正義の戦争、イスラム国、日本の役割

最近、あるところで投稿した記事を、手直ししつつ、まとめてご紹介したいと思います。

「正義の戦争」は存在する

イスラム国についてのニュースは、最近、シリアとイラクでその領域を失っていっているという報道があり、これで終わりか?と思いたい状況ですが、決してそんなことはありません。イスラム国はその本質は領域国家ではなく、イデオロギーだからです。ちょうどキリスト者が信仰によって生きる時に、そこに神の国が広がるのと同じです。

イスラム国の終わりは近いのか?

下はアメリカのテレビ番組の案内です(ビデオ付き)

Exposing the ISIS killing machine(イスラム国の殺戮装置を暴く)

yezidis「正義の戦争」という議論を少しある方としましたが、私にとって絶対平和主義は聖書的だと思わないだけでなく、実存的に受け入れられません。ナチス・ドイツによる戦争、ユダヤ人等の虐殺の時にそれに戦った軍について、武力を行使したということでそれを罪と断じることが果たしてできるのだろうか?私は連合軍のしたことの全てが正しいなどと決して言いませんが、このことについて、主は彼らを用いられて、悪の拡散を制止するようにされたのではないか?

そして、今のキリスト教会の中にもある感情的な絶対平和主義の考え方に付いていけないのは、ナチスによるユダヤ人殺戮と同様、いやそれ以上の緻密な計画的殺戮と虐殺が現在進行形で行われているという現実です。人の罪深さ、悪魔の仕業は止むことなく継続しています。その時に、軍によることなくして制圧することの他に選択肢がない場合があります。

上のテレビ番組は、イスラム国から、米軍の空爆等の援護を受けたクルド人のペシュメルガが奪還した、シンジャルのいう廃墟と化した町から、生還したヤジディ教徒の証言を確認する、数々の悍ましい所業が確認されていることを、フランス人の神父が案内しているものです。日本語では、以下の似たような内容の記事を見つけました。

イラク ISから奪還したシンジャル ヤジディ教徒の悲劇 報復行為の懸念も

ISに陵辱されたヤジディ教徒の女性が訴える真実

その神父さんは、ヒトラーなど大量虐殺を行なった者たちの研究をしてきたそうなのですが、イスラム国は考えられていた以上の、緻密で組織的な殺戮を、短期間の内に行ったとのこと。ヒトラーが長い期間かけて行なったことを、彼らは敏捷に成し遂げたとのことです。彼は彼らのことを、「殺戮装置(killing machine)」と呼んでいます。

そして、この装置をどのように制止することができるのか?との質問に対して、神父さんは間髪入れずに「武力によって」と答えています。ヒトラーの時もそうだったでしょう?と言って、それから、レポーターは「その思想と戦わないと」と付けたしたら、やはり神父は、「そしてその思想を実行している者たちを殺すことです。」と強調しました。私も同じ考えです、正義の戦争とはこのことを言っています。このことと、憎しみや復讐心から人を殺害するのとは明確に区別しなければならないと考えます。

「殺す」と「殺害」の違い

北朝鮮はスターリン式の強制収容所が存在し、そこから脱出した人々の証言によれば、成人映画、ホーラー映画等でも決して表現できないような、言語絶句の虐待、おぞましい事が組織的に行なわれています。私はそれに対して、どこかの国の空軍が空襲しろとは決して言いませんし、してはいけないと思いますが、このような絶対的悪、想像を絶する罪を人は有しており、神は時に力を行使して裁かれるということは、聖書が書いていることであると思っています。

日本国は既に戦争をしている

ここで、事実確認をしなければいけないことがあったのに、しておりませんでした。それは、「日本国は既に戦争を行なっている。」ということです。かつてのイラク戦と同じように、日本は公式に対イスラム国の有志連合の中に入っています。ですから、正義の戦争は聖書的なのかどうかという議論の前に、日本が既に戦争状態にあるのだ、という共通認識を持つべきですね。(米国国務省のサイト

このことに基づき、外務省のサイトでは、「ISILに闘うため」非軍事部門で、エジプト、トルコ、エジプト等に、技術供与や人道支援を行なっていることを明言しています。そして二年前、安倍首相の歴訪の時(エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ)の時に、カイロでの演説で行った「ISILと闘う」という総理の文言をつまみ上げられて、イスラム国が後藤健二さんと湯川遥菜さんをビデオに出した、という経緯があります。そしてイスラム国の発行する雑誌には、何度となく、日本国を十字軍の中に位置づけて、世界にいるムスリムに聖戦を呼びかけており、後藤さんと湯川さんの後にも、何人か既に海外で殺されています。

対イスラム国戦争については、バチカンでも何度となく法王が、「使徒行伝以来の最大のキリスト教徒に対する迫害である」と位置づけ、「第三次世界大戦の断片が既に始まっている」という言葉まで使用しています。そして、軍事的対処を強く支持しています。ナチス・ドイツは過去の歴史検証ではなく、その世界支配の脅威は今現在、全く違った形でですが起こっているのです。まず、この共通認識が必要だと思います。

私は個人的な意見として、この有志連合への日本国の参加を強く支持しています。そして、ヨルダンが今、イスラム国との戦いの最前線に置かれており、膨大な難民を抱え、経済不安は高まっています。世界各国が経済、軍事援助を行なっていますが、オバマ政権はなぜか、イランとの関係正常化のほうに大きく中東政策をシフトさせ、スンニ派アラブ諸国との同盟を置き去りにしました。しかも、イランはシーア派の過激主義による第一の国であり、そんな国との正常化という非現実的な対応をしているという現状です。

そんな中、地政学的な大きな空白が今、生まれており、スンニ派アラブ諸国は驚くべき動きに出ました。サウジアラビアを中心にしたイスラエルとの平和へのアプローチです。そしてイスラエル・パレスチナの和平については、従来の欧米による仲介ではなく、エジプトの仲介というアプローチをかけて、イスラエル政府もそれを歓迎しています。そんな中に日本がいます。

我が国の中東支援(外務省)

今年、私は聖地旅行でヨルダンに行きましたが、観光客が沢山訪れることのできる、イスラエルと並んで、中東で数少ない治安の安定した国です。上記のような問題を抱えていることは信じられないぐらい、キリスト者が巡礼するのに快適な環境を提供しています。そして、新しい博物館やきれいに舗装された道路やら、至る所に、日本ODAの資金や技術による援助の足跡が残されています。

イスラム国と最前線で戦うクルド人

そして、対イスラム国においては、戦場における最前線はもちろん、イラクのクルド人によるイスラム国戦闘員を相手にした戦いです。ここにも日本との連携が浮かび上がっています。この歌手ヘリー・ラブ(Helly Luv)さんも、日本の日の丸を腕章に付け、確実に日本が自分たちと一緒に戦っていることを喜んでいる姿が出てきます。

「声」と「音楽」を武器にISと闘うクルド人女性アーティスト

ところでクルド人と日本は「難民」でつながっています。「ワラビスタン」というう言葉ができるぐらい、埼玉県蕨市にクルド人難民のコミュニティーが形成されています。

そしてクルド人とキリスト者もつながっています。イラク戦争によって、戦後、福音宣教がクルド人自治区内で急速に進みました。ムスリム宣教関係者によると、「クルディスタンはイスラム教下の民族でも独特で、男女の権利がイスラム圏で最も平等、女性兵士が子供を親族に預けて戦っている。一方で、クルド人クリスチャンがどんどん増えている。」とのこと。私も去年一月に、アッシリヤ人クリスチャンの宣教師が、クルド自治区で難民援助をし、数々の人がイエス様に出会っているという報告を聞きました。

以上、対イスラム国戦争、日本の立ち位置、ヨルダン、クルド人、そしてキリスト者との関わりという多岐に渡りましたが、私たちが今、この世界で生かされていることの意味について考える材料としていただければと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です