以下はフェイスブックで行なった投稿です。
キリスト教関係者による、「平和」の名の暴力行為を考えてみる
以前から、ブログでは「平和活動」という名の下でキリスト教関係者が、排他的な政治行動への化している点について、多く書いてきました。最近では、次のような暴力行為にまで発展しています。
なぜ、「キリスト教」関係者が「暴力的」になるのか？しかも、そういった人々に限って、「平和」のイデオロギーを掲げて正反対のこと、裏腹のことをしているのでしょうか？
ここに、リベラル派の教会で信仰を持ってから、福音的な信仰に変わった経歴を持つ方が書いている記事があります。その体験から感情も込めて語っておられますが、なぜそうなってしまうのか？事の本質をしっかり話してくださっています。
「リベラル派クリスチャンの矛盾 正義を叫ぶ人にも潜む暴力性、逃れられない人の罪」から：
「リベラルの人々が抱える最大の問題は、人間の抱える罪の問題に対して、あまりに理解が浅いということです。人間の理性に信頼を置くリベラルは、人間の悪に対して驚くほど無力です。」
（関連記事：「「悪を善、善を悪とする」時代」）
「かつての自分と向き合う リベラル派クリスチャンとの議論をめぐる考察」から：
「ポストモダン。個人の感情や感覚が絶対化される時代。リベラルが従来、重要視していた筈の人間の理性も、論理的に議論するということすらも、どこかへ行ってしまった時代。個人の感情が絶対化され、受け入れがたい相手は拒絶するのが当然の社会。私たちは、そのただ中にいるのだということです。」
（関連記事：「感情の絶対化」）
私も上の二つの点を心深いところで感じています。人間がとことん堕落しているからこそ、私たちは自分の理性や感覚に拠り頼めない危うい存在なのだ、だから神を信じ、聖書にある神の言葉に頼っているのだという保守的な立場です。
※リベラル派そのものが悪だと思いません。多くの平和的な、保守的な人たちを含め多様な考えの人々と付き合う、真正なリベラルの方々も多いと思います。リベラルは元々、寛容を掲げていた思想であり、神を敬いさえすれば大事な価値観だからです。しかし、上に挙げられたリベラルの中にある人間観のゆえに、著しい自己矛盾に陥っていると思います。
関連記事：「「平和活動」対「キリストの平和」」
リベラルと排外主義の親和性
終戦記念日が近づいてきましたが、その度に、キリスト教会の中で過去の日本の戦争行為に対する過ちを思い出し、現代の日本の右傾化を憂う集会が持たれています。そこで語られる歴史観に、私は大きな疑問をずっと前から抱いています。
上と同じ記事からの引用ですが、私も全く同じ歴史観を持っていました。それは、「今の欧米リベラルにこそ、かつてのナチスの優生思想のような非人間性があり、今後も世界に荒廃をもたらす」という確信です。こう書いてあります。
「20世紀初頭に欧州で行われたという実験のことです。孤児院の赤ん坊を二つの組に分けて、一つの組には愛情込めて世話をし、一つの組には愛情を注がず、機械的に世話だけをした。すると、後者の組の赤ん坊は廃人のようになってしまった。この実験の結論は、赤ん坊が成長するには愛情が必要ということです。
絶句しました。赤ん坊に愛情が必要。そんな当然のことを証明するために、赤ん坊を犠牲にした、ということが信じられませんでした。こんな実験が当然のごとく行われる時代だったからこそ、二度にわたる世界大戦が起きたのだと腑に落ちました。」
当たり前の感覚（ここでは赤ん坊に対する愛情）を無視し、知性と情を完全に区別して知性が暴走するというのが、西欧の思想の脆弱さです。非西欧の人たちは、理屈は言えないけれども、「これ変でしょう」と全体のバランス感覚を持っているのに対して、西欧は理性で世界を支配するという思考があります。それがかつての大航海時代、そして欧米列強の植民地主義なのですが、大戦後、西欧はリベラル思想に転換しました。しかし知の暴走という脆弱性は残っており、その価値観を世界に広げて支配しています。しかし大本の欧州は倫理的、霊的退廃が酷く、移民問題で大混乱、極右による対抗が見受けられるのです。
そして記事では、ナチスの優生思想、ホロコーストを言及し、こうも言っています。
「歴史は繰り返すと言い、多くの人がいつか来た道をたどっているのではないかと憂いています。繰り返されているのは、排外主義や軍国主義だけなのでしょうか。行き過ぎたリベラルによる倫理的退廃があり、それに対する反発を利用して排外主義が巻き起こる。その両者が、セットで繰り返され、悪に用いられているのではないでしょうか。最も重大な問題は、人間の理性に過度の信頼を置き、人間の悪を軽視するリベラルという思想そのものにあるのではないか。わたしはそう考えています。
日本でも同様で、戦前、すでにリベラル派が中心となっていたキリスト教会には、軍国主義に抗う力はほとんどありませんでした。無理からぬことだと思います。殉教に際してまで信仰を貫くというのは、人の意思の力でできることではありません。自分の罪を思い知り、ただ神にだけ信頼する、その時、神ご自身が助けてくださってはじめて可能になることです。」
（関連記事：「秘密保護法案とキリスト者の迫害」）
リベラルの行き過ぎが、必ず排外主義をもたらします。今の日本のキリスト教会が、終戦記念日や建国記念日などで、排外主義だけを問題視するのですが、歴史は「極端なリベラルと共に排外主義が台頭していく」ことを教えています。これを知らないと、「戦前回帰にならないようにしよう」と声を挙げているキリスト教会こそが、まさに戦時中のような排外主義をもたら」きっかけを作っていることに他ならないのです。
FBにおいて、当記事のコメントを入れてくださった方がいました。言おうとしたことを、さらに咀嚼してくださっていて、助かります。
「リベラル」という言葉をキーワードにしましたが、政治や神学で使われているリベラルが焦点ではなく、「感性と切り離した理性が支配的にならないといけない」とする思考や思想のことを話していました。
「ヨーロッパでは、理性はイデア（知性）の働きであり、物質的な身体と結びつく感性は理性より劣ったものと理解される傾向にあります。しかし、日本人は感性を理性よりも劣ったものとは理解していません。感情的な心のあり方も、悪とはしません。清濁あわせ持つのが人間存在の根本的なあり方として受け入れています。決して日本人は人間を「理性的な人格」などと表現しません。」
そう、このイデアと言われているものこそ、私たち非西欧人は抵抗感を抱くものであり、これが後々、世界に荒廃をもたらすと感じています。
そもそも、「物質的な身体に結びつく感性は理性より劣ったもの」とするのは、キリスト教の異端グノーシス主義にあったギリシア的な思想にあったものであり、非キリスト教的なのです。
このイデアが例えば、当時は、平気で「愛情によって育て上げられなかった赤ん坊はどうなるのか」などという実験ができるのであり、そもそも私たちは「赤ん坊が母親の胸に抱かれる必要があることは、当たり前じゃないか」という感性があるので、そんな実験をすること自体に、非人間的であると、ものすごい抵抗を覚えるのです。
神学界では、「ポストモダン」の時代になったという言葉が出てきています。私がポストモダンで最も違和感を感じるのは、感情を理性の中に押し込める自己矛盾です。そもそも「感情」というのは温度計みたいなもので、反応する性質ものだから、静かにそのままにしておけばよいのです。ところが「こうであるべきだ」と、これまた一つの「理性」の中に押し込めることによって、とんでもない方向に向かっています。
最近、聖書を、史実を無視した聞き手の「物語」だとする考えが、福音主義と言われている人たちの間でも離されていっていますが、全くついて行けません、バーチャルに生きるオタクなのかあなたたちは？と、病的にさえ感じます。
話は多岐に渡り、同性愛の問題については、日本ではかつて「オカマ文化」がありました。同性愛がいかに不自然で、変であるか、その否定的感情を持ち合わせながら、「でも、まあいいか」という寛容の姿勢がありました。ところが、その状態を「人権」とか「平等」とかの理性の中に押し込めたことによって、私たちが神から与えられていた絶妙な感性のバランスによって成り立つ秩序を、根底から壊すようになっていっています。その「変だね」という感情を「差別」という悪に仕立て上げているからです。
同じ理性・論理によって、性別だけでなく年齢（50歳代の男性が7歳の女の子になるとか）を超え、人間を超えて猫になった人もいます。そしてドイツ人の医学生は、「小児愛者にも権利」と言い始めます。どう思いますか？？私は、まさに「お母さんの胸に抱かれないで赤ちゃんを育ててみよう」とする非人間的な実験とまるで変わらない、恐ろしい、悪魔的な破壊行為に見えます。そうした価値観の混乱によって、二つの世界大戦にまで発展しましたが、今の時世が続けば、終末的、破滅的出来事が起こるのは必至と感じます。
ですから、リベラルというか、欧米から来る理性偏重のものには、このような破壊的要素を内包しているものがあるので、何でもかんでも鵜呑みにしてはいけないと思うのです。むやみに、否定したり、排撃する必要は無いですが、けれども、私たちが持っている自然に備わった均衡感覚は、ぜひ大切にしたいものです。