テロはもはや「議論」ではなく「対策」の時
前記事でご紹介しましたように、イスラム国による日本人人質殺害予告について、クリスチャンとして執り成すことが、いま先決です。それ以外に、何をしなければいけないのか?まず、「対テロ戦に日本も入った」ことを認識すべきです。対テロ戦、とは心構えのことです。安倍政権批判は結構ですが、今の時点でこれを梃子に批判をすることは、まさにテロリストの目的を達成させてしまうこと。このことだけは、最低限守ってもらいたいです。イスラーム思想の研究者である池内恵氏が、今、日本が置かれている状況を下のブログ記事で指導しています。お二人の人命のみならず、これからの日本人やその他の国々の人々の安全と生命のためには、必読とも言える大切な文章であります。
「イスラーム国」による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ
また、次の記事もテロと隣り合わせになる社会をどのように生きなければいけないのか、また別の研究者が良い指針を与えてくれます。
ぜひ文脈を知ってほしい
そして、なぜイスラム国が人質殺害予告をするに至ったのか?その文脈は、まさに先日ご紹介した安倍首相の中東歴訪と聖書預言の記事です。
ヨルダン・エジプト・イスラエルのイスラム国対戦の支援
ツイートでも、以下のようにまとめました。お読みください。
私はかねてから、安倍政権の政策に、同意できないものも多くあるけれども、全否定するのではなく良いところを評価していきたいと思っていました。その一つが「価値観外交」です。日本が空気のようにして当たり前にもっている自由と民主主義。それを共有している国は信頼でき、緊密な相互の経済協力をしていく、ということです。その積極的、平和的関与によって、不安定な地域のその要因を取り除く手助けをしていく、という考え方です。もちろん、戦略的に価値観の異なる人々といかに共存すべきか、ということも模索しなければ、現実的ではありません。しかしこのことも、足りない部分はありこそすれ、中国との「戦略的互恵関係」やロシアとのつながりや、日本の外交ルートを価値観でごり押しにしない点というのも大切でしょう。
中東とイスラエル・パレスチナ和平についても、当時の麻生外相の時から持っている「自由と繁栄の弧」という構想でこれまで多大な経済援助をしてきました。これまではアラブを恐れてイスラエルとは大きな距離を取っていたのですが、そのアラブが「アラブの春」以降、完全に地政学が変容しました。イスラムという宗教に対して穏健、そして国の発展と繁栄のために西洋諸国とも現実的に提携、という国々(ヨルダンとエジプト)が、イスラム過激主義に対して、近隣にいるということもあり、今の西洋諸国以上に激しく反攻している中、イスラエルは静かに支援しているという絵が去年から浮かび上がりました。
イスラエルという国も、ヨーロッパやロシアの社会主義や啓蒙思想を抱いたユダヤ人が建国したものですが、しかしその地域において歴史的な反ユダヤ主義の重石があったことも事実であり、今、「イスラム」という要素によってその歴史の繰り返しが徐々に見えて来ています。第三の道の模索を始めました。それは、欧米一辺倒にならない、多角的アプローチです。アフリカとも良い関係を持とうとしていますが、何よりも一世代にして経済発展を成し遂げた東アジアは、イスラエル指導層にとってできれば関係を深めたかった国です。中国、韓国、他の新興国との関係を築きましたが、日本が加わりました。
そして、日本の安倍政権はと言いますと、どこかにアメリカが自分たちから離れていくのでは?という最悪のシナリオも想定して、同じように欧米一辺倒にならないという道を探っているからこそ、アフリカ、アジア、中東と、数多くの国々にいって仲良くしていきました。その中にイスラエルが位置します。日本は、アラブ諸国に対しては確固たる地位を気づきました。今、自由と民主主義と根底から異なるイスラム国という出現を、「近代史以降の脅威」として位置づけ、エジプトで語りました。
「ヨルダン」が最前線で戦い、これを「第三次世界大戦」と呼び、「エジプト」が思想的宣戦布告をし、それを「イスラエル」が支えている、この対イスラム国への反攻を支援する姿勢を示した、これこそが、イスラム国に最も嫌がれたことでした。
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