イスラエル政府の報道局が主催のイベントで、去年から始まり、二回目です。イスラエルに支局や本部を置いているキリスト教系の報道局の関係者を招待して、首相や大統領、在イスラエル米大使をはじめとする方々がスピーチをして、福音派の教会とイスラエルの関係を、お祝いし、またそれぞれがどのように考えているか意見を述べる機会となっています。
Christian Media Summit Conference
イスラエルが政府として、このように福音派教会の存在を受け入れていることは画期的なことでしょう。
私が心に深く留まったのは、次の、二人の方のスピーチです。
イスラエルとアメリカの二重国籍者、福音派のユダヤ人クリスチャンが、アラブ諸国の首脳と会見???
一人は、ジョエル・ローゼンバーグ氏のものです。
私はかなり前から、自分の尊敬しているユダヤ人信者の一人で、ずっとフォローしています(検索に彼の名前を入れたら、関連記事がたくさん出てくると思います)。
彼は、自分のアイデンティーを初めに話します。彼は米国のユダヤ人(姓を見れば自ずと分かります!)として生まれ育ち、けれどもユダヤ人の父がある時にイエスへの信仰を持ち、異邦人の母も信仰に目覚めます。そして自身も少年の時に信仰を持ちました。そして政治の世界で大統領選におけるライターとして仕事をしていましたが、それらをやめて、小説家の道を進みました。それはいわゆる「世界情勢を追うフィクション小説」ですが、彼の福音的な聖書信仰と、世界情勢の取材を綿密に行なって書いた小説が、実際の大きな事件として現実のものとなりました。その連載が次々と、実際に起こるので「現代のノストラダムス」のあだ名まで付けられたほどです。(関連記事:「震央」)
そういった彼の心は、いつもイスラエルとその周辺のアラブ人にありました。それで、小説と共に、Joshua Fundという働きを始めて、イスラエル国内のユダヤ人信者の集まりを支援し、また周辺のアラブ人やパレスチナ人の信仰共同体にも支援を始めました。
それから、イスラエルにアリヤー(帰還)します。なので、彼は今、二重国籍者です。彼の思いは上のスピーチで現れているように、「心からのクリスチャン・シオニストで、イスラエルをこよなく愛し、同胞の民を愛しているが、同時に、モーセとイエスが言われた「隣人を自分自身のようにして愛しなさい」を実践することは、勧めではなく、命令だ、ということを話し、彼は事実、数多くのアラブ人やパレスチナ人と交流を深めています。(関連記事:「イスラエルから流れる神の愛」)
彼のスピーチの前は、リブリン大統領だったのですが、彼は由緒あるエルサレム在住のユダヤ人家庭であり、イスラエルをこよなく愛しながらも、そこにいるアラブ系の人々への暖かい思いを強く持っているように、ジョエルさんも、同じようにアラブ人に愛の手を差し伸べています。
驚くべきことは、彼がイスラエルと平和条約を結んでいる元首と直接、お会いしていることです。ヨルダンのアブドラ二世と、エジプトのシシ大統領です。彼の小説に、アンマンの国王の宮殿にイスラム国が襲撃して暗殺しようとするというシナリオを書いているのですが、それを国王の側近が読み、国王自身が読み、そして何と、ジョエルさんと奥様を宮殿に招いて、数日、軍事基地なども案内したということです。(関連記事)
そしてシシ大統領とは、ワシントンDCで会いました。大統領がキリスト者との会見に意欲的なのですが、福音派とは会見したことはございますか?と尋ねたところ、カイロでぜひ、ということになり、福音派教会の代表者を複数名連れて、またエジプトの福音派教会の代表者も連れて、三時間に渡る会見を持ったそうです。(関連記事)
イスラエルとアメリカの二重国籍者は、それほど多くないのに、その中でユダヤ人で福音的信仰を持っているのは、もっと少ない。その人がアラブ人指導者と会見して、平和の架け橋を作っているのですから、すごすぎです。けれども、尊敬しているのはそういうことでははなく、自分の置かれているところで、主イエスの召しや命令に忠実に従っている姿であり、またその愛に満たされていることです。
改宗されるという恐れから、愛されているという安心感へ
もう一人は、ジョエル氏のすぐ後に前に出てこられますが、エルサレムにある福音派教会”Kings of King Community Jerusalem“の牧師ウェイン・ウェルズデン(Wayne Hilsden)さんの奥さんです。お二人はなんと、イスラエルに35年の在住です。そして司会の報道官の方と近所に住んでいる事のこと。
そして報道官のNitzan Chenさんは、クリスチャンが近所に住んでいるとのことで、「我々を改宗しようとしているのか?」と周囲は心配しているけれども、親愛な関係を長く持っているようです。ユダヤ人は、正直、「アラブ人は我々を滅ぼそうとして、キリスト教徒は我々を改宗しようとしている。」と恐れているが、それはもう古臭い考えであり、彼らを通してどれほどイスラエルを愛しているか、その愛がどれだけ本物かを知ったということを話しておられます。
これは、Wayneさんご夫妻を通してのすばらしい証しだと思いました。先のブログでご紹介した「イスラエルへの情熱」に描かれている福音派のキリスト者の姿、模範的な姿です。