イスラエル人の本音を日本人が話す

イスラエルについて考えるとき、他の国の人々について考えるときもそうですが、なるべく自分のレンズ、日本のレンズを外して等身大の姿を見ようと努めています。それで役に立つのが、在イスラエル日本人のブログです。意外にたくさんあります。その中で、今回のパレスチナによる国家独立申請をどう見ているか、その一例をご紹介します。

この方のプロフィールや他の記事を見る限り、特定の政治思想を持っているわけでもなく、ごく一般の人という感じですが、それだけ常識的な見方を知ることができます。

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ノープラン

たとえば。                                   
その地区の住民の大多数が生活保護を受けていて、失業率が圧倒的に高く、住民の多くが密輸した不法武器を持ち、頻繁に暴動やテロや誘拐騒動を起こすため、警察や機動隊が頻繁に介入して取り締まりせざるを得ない。
そんな治安が最悪な危険地域が、平和な日本国内の某市某区内にあるとしよう。

その某市某区の某地区が、「独立した地方公共団体になりたい」と言っている。
理由は、「市の締め付けが厳しすぎる。われわれは独立した市になりたい」と。

この地区の内部は、揉めに揉めている。
【現状打破派】は、その前身は過激派だったがいつまでも生活保護で暮らせないから将来を考えようという派で、表面上の治世を担当している。地区長はこの派閥に属している。
だが、地区の内情はマフィアの如き【過激派】の勢力が圧倒で、住民投票をすると過激派のほうが多く票を集める。

【現状打破派】の中にはマトモな生活をしたい者もいるが、生活保護は据え置きで働く気が全くない者が大半を占めている。ピラミッド頂点の一握りの富裕層はともかく、それ以外は自分達の社会では仕事がないため、近隣市で働いてどうにか生計を立てている。
【過激派】は、あらゆる利権を掌握しており、その勢力を拡大することしか頭になく、生活保護を受けている貧困層にばら撒くことで支持を得ているだけ。生活保護を悪用した悪徳商法も横行している。

どちらの勢力にしても、今後の指針もプランも全くない。話し合ったことがない。
市から独立してどうやって地方財政を賄っていくのか?と問われても、答えることができない。
何かといえば、「うちは食べるものがないのに、市が締め付ける」、「私は病気で働けないのに生活保護が足りない」、「子供がお腹が空いて泣いている」、「家もない何もないのないない尽くし」と、可哀想で貧しい人達が全面的にテレビに出る。現状打破派や過激派の上層部の横領・腐敗は、一切映し出されない。
ボランティアのNGO団体は、彼らにせっせと食べ物を支給し薬を与えるが、実のところ、NGO団体は過激派の支配下で、NGOが作った病院や学校や支援施設は過激派のアジトとなっており、過激派と結託したボランティアスタッフも甘い汁を吸える仕組みになっているため、いくら何を支援したところで何の進展も進歩もない。

こんな危険な地区が日本国内にあるとして、市として独立させたらどうなるだろう?

イスラエル国民の大多数が、パレスチナが独立するならしてほしいと思っている。
入植入植というが、入植を善しと思っているのはほんの一部であり、入植地から撤退するべきだと思っている国民のほうが圧倒的だ。
彼らがイスラエルに一切頼らず、お互いに干渉せず、行政も通貨も流通も治安維持も何もかも、独立して勝手にやってくれるならそれが一番だ。けれども、何のビジョンも将来の指針もない状態でパレスチナを独立させたらいったいどうなるか。
生活保護と膨大な援助でどうにか食いつないでいるだけの地区が「独立した国」になったら、いったいどうやって国として施政し、財政を賄っていくのか。くどくどとその憶測を書く必要もないだろう。

大事なのは土地ではない。
土地だけはあってもロクでもない国はいくらでもある。横暴な施政で国民が飢餓に苦しむ国はたくさんある。そんな国を増やしたところで、世界の負担になるだけだ。
入植者がパレスチナの内紛や貧困や腐敗の原因なのか? イスラエルが入植地から撤退したら、パレスチナはその日から国として機能し、国民が健全な生活を遅れるのか? 
それは、あの狭いガザで実証済みだ。

順番としてやることは

 ①内部紛争をどうにかすること
 ②イスラエルへの暴力行為・テロ・誘拐を完全に止めること
 ③世界の支援を受けなくても生活できる社会を作ること
 ④国としての将来的な明確な指針を提示すること

これらの具体案を提示してから、国連に申請するべきでしょう?
というか、国連がこれらを全て独立条件としてパレスチナに提示し、その具体案や解決案を内部で話し合わせ、その答えを持ってから国連に来させるべきでしょう? その順番が完全に逆だ。
第一、国連で自分達の将来に関して世界の代表が話し合っているという当日、国境でイスラエル警備隊に向かって火炎瓶や石を投げ、イスラエルとアメリカの国旗を踏みつけて燃やすような人達を、国として独立させるべきなのかどうか、ちょっと考えたら分かるだろう。

蛇足ながら、昨日のアッバス演説に関して、日本の報道では「パレスチナ演説・大絶賛・拍手鳴り止まず」と書かれていますが、パレスチナ側からは、「過去に語り尽くされた古い内容」「弱腰」「何も伝わっていない」「完全に失敗」と評価されています。(笑)。

ああそれから、ついでだけど。
よく、日本の新聞などで「XX新聞のエルサレム特派員」という全く信用ならない怪しげな人達が、どこかで誰かからたまたま聞いた「イスラエルとパレスチナの美談」を取り上げ、「こういう交流がもっともっとあれば、仲良く共存できるのに」とお決まりのフレーズで締めくくっている。

だったら言っとく。
その手の話はイスラエルに溢れかえっている。
美談でもなんでもない。イスラエルで普通に生活していたらよくある話だ。
いちいち書かないだけで、こんな山奥の田舎で暮らしている私でも頻繁に身近で聞く話であり、また、仕事上でも頻繁に取り扱う当たり前の事柄である。そしてその共存は、全てイスラエルの法律に則ったものである。

つまり、もう「仲良く共存」しているのだ。
現状維持をしていたら、これ以下になることはない。

だが彼らが「今の状態」で独立したら、彼らの国民にどんな生活が待っているか。
少なくとも、今より悪くなることはあっても、今よりよくなることはない。
それでも彼らはそれを望み、世界はそれを強いている。

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いかがでしょうか?私も痛快というか、日本がいかにイスラエルとパレスチナを見ていないかを炙りだしてくれるような文章です。

参照記事: 「パレスチナ国家独立について」「イスラエル首相ネタニヤフ氏による国連演説」「和平プロセスの真実

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