とイスラエルの対立ではなく、エジプトとイスラエルの安全保障です。エジプト領を介して侵入できた、というぐらい、シナイ半島の国境地域はエジプト側の警備が手薄になっているということです。
その前にすでに数か月前から、シナイ半島にある、イスラエルに供給する天然ガスのパイプラインがテロリストによって爆破されたニュースが入ってきていました。(参照:「シナイ半島ガス・パイプライン爆破の不気味」)
そして今回のエイラット・テロ事件において、テロリストとの戦闘の中でイスラエル軍がエジプト軍人を射殺してしまったことで、エジプトで大規模なデモが発生しました。(後日、イスラエルは謝罪しています。)在エジプトのイスラエル大使館の国旗を引きずりおろし、エジプト国旗に替え、それをある知事が称賛するという愚直なことを行なっています。
その中で活躍しているのがムスリム同胞団です。彼らは穏健的な政治手法を取っていますが、信条としてはイスラム原理主義であり、エジプト国内のイスラム化を急がせています。(参照:「エジプト・ムスリム同胞団の暴挙」 「シナイ半島がイスラム国家になる危険」)
リビアのカダフィ失墜、そしてシリアの政権崩壊間近など、いわゆる“アラブの民主化”は進んでいますが、それはバラ色どころか、さらなる混迷をもたらすかもしれない可能性を多分に含んでいます。
ところで、教会のある姉妹が、「エイラットのテロ事件がイスラエル軍のガザ攻撃の発端なのに、後者だけが日本では報道されていますね。」と指摘してくださいました。そうです、相変わらず「話の途中」からしか報道せず、一般の日本人は「イスラエルによる攻撃」という印象だけが残されています。
今回の記事を書くのに参考になったアラブ情勢サイトをここにご紹介します。
あとついでに、イスラエル情勢ニュースは、おなじみの「シオンとの架け橋」、そしてイスラエル・ユダヤ全般の情報はミルトス社長のブログも参考になります。