NHKスペシャル 巨大津波「その時ひとはどう動いたか」その1

週末の礼拝の奉仕を終える月曜日は、なるべく休みの日のようにしようと心がけ始めましたが、今朝はお風呂かプールに行こうと思っていましたが、結局、録画していた番組を見ました。

NHKスペシャル 巨大津波「その時ひとはどう動いたか」

以前の原発事故の番組と同様、心を強く揺さぶられました。何度もテレビやインターネットで見た、津波が押し寄せる映像について、私はいつも「現場にいた人々はどう行動していたのだろう?でももう死んでしまったから聞けないよな。」と思っていましたが、この番組はそれを可能にしました。九死に一生を得た人々に直接取材して、そして作り上げた「被災マップ」「行動マップ」を、地震発生から克明に描いています。

私たちは何度も東松島市への救援旅行に行っていますが、奥松島では、宮戸島の住民は引きこもりの人一名のみが死亡、けれども島の付け根にある野蒜地域は二百名以上と言われています。この前の救援旅行では、牛網の人に、宮戸島にある引越し物件の可能性の話をしたら、「あんな危ねえどご、やべぇんじゃねぇ」という反応でしたが、そこで死亡者がほぼ皆無だったことを話したら驚いていました。また私は東京で地震を経験して、すぐにNHKの番組を見て、普通は至極冷静なアナウンサーが、気が狂ったかのように巨大津波の警報を読んでいたという話をしたら、それも驚いていました。「知らねがった」とのことです。

より安全であるはずの人々がかえって死んでしまった、そして外部にいる人々はその危機を察知しているのに、現場にいる人が分かっていない、ということをこの番組では取り上げています。それは一言、「心の罠」で要約できます。

災害心理学において、その行動をまとめることができるそうで、1)「正常性バイアス」、2)「愛他行動」、3)「同調バイアス」があるそうです。

1)は、逃げることをせず普段どおり近所と世間話をする等、非常時に「まさか本当だとは思わなかった」「こんなことが起こるはずがない」と現実として捉えられない心理作用のことです。

2)は、避難することを固辞した人までも説得するのに貴重な時間を喰い、自分の命を落としてしまうような行動です。他の人を救おうとする意識が過剰になってしまい、自分だけ逃げることで自分の心に残る後悔を払いきれず、人助けをすることに集中して危険を感じることを後回しにしまうという心理だそうです。

3)は、緊急時、複数の人数でいると「皆でいる安心感」を感じたり、また、判断に迷ったとき、周りの人と同じ行動をするのが安全だと考えてしまう心理作用です。「隣が動かないから大丈夫だろう」と考え、逃げ遅れたりします。

(番組では取り上げられませんでしたが、4)「エキスパート・エラー」というのもあるそうです。(こちら)一般人が専門家の意見や指示を「プロの意見だから」と疑わずに信じてしまい、そのとき相応しい判断を間違える心理行動、とのことです。事実、この名取市閖上地区の記事を探したら、次の文がありました。「「なぜ公民館に避難しないんだ、戻れ」。阿部さんは顔見知りの女性に強く注意した。女性は「公民館の人から、ここは津波の避難所じゃないので中学校へ移動するよう言われた」と答え、その場を後にした。」)

そして、番組の最後は復興計画を説明し、二重の防潮堤のことを話している名取市職員に対して、住民が「そんなこと言ったって、津波が来たらまた家に戻ってしまいますよ。そして同じように死にますよ。」と叫んでいる住民の声がどしんと響きました。

ぜひ、この番組を視聴してみてください。今のところこちらで見ることができます。

私は単に、これを防災面のみの問題として見ることができませんでした。日本国のような安定した先進国での生活に横たわる問題、そして、聖書で警告されている「突如の滅び」という大きな主題について示唆が与えられたからです。

その2に続く)

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