この二つのNHK「クロ現代」の番組を見ました。
「アメリカに監視される日本 スノーデン未公開ファイルの衝撃」
NHK クローズアップ現代+ 「アメリカに監視される日本 ~スノーデン“未公開ファイル”の衝撃… 投稿者 WWAYY
「プライバシーか?セキュリティーか? スノーデン日本ファイルの衝撃~」
NHK クローズアップ現代+ 「プライバシーか?セキュリティーか? ~スノーデン“日本ファイル… 投稿者 WWAYY
非常に興味深いです。昔、イラク戦争後に出版された、次の元CIA職員による本によって、衝撃を受けました。
「CIAは何をしていた?」(ロバート・ベア著)
※ちなみに、この本はもう一つ同じ著者による本と合わせて「シリアナ」という映画化になりました。
CIAの官僚化の問題を指摘してしており、いわゆる現地で手を汚し、汗を流す現場の諜報員をなおがしろにして、ワシントン本部での政治的駆け引きにたけている者が登用されていくという体質へと変わっていったとのことです。テロが、組織から次第に緩いネットワーク化する今、生のテロリスト、生の現場ではなく、先端科学技術に過度に依存していく諜報機関の存在が浮き彫りにされています。
一般に平和主義的であると言われる指導者と、好戦的と言われる指導者が、必ずしも言われている通りでないことは、オバマ氏が大統領であった時にそうであったことは、元CIA,NSA職員であったスノーデン氏が明らかにしています。オバマ大統領は、中東地域において、イラク戦争を指揮したブッシュ大統領を激しく批判、そして増派ならず、撤退させることを公約に掲げ、実行しました。世界はブッシュ政権への強い批判がある中で、その考えは人気がありました。しかしブッシュ氏は、「撤退すれば、もっと危険な、カルト的イスラム過激集団が出現する」という、イスラム国を預言するかのような発言をしていました。(Youtube動画 )
オバマ大統領は、このように「不関与による関与」という中東政策をとりながら、対テロ戦においては、「ドローン戦争」とおいう、人の手を汚さない戦争を強力に推進させました。
大量の情報収集の是非
現代クロの番組内容に戻りますが、私は、二人の諜報専門家の日本人の言っていることに頷いていました。一人は茂田忠良氏(元・防衛庁情報本部電波部)は、「日本国という防衛や安全保障について制約が課せられている国は、軽武装ゆえに、自分で国際情勢を判断できるようにする判断力を持たなければいけない」と、暗にサイバーの監視システムの日本国の導入を支持しました。
また土屋大洋教授は、先に説明した「ヒューミント(現場の諜報員によるもの)」と「シギント(電子によるもの)」の二種類の諜報活動を挙げて、シギントについて「日本政府は弱く、法的な制約がある。オリンピック間近であり、「スノーデン・ファイルの13ファイルを読めば、日米同盟がうまく行っている証拠ではないか」と言っていました。そして、大量の情報収集について、「情報が何もない中では、国は何もできない。」とのことであり、「プライバシーとセキュリティーのバランス」については、「それぞれの歴史と文化で、議論が変わる」とのこと。テロ活動が活発なイギリスでは、プライバシーをある程度犠牲にしても監視は行なうべきであり、ドイツではナチス・ドイツの痛い経験からプライバシーの制約にはかなり慎重だということです。
日本関連スノーデン文書をどう読むか(土屋大洋 ニューズウィーク記事)
日本は、「軽武装」であろうとするならば、他の分野で長けていなければ安全保障は確保できないという現実があることを教えられました。目に見える武装が出来ない分だけ、目に見えない武装をしなければいけない、ということです。
ロシアのハイブリッド戦争
今、「プーチンの国家戦略」(小泉悠著 東京堂出版)を読んでいますが、改めて読後の感想は書きたいと思いますが、そこにロシアが、ソ連崩壊後の軍事力回復のために、戦争布告せず非正規軍で攻める「ハイブリッド戦争」という携帯を取っていることを、詳しく説明しています。クリミア半島をロシアが併合した過程でありますが、「あれが戦争だったのか?」と思われるほど、戦死者がほとんど皆無という中で貫徹され、目に見えない形で戦争を進行させることができる、というものです。
ハイブリッド戦について(海上自衛隊による記事)
そしてテロリストの側でも、著書「イスラーム国の衝撃」にあるように、インターネットにおいて思想を拡散させることによって、感化されたものが、包丁一本でも勝手に殺傷できるという「ローン・ウルフ(一匹オオカミ)型テロが拡がりました。このように、NSAなどの情報収集、ドローン戦、ハイブリッド戦、そしてテロリストによるネットによる思想拡散のいずれも、戦争が「目に見える戦争」から、「目に見えない戦争」へと変質しているのだというのが、現代の潮流と言えるでしょう。
獣の国における監視
スノーデン・ファイルにおいて浮き彫りにしている問題は、もちろんプライバシーの侵害です。しかし聖書では、黙示録13章にあるように、終わり日は世界を支配する総統が、六百六十六という数字の刻印を、額と右の手に押させるという、全体監視体制が特徴となっています。
「また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。(13:16-17)」
全知の神による監視
しかし、元を正せば、人による監視より、もっと恐れなければいけないことがあります。全地全能の神がおられる、ということです。かつて日本は、「お天道様が見ている」という言い方をしましたが、聖書には、天地万物を創造された方が、事実私たちのすること、行なうこと、思っていること、言っていることの全てを見ておられる、ということを記述しています。
「主よ。あなたは私を探り、私を知っておられます。あなたこそは私のすわるのも、立つのも知っておられ、私の思いを遠くから読み取られます。あなたは私の歩みと私の伏すのを見守り、私の道をことごとく知っておられます。ことばが私の舌にのぼる前に、なんと主よ、あなたはそれをことごとく知っておられます。(詩篇139:1-4)」
「造られたもので、神の前で隠れおおせるものは何一つなく、神の目には、すべてが裸であり、さらけ出されています。私たちはこの神に対して弁明をするのです。(ヘブル4:13)」
ですから、究極的にはプライバシーというものは存在していないのです。自分の行なうこと、言ったこと、思ったことは全て、神の前にさらけ出されており、そのことに従って、公正な裁きを、地上にいる全ての人が受けることになります。
この知識は恐ろしいものですが、しかし慰められることでもあります。全てのことを知っておられて、人が全て悪に傾くことを知っておられるので、自分で自分を救うことが出来ない人類に対して、神からの救いを備えてくださいました。キリストがその、プライベートに犯している罪、悪いことも含めて、身代わりに十字架の上で罰を受けてくださったので、全ての記録を、神の文書から、その流れさた血によって拭い取ってくださるのです。完全に証拠抹消を、裁き主本人が、ご自身の愛のゆえに行なってくださいました。ゆえに、キリストにあって、人は神が全て知っておられるということについて、むしろ安心していられます。
聖書の神は、プライベートの隅々まで知っておられて、なおのことその傷をご自身に負って、私たちを受け入れてくださる方です。