ネタニヤフ・イスラエル首相訪日(5月11-14日)

今、ネタニヤフ首相が訪日中です。

イスラエル首相が訪日=中東和平、経済促進を協議

フェイスブックに解説や報道の記事を掲載していますが、こちらのブログにもご紹介します。訪日中、新しい情報は掲載していきますので、この記事に付け加えていきます。

日本・イスラエル首相


Prime Minister Benjamin Netanyahu arrives in Japan with his wife, Mrs. Sara Netanyahu, for a working visit in Japan, intended to strengthen the financial and business ties between the two countries.
Prime Minister Benjamin Netanyahu arrives in Japan with his wife, Mrs. Sara Netanyahu, for a working visit in Japan, intended to strengthen the financial and business ties between the two countries.

ネタニヤフ首相が、昨日から来日しています。前回の訪日は私がアメリカから日本に戻ってきた1997年だったのではっきり覚えています。今回は5日間の滞在、首相会談だけでなく天皇とも会見、日本とイスラエル二国間のこれからを決める重要な時となりそうです。

安倍首相とネタニヤフ首相のために祈っていきたいと思います。

今のイスラエル、そして日本との関わりについては、聖書の歴史理解に加えて、豊富な、イスラエル建国の歴史、中東戦争の性質、そして現代イスラエルの素顔を知っておかないといけません。私は初歩的学習者ですが、初歩となるまでも、数多くの資料に当たる必要があるぐらい、複雑で、奥が深いです。神の摂理にある御旨はそれをはるかに越えて深いのでしょう。

私が記事を読んで、要点となるのは次のことだと思います。

中東和平について: 日本の中東和平に対する考え方は「中立」です。私たちは戦前の指導者を戦犯として罰する目を持っていますが、しかし日本はユダヤ人に対して独自の見方に基づいて、公平な取り扱いをしていました。その基盤があったのでイスラエルが建国したらすぐに、それを認知し、国交を結ぶ方向へと進むことができました。

日本は親アラブでもあります。経済的な結びつきがその大きな理由です。パレスチナに対しては多大な経済的貢献をしています。その経済面でイスラエルとの結びつきは極めて希薄であり、それが外交面にも影響を与えているという状況です。

安全保障について: ご存知のように、イスラエル国は1990年代から既にイランが世界秩序を崩す潜在的脅威であると位置づけていました。あのオウムサリン事件を、生化学兵器による無差別テロの拡散とその事件の同年にネタニヤフ首相は位置づけましたが、それは現在、彼の言う通りになりました。今でも、東京拘置所に世界からのテロ専門家が麻原彰晃に面会に来るぐらい、あの事件は重要な位置を占めているのですが、ネタニヤフ氏はそうしたテロ専門家であります。ですから、安全保障については、もちろん国益を代表する首相でありつつも、専門家として傾聴しなければいけない存在です。

したがって、安全保障の面でアラブやイランとも会話のできる日本が、どのように貢献できるのか、それは安倍首相の手腕にかかっています。ただ安倍首相としては、集団的自衛権の考えを固める国際環境になっているという見方と持つでしょう。首相が、国際環境の中でいかに日本が貢献できるかという実務者であってほしい、単に日本の軍事的地位を増すことができると考える機会主義者にはなってほしくない、と祈らされます。

経済促進について: 私はここが一番懸念するところです。今の日本の経済的萎縮状態を、イスラエルとの経済関係は如実に表していると見ています。イスラエルという国は、「異常な環境の中で、健常に生きようとする知恵」に満ちています。かつて反ユダヤ主義のヨーロッパにおいて、固定資産を剥奪されていくユダヤ人は、移動しても価値のある宝石や金融業を発達させ、ゲットー生活を強いられたことによって建築業を発達させた、という「逆境の中の発展」を繰り返してきました。現代イスラエルは、中東戦争の中でさまざまな技術を発展させ、農業先端技術、医療技術、そしてIT技術は世界トップに近い位置を占めています。

ところが、実体のないアラブ・ボイコットに怯えて、大きな経済機会損失を被ってきたのが日本企業です。アラブのことをお構いなしに、商魂たくましいお隣の中国と韓国はイスラエルとの結びつきで、どんどん発展させていく道を選んでいます。まして、イスラエル近海に埋蔵されている天然ガス発掘については、これまでの発掘技術ノウハウを持っている日本企業が大いに協力できるのですが、イスラム過激派の存在は恐れずにアラブ諸国と協定を結ぶ企業が、なぜかアラブ・ボイコットを恐れてイスラエルを敬遠するという矛盾に陥っています。

安倍首相は、外遊で日本を一生懸命セールスしていますが、今度は、イスラエルをセールスにきたネタニヤフ首相にどう応えられるのかが興味あるところです。


エル・アル航空の飛行機から、日本がネタニヤフご夫妻をお出迎え

パナソニック本部を訪問しました。

そこでの首相発言の要旨は次のとおり。「サイバー・セキュリティーは至上命題だ。全てのシステムはコンピュータ化されているが、脆弱性を持っている。サイバーセキュリティーは、あなたがたの事業に必然であろう。イスラエル政府は、政府とのみならず企業との協力を惜しまない。この分野で世界の大企業がイスラエルに来て、サイバーセキュリティーに投資しているが、あなたがたも歓迎だ。」

イスラエル友好議連の議員にネタニヤフ首相が会いました。

要旨は次の通り。「私たちは共通の絆があります。どちらも、技術的に先進的な民主主義社会です。あなたがたは、核武装した北朝鮮の脅威に面しています。私たちは核武装を願うイランの脅威に面しています。北朝鮮とイラクは協力し合っています。私たちは使命をもって協力し合わないといけません。日本とイスラエルの友好の松明を灯していきたいし、それは大きくなっています。友好の絆が強くなることを、この訪問を通して確信しています。」


安倍昭恵夫人が、ネタニヤフ夫人とツーショット
昭恵夫人とサラ夫人

サラ・ネタニヤフ・イスラエル首相夫人と安倍昭恵総理夫人の懇談の報告(外務省HP)

そうだったんですね、二国の首相夫人も懇談をされていたんですね。サラさんの言われる「子供のストレス」というのは、ハマスがガザから打ってくるミサイルによる爆音であるとか、防空壕での生活であるとか、そういったものでしょう。つまり災害時におけるストレスということで、被災地における子供たちの受けたストレスについて、共通の課題として考える良い機会だったのではないかと思います。


日本・イスラエルの共同声明を発表しました。

日・イスラエル首脳会談等-平成26年5月12日(政府インターネットテレビ)

<安倍首相>イスラエル首相と会談、対話と協力強化で一致(毎日新聞)

安倍晋三首相は12日、イスラエルのネタニヤフ首相と首相官邸で会談し、中東地域の平和と安定に向けて両国が対話と協力を強化する方針で一致した。両首脳は会談後、サイバーセキュリティー分野での協力や防衛当局間の交流拡大などを盛り込んだ「包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」を発表した。

イスラエルとパレスチナによる中東和平交渉が今年4月に中断して以降、ネタニヤフ氏が外国を訪問し首脳会談を行うのは初めて。

安倍首相は会談で和平交渉再開を要請し、「中東和平実現に向けて最大限尽力する」と強調。日本独自のパレスチナ支援策「平和と繁栄の回廊」構想を継続する考えを示した。

両首脳は今回の会談を安全保障に関する初の首脳級対話と位置付け、次回をイスラエルで開催することで合意した。ネタニヤフ氏は首相が掲げる「積極的平和主義」に支持を表明し、東日本大震災後に導入した日本産食品に対する輸入規制を撤廃する方針も伝えた。

安倍首相が会談で北朝鮮の核開発問題への懸念を示したのに対し、ネタニヤフ氏は共同記者発表で「首相の指摘はイランの核開発計画にもあてはまる」と述べた。【鈴木美穂】

日イスラエル共同声明の骨子

・サイバーセキュリティー協力

・閣僚級を含む防衛当局間の交流拡大

・投資協定交渉のスタートに向けた作業開始

・アジア太平洋地域と中東地域の平和と安定に向け対話と協力を強化

・安倍首相は日本が中東和平実現に最大限尽力する意向を表明

・イランの核問題解決の必要性で一致

外務省のホームページに共同会見の詳細な報告があります。熟読に値します。↓

日イスラエル首脳会談


13日は、いろいろな人に会ったようです。一番重要なのは、岸田外務大臣との会談でしょう。

会談の内容は、外務省のホームページに詳しく載っています。熟読価値ありです。

岸田外務大臣によるネタニヤフ・イスラエル首相表敬

小野寺防衛大臣と
小野寺防衛大臣と

天皇ご夫妻への謁見

時事ドットコムから
天皇、皇后両陛下は13日午前、イスラエルのネタニヤフ首相夫妻と皇居・宮殿で会見された。
宮内庁によると、天皇陛下が東日本大震災の際の支援に謝意を伝えると、首相は「あれは政府だけでなく、悲劇を目の当たりにした国民が心から支援をしたものです」と応じた。
またネタニヤフ首相は、両国には苦難を乗り越えてきた共通点があるとして、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と広島、長崎の原爆を挙げた。陛下は「ホロコーストは大変痛ましいことでした」と述べたという。(2014/05/13-14:18)

経団連の代表者らの昼食会
経団連昼食会


なぜ、こんなに静かなのか・・

私がせっせとこちらにアップしているのは、「マスコミがほとんどイスラエル首相訪日を報道していないから」に付きます。実は、イスラエルでもほとんど報道されていない、とのこと。

うすい関心:ネタニヤフ首相の日本訪問 2013.5.13

ネタニヤフ氏が中国訪問の時は、イスラエルでは連日報道されていたとのこと。この違いは、次の在イスラエル日本人の記事で明白です、イスラエルにとってアジア諸国でどの国との関係があるのか、について書いています。

どうでもいい

中国からイスラエルのしている輸入は、アメリカに次ぐ第二位です。韓国は軍事的つながりで圧倒的な親近感を抱いています。「イスラエルにとって最重要課題は国の防衛力で、それが信頼にも繋がります。イスラエルと韓国は「常に隣国との緊張と対峙し、アメリカと強い連携を持つ軍事力を誇る小国」という見事な共通点を持っています。それだけに信頼できる相手」とのこと。そして出稼ぎとして東南アジア諸国なのですが、日本はその後で出てくるかな?という程度。けれども、イスラエルは日本と強い結びつきを実はほしいのです。彼らにとって、イスラム教徒が少ない、反ユダヤ主義の歴史がないというのは、風穴が大きく開いたような開放感を感じるのです。けれども、日本がいたって無関心。これは今回の両首脳会談にて、上に紹介した、政府インターネットビデオで確かめればいいですが、ネタニヤフ氏の積極性と親近感に比べ、安倍首相はそっけない。私はフェイスブックでこう書いていました。

「会見の内容、共同声明は良かった。二国間の経済・技術協力はどんどん推進してほしい。けれども、安倍首相、もうちょっとネタニヤフさんに感情を示したらどうなのでしょうか?すべきことはしていますという事務的対応が見えてしまいます。(事実、安倍晋三や首相官邸のFBには、イスラエル首相訪日についての記事が全然出ていません。)けれども、ある意味これが日本のイスラエルに対する見方を代表しているかもしれない。つまり「無関心」。「イスラエル?なんか危なそうだし、あなたたちいなくても日本やってけるから・・。」というのが、日本人の総体的意見のような気がする。この無関心が、私はある意味、日本の衰退を表しているようで怖いです。」

日本がふっているので、イスラエルもそれだけの付き合いしかできていない、というのが現状です。私は、このことと日本の国力の衰退、中国、韓国と比べてクリスチャンの霊的力が小さいことは、あながち無関係ではないように思います。

「あなたを祝福する者を、わたしは祝福する。(創世記)」

しかし実は、日本もなかなか頑張っていた歴史を持っていますし、今回の実務的協力関係は結構、発展するのではないかと期待しています。


なるほど、アラブ・ボイコットを恐れている!

ついに出ました。なぜ日本のマスコミがこんなに静かなのか、日本に住むイスラエル人教授が説明しています。

‘Quiet’ PM Japan trip could presage big business deals
The Japanese want to work with Israel, but without fanfare, says an Israeli expert on Japan-Israel business relations
(「静かな」首相の訪日は、大きな事業取引を予感する。日本はイスラエルと手を組みたいが、大騒ぎせずにやりたいのだ、と日本・イスラエルの事業関係に詳しいイスラエル人専門家語る。)

「アラブ・ボイコットを未だに恐れている。だから静かにやっているのだ。」とのこと。他のアジア諸国はとっくの昔にイスラエル企業と提携し、多くの収益を得ているのだが、未だイスラエルが危なくて怖い国という意識が取り除かれていないとのこと。しかし、この二国間協定は非常に期待できるものだということ。

なるほど、安倍首相のそっけない素振りは、もしかして”アラブ”を意識してたのかもしれない。:)


イスラエルの都合で、ネタニヤフ氏の訪日が14日までになったとのこと。今日のニュースは、中東のインテリジェンスのニュースサイトから。

Japanese-Israel defense accords cover cyber security cooperation against China, North Korea and Iran(日本・イスラエルの防衛協定は、中国、北朝鮮、イランに対するサイバーセキュリティーの協力を網羅している)

私の尊敬するある聖書教師はイスラエルと関係のある方ですが、このDebkaというニュースサイトはモサドが関わっているものだとか。本当なのか?と思うのですが、けれども普通のニュースサイトには出てこない情報がてんこ盛りです。ちょっと驚く内容は、中国がイランの革命防衛隊と北朝鮮にサイバー戦争の技術を移転させたとのこと。また、ネタニヤフ氏が北朝鮮のような核実験がイランでも行われるという予測を公言したことです。


ついに見つけました、まもとなニュースを。NHK京都からです(動画付)。

イスラエル首相が入洛

日本を訪問しているイスラエルのネタニヤフ首相が14日、京都を訪れ、日本の伝統文化の「茶の湯」を体験しました。
京都迎賓館を訪れ、茶道裏千家の千宗室家元イスラエルのネタニヤフ首相は、今月11日から日本を訪問していて、14日、京都を訪れました。
上京区にある京都迎賓館で行われた歓迎行事で、ネタニヤフ首相は、裏千家の家元による茶の湯を体験し、「おいしいです。緑色をしたエスプレッソですね」と舌鼓を打っていました。
また、京都府の山田知事は歓迎のあいさつで「京都は1000年を超える歴史の中で日本の文化を育んできた地で、その文化に触れていただけることを心からうれしく思います」と述べました。
これに対しネタニヤフ首相は「我々もエルサレムという古い都から来ましたが、両国の強みは過去の遺産を次世代に伝えながら、科学など新たな分野についてもオープンであることだ。イスラエルの国民として日本に友情の念を感じています」と述べました。
******
考えてみれば、エルサレムと京都、似ている部分がある。でも、エルサレムのほうがずっと古いね、紀元前1000年ぐらいにダビデによって始まったけれども、京都は紀元後794年から都だから、1800年ぐらいの違いがある。

イスラエル人にとって、でも、先端技術を持っていて、かつ古の遺産を受け継いでいるという点では、魅力的なんだろうな。大韓航空でテルアビブに行く時、乗り換えの仁川空港でイスラエル人のご夫婦と少し話したけど、日本旅行が初めてとのことで、僕がイスラエルに行く理由で「惚れこんじゃったから」と言ったら、彼らも「日本に惚れこんじゃいました。」と言っていました!


下は、駐日イスラエル大使館にある、首相訪日のまとめです。

ネタニヤフ首相 来日の動き


なんと、毎日新聞が13日に、ネタニヤフ首相に単独インタビューをしていました!

イスラエル首相:ミサイル開発「イランの技術、北朝鮮に」

イスラエル:ネタニヤフ首相単独インタビュー 一問一答
(こちらは保存版にしたいので、掲載させていただきます)

◇東京五輪に協力

Q 東京五輪のセキュリティー対策に関心が集まっている。イスラエルは前回のロンドン五輪の際、ノウハウと技術を提供した。この問題について安倍晋三首相と協議したか。

A 東京五輪のためにセキュリティー面で積極的に協力する用意があることを伝えた。安倍首相は関心を示していた。実りの多い取り組みになると思う。イスラエルは多くの国と協力し、成功した経験がある。日本にも喜んで協力したい。

Q 協力の詳細について話したか。

A いいえ、現段階では。多くのことについて話をしたので。あらゆる潜在的な協力の可能性について話をした。イスラエルと日本の企業、政府間の協力は非常に大きな経済的機会を生み出せる。私たちは技術の時代に生きている。イノベーションだけが、私たちの製品とサービスの価値を増し続ける唯一の方法だ。日本は科学技術の中心であり、イスラエルも優れた技術力を持っている。私たちが協力することによって、エネルギー、水、農業、健康、情報技術(IT)などの分野で大きな成果を上げることができる。みなさんが持つ携帯電話の中には、イスラエル製の部品が入っているはずだ。また例えば、胃腸の具合を確かめるためカプセル型内視鏡をのむ。これもイスラエル製だ。世界で最もたくさん乳を出す牛は、フランスでもオランダでもなく、イスラエルの牛だ。なぜなら(酪農業が)コンピューター化されているからだ。牛のあらゆる動きが計算されている。さらに、日本にとって非常に重要な分野は、サイバーセキュリティーだろう。サイバー攻撃から発電所や個人の銀行口座をどう守るか。イスラエルはサイバーセキュリティー界の中心でもある。私たちは、この分野でも日本と協力したい。グーグル、マイクロソフト、アップルといった会社はすべてイスラエルに研究開発所を持つ。我が国で起きている爆発的なイノべーション革命を享受したいのだ。品質管理などさまざまな面で優れた点を持つ日本企業との協力は、さらなるイノベーションを進行させ、アベノミクスにも貢献できるだろう。

◇核武装国の脅威

Q 安倍首相との会談で、イランの核問題について、「日本にとっての北朝鮮の脅威と似ている」と指摘した。この問題で日本政府に対して何を期待するか。

A 核武装した北朝鮮とイランが同盟を組めば、テロ国家である両国に絶大な力を与えてしまう。イランと北朝鮮は既に互いに協力関係にあり、イランが核兵器を製造する能力を持ってしまえば、疑いの余地なく、全世界の脅威になる。安倍首相には、ほかの世界の首脳に会うときと同じことを述べた。イランに核開発能力を持たせてはならないということだ。核開発こそイランが核交渉で達成したい目標だ。経済制裁を解除してもらう一方で核開発の能力は残そうとしている。そんなことが現実になれば最悪だ。まるで北朝鮮のようになってしまう。

Q この問題でイスラエルと日本は情報交換しているか。

A (日本とは)以前より緊密な連絡を取り合っている。それは当然のことだ。我々が共に心配するのは、核開発をする「ならず者国家」(北朝鮮とイラン)だ。彼らは協力し合っている。だからこそ、我々だって協力して当然だ。

Q 専門家の中にはイランの核兵器と弾道ミサイル技術は北朝鮮をしのぐという意見もある。

A その通り。両国はお互い助け合っている。

Q 日本人が脅威に感じているのは、こうした技術がイランから北朝鮮へ渡ることだ。

A まさにその通りだ。だから私は、「P5プラス1(イラン核問題を交渉する国連安保理常任理事国と独)」が、イランに大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発をやめさせなければならないと考えている。核開発能力を破壊するのと同時にだ。なぜイランはICBMを必要とするのか。僅か数キロの通常爆弾を数千キロ運ぶのにICBMを開発する者はいない。唯一の目的は核弾頭の運搬だ。イランは核計画は平和利用目的だと言っている。それならなぜミサイルがいるのか。核が欲しい証拠だ。これはイスラエルだけの見方ではない。日本の視点でも国際社会の視点でも、イランに核開発の技術を与えてはならないし、運搬手段も持たせてはならない。

Q 核拡散の危険はどうか。

A 二つの懸念がある。まず、(イランは)獲得したいかなる技術も北朝鮮と共有するだろう。二つ目は、中東の他国が核開発に走るおそれがある。(核交渉で)イランと悪い合意を結べば、中東は大変危険な地域になってしまう。

◇交渉再開への道

Q アッバス・パレスチナ自治政府議長は、パレスチナ服役囚釈放や入植活動凍結などの条件をイスラエルが受け入れれば、和平交渉を再開する用意があるとしている。もしファタハとハマスの和解が失敗した場合、これらの条件を受け入れるか。

A 最初に問うべきは、パレスチナ自治政府がイスラエル国家の存在を認める意思があるかどうかだ。(ファタハが)ハマスと合意に至るまでは、その答えは「イエス」だった。パレスチナ人が平和を求めて民族として和解するのならいい。だが、手を結ぶ相手がハマスなら駄目だ。彼らは我々に対するテロを実行しているからだ。私は、ケリー米国務長官に聞かれた。「パレスチナ人全体を包括しないヨルダン川西岸パレスチナ自治区を所管するのみの自治政府と和平に合意したいのか」と。私は「そうだ」と答えた。なぜなら、イスラエル国家と平和共存したいパレスチナ人たちと和平を結ぶことになるからだ。しかし、彼らは今、ハマスと手を組んだ。イスラエル国家を絶対に認めず、テロで破壊しようとする者たちだ。だからアッバス議長は選ばねばならない。ハマスか、イスラエルかだ。二つは両立しない。彼がハマスとの合意を破棄することを望んでいる。もし彼らが統一政府を維持し、ハマスが我々にロケット弾で攻撃してくるようになれば、その責任はアッバス議長にある。平和を望みながら、そのような合意をするのはおかしい。

Q 昨年、和平協議を再開するに当たって、パレスチナ側はユダヤ人入植活動の凍結など三つの条件を挙げた。イスラエルは前提条件付きの交渉を拒否したが、今でもそうか。

A 交渉に前提条件をつけるのはよくない。会って話すのみだ。いつもそう思ってきた。アッバス議長がハマスとの合意を破棄すれば、和平交渉再開の道が開くし、そうあってほしいと思う。

Q 2国家共存による解決策は今や非現実的にも見える。専門家は現状維持はイスラエルの民主主義的価値を阻害し、このままでは事実上の単一国家になると指摘している。単一国家となり、ユダヤ人としてのアイデンティティー、もしくは民主主義的価値を犠牲にすることができるか。「イスラエルはユダヤ人国家」との理念を犠牲にすることができるか。

A そうではない。私は和平への希望を捨てるべきではないと考える。和平へ向かう解決策は、パレスチナの非武装化であり、パレスチナがイスラエルをユダヤ人国家として認めることだ。彼らは彼らの民族の国を持つ。我々は4000年住んできた土地にユダヤ人の国を持っている。しかし、和平を望んで我々がガザ地区から出ていくと、イラン、ハマス、その他のイスラム教過激派が入り、ガザから我々の街にロケット弾を撃ってきた。もうその繰り返しはご免だ。だから単一国家はいらない。また、イスラエルの隣にイラン国家(過激派が住む国家)があるのも望まない。

Q 現状維持もまた……。

A 現状維持は望ましいとは思わない。だから交渉しているのだ。(パレスチナ人を融合した)単一国家も良いアイデアではない。なぜなら、我々が撤退したガザは小さな「イラン」となり、我々と対峙(たいじ)することになった。再びそのような事が起きれば、レバノンのようにイスラエルの将来を脅かす「イランの対外基地」を国内に二つ抱えることになる。

Q ハマスがもし中東和平4者協議が提示した条件(イスラエルの承認など)を受け入れるとしたら。

A 残念ながらそのような事態が起きるとは思わない。ハマスは態度を変える気配はない。しかし、喜ばしいことに、イスラエルと中東諸国の関係は劇的に変化している。もちろん、多くのアラブ諸国はパレスチナの紛争終結を望んでいる。だが、同時にイスラエルを敵ではなく潜在的なパートナーだと言っている。彼らもイランの核開発やムスリム同胞団がエジプトを支配することを心配しているからだ。

その他の国も、イスラエルのすべての主張に同意せずとも、理解している。ロシア、中国、韓国、インド、シンガポール、さらに中南米やアフリカ諸国は、和平を望みながらも同時にイスラエルとビジネスしたいと言ってくる。私は希望を持って来日した。時は熟したのだ。イスラエルと日本も、経済、技術協力を高める時期が来たと思う。

◇米との同盟関係

Q シリアやエジプト、ウクライナなどの状況を見ても、米国の存在感が低下している。中東の不安定化への影響をどう見ているか。

A 米国は依然として世界で最も優位にあり、イスラエルとは非常に緊密な同盟関係にある。わが国は米国との同盟を維持する一方で、日本や中国などアジアの国々との友好関係も模索している。重要なのは、同盟関係を築くことに加え、独自の自衛能力を高めることだ。ほぼ2000年間、ユダヤ人は自分たちを防衛する能力が無く、その結果、ホロコーストという悲劇を招いた。イスラエルの建国以来、我々は常に同盟とともに自衛能力を高めようとしてきた。

Q イラン核開発を制限するための国際協議が続いている。全ての努力が失敗したとき、イスラエル単独で軍事攻撃する選択肢はまだ持っているか。

A 私が集中しているのは、核協議で交渉している超大国(5カ国+独)に、イランと悪い合意をしないよう呼びかけることだ。北朝鮮もそうだが、明日にも、来年にも(ミサイルや核爆弾が)できるかもしれない。私の関心は(イランを)抑えること。イランが核爆弾製造に成功すれば、イスラエルにも日本にも利益にならない。

◇ユダヤ人入植地

Q イスラエルがヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を拡大させている問題をどう解決するのか。

A 少なくともこの20年、私が首相になる前から新しい入植地はつくっていない。ただ住宅が増えているだけだ。入植地は本当に少しの面積でしかない。しかもガザの入植地は撤去した。本来、入植地は和平交渉の焦点になる問題ではないのだ。もう50年、ガザとヨルダン川西岸で紛争が繰り返されてきた。世界は入植地問題に注目するが、問題の核心は、パレスチナがユダヤ人国家を拒否していることなのだ。パレスチナの交渉担当者に言っている。本気で平和をもたらさねば紛争は終わらないと。

一方で国、地域の発展を続けていく必要がある。イスラエルは地中海と紅海をつなぐ鉄道事業を推進している。完成すればスエズ運河で何が起きても、日本は欧州市場にアクセスできる。我々は平和のために働き、強い経済を作っていかなければならない。


イスラエル在住の日本の方が書かれた、イスラエル首相訪日の意図についての記事です。私も、NHKの解説員は訳の分からないことを言っているなと思いました。

ヒール

この記事の推測する両国の思惑も、おっしゃられているとおりかもしれないし、それぞれが置かれている国際状況と時代の変わり目に来ていることについてとても同感できます。ただ「日本が戦争ができる国になっていく」と嘆くだけでは、むしろ戦前に、国際状況をみないで騒ぎに騒いで戦争を煽った国民世論と変わらなくなってしまいます。国際環境をしっかり踏まえた上で、それでもって日本の持つ役割を考えた上で、武力を海外で行使できるようなものにしてはいけないという論議であれば傾聴に値しますが(例:日本は武器を持たずとも交渉と仲介の役割を演じることができる、という実際にテロリストと交渉する仕事を行ってきた日本人がいました)、非常に閉鎖的な空間の中で平和を連呼しているのであれば、やめたほうがよいと思います。まずは国際環境をしりましょう。そして国際環境にはイスラエルというのは、聖書が言う通り中心的役割を演じているということを忘れてはなりません。

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