重厚な建国の歴史紹介
先の、「サイクス=ピコ協定」についての書籍の紹介で、時のユダヤ人の離散と帰還についても触れましたが、ここで思い出したのが、ハーベストタイム・ミニストリーズ出版の冊子で連載された、以下の「イスラエル建国史」です。
紀元後70年のローマによるエルサレム破壊によって離散したユダヤ人が、どのように離散した地で社会を形成し、それから近代に入り、祖国帰還が起こったかを概観することができます。この重厚な内容を無料で読めるのは、凄いです。
ちなみに、以前紹介した、物語調の本「イスラエル建国の歴史物語」が読み易いと思います。そして、しっかりとイスラエル近現代史を知りたい方は、邦訳されたものとしては「イスラエル全史」をおすすめです。
左翼と陰謀論の反シオニズムには注意
イスラエル建国やシオニズムについて、ネットや一般書籍においては、学術的で客観的なものもあるのですが、多くは、反シオニズムに基づく、左派からのもの(シオニズムを人種差別主義と決めつける、など)や、陰謀論が多いので、そうした情報を読むと、いつの間にか反イスラエル感情が刷り込まれて、イスラエルに関する情報を見ると、何でもかんでも否定的に読みこむ癖ができてしまいます。ですから初めに、上記のような事実を積み上げた歴史を知っている必要があるでしょう。そこで、日本における親ユダヤと反ユダヤを網羅した本は次です。
シオニズムはいろいろ
学術的なものといえば、昨日、とても読み易い記事がありました。題名はちょっと変ですが、内容は面白いです。ロシア・東欧のユダヤ人から始まったシオニズムが、ユダヤ人が生き残るため、従来の「女々らしさ」ではなく、マッチョで生き残る道を選んだというのは、その通りでしょう。
シオニズムとは何か
――イスラエルの孤立化と軍事信仰の起源 鶴見太郎 / ロシア・ユダヤ史
筆者自身が最後に言われているようにシオニズムの一面のみを取り扱っているものだと思います(そうした断り書きがあること自体が、筆者が良く調べていることを示しています)。イスラエル建国への歴史はもっと幅広く、シオニズムの考え方もいろいろあり、それを知りたいなら一番上の、滝川義人氏によるものが良いです。私がぱっと思いつくだけでも、「政治的シオニズム」「労働シオニズム」「修正シオニズム」「文化シオニズム」「宗教シオニズム」「クリスチャン・シオニズム」などがあります。私たちに最も身近なのは、もちろんクリスチャン・シオニズムです。日本語では、BFPのティーチングレター等がります。