イスラエルの首相ネタニヤフ氏が訪米し、オバマ大統領との会見を済ませて、本日9日にイスラエルに帰国する予定だそうです。今回は、数多くのメディアに出ました。私は、CNNのラリー・キングのインタビューを見ました。
ネタニヤフ首相は、いつになく穏やかで、筋を曲げず、かつ紳士的に応答している姿が印象的でした。下はYoutubeの動画です。
たぶんパート3の最後の方でしょうか、彼がマスコミに出てこない和平への努力を力説している部分で、西岸地区における経済復興のことを言及していました。そして検問所をかなり除去し、経済が発展し、現代的なお店も出てきて華やかになってきた、というようなことを話しています。
私が今回のイスラエル・ヨルダン旅行で驚いたことの一つは、この西岸地区の検問の、信じられないぐらいの緩さと、パレスチナの人々の顔の明るさと穏やかさでした。事前に調べるナブルスへの旅行情報はすべてがイスラエルの占拠、貧しさ、検問の理不尽さなどでしたが、5月下旬時点では完全に間違ったものです。ラマラとナブルスの風景は、エルサレムなどの大都市に比べればあまりにも小規模ですが、それでも静かに発展している小都市の様相を呈していました。人々も普通に平穏に暮らしているという感じで、99年の第一回イスラエル旅行における、第二次インティファーダ前のベツレヘムの姿と似ていました。
パレスチナ情勢について語る人々は、本当に親パレスチナなのであれば、このパレスチナ人の姿をなぜ紹介しないのでしょうか?パレスチナを愛しているというよりも、イスラエルを憎んでいるその敵意が前面に出ています。
ナブルスを紹介する、パレスチナ人によるサイトがあります。ここにも、「マスコミには出てこない、パレスチナの文化や歴史を知ってほしい。」という普通の人々の生活、歴史遺産、文化を紹介しています。彼ら自身も、マスコミの扇動報道には辟易しているのです。
私が「エルサレムの平和のために祈れ」という聖書的命令の中で願うのは、この両者の経済的、社会的発展です。現地の親パレスチナ活動家は本音では知っているでしょうが、パレスチナが自力で経済を復興させることは到底無理です。生活基盤もさることながら、人々に働こうという気力がないそうです。あまりもの援助を受けてしまったためでしょうか、援助から脱却できない体質があるのかもしれません。いずれにしても、ネタニヤフ首相がいま行なっているようにイスラエル側の積極的な働きかけを彼らは必要としています。
パレスチナ自治区を国家にすべきかどうかは私には分かりません。ハマスと自治政府の関係が悪化している今、イスラエルが国家を認知したところで内部分裂するのがおちでしょう。
けれども国家にしたいならば、そのための準備は指導層の和平交渉だけではなく、むしろ一般市民の絶え間ない勤労努力が必要です。自分たちの国を造るという真の愛国心が必要です。以前は、彼らはイスラエル領に出稼ぎに行くことができたのですが、そのような自由と良い治安の回復が一番必要だと思います。そして国家ができても、イスラエル領でアラブ人市民がその基本的権利を守られているのと同様、そこにいるユダヤ人入植者の基本的権利を守り、ユダヤ教やキリスト教の遺跡の保持にも努力するべきです。
・・・現在の時点では、そのような発想の転換は到底無理でしょう。国家にしたら、自分たちがイスラエルの占領を非難していたのと同様、多くの非難と批判に耐え得なければなりません。多くの責任が伴なうのです。