殉教の話題を前の二つの投稿でお話ししましたが、こちらは宣教師として殉教した、若い米国人宣教師、ジョン・アレン・チャウさんについてのニュースです。
北センチネル島とは? 上陸しようとした宣教師殺害。現代社会との接触を拒む「世界最後の秘境」
宣教師ジム・エリオットの現代版
私は、かつて秘境の地で同じように命を絶ったジム・エリオットの生涯を思い出しました。後に彼の生涯は、End of the Spearという題名で映画化されました。
自分に攻撃し、矢で殺してくる相手に対して抵抗せず、「あなたの友達です」と言って息絶えたジム。その後、彼の奥さんや仲間の殉教した宣教師と共に同じ部族のところに行き、献身的に奉仕しました。そして、あなたが殺した男の妻であると証し、それでその部族全体がキリスト者に、その殺した本人は牧師になりました。
福音をきちんと伝えられなくとも、その捧げられた魂そのものが神の御心にかなっています。
「イエス!」と叫んで斬首されたロバート・トーマス
これまでの未開地における宣教では、食人族に食べられた宣教師たちもおり、初めに福音を届けようとした人々の犠牲によって成り立っています。
福音を語る前に殺されるのですから、人生の浪費だという批評があります。けれども、ジム・エリオットも他の多くも、その捧げられた命そものものが御心にかなったことであり、後に大きな魂の収穫を見るという証しは数多くあります。
朝鮮半島の最初のプロテスタント宣教者のトーマス・ロバート氏はその典型的な一人です。聖書を朝鮮に持ち込もうとしましたら、斬首されました。ところが、その聖書を壁紙に使った人が、そこに書かれているのを読み、信仰を持ちます!そしてその後、やって来た宣教師たちによって福音が広まっていきます。
1858年の新約全書とRobert J. Thomas宣教師
韓国最初のプロテスタント殉教者、トーマス宣教師(2)
韓国最初のプロテスタント殉教者、トーマス宣教師(3)
韓国最初のプロテスタント殉教者、トーマス宣教師(4)
ジョンさんは「十分に整えられた、心優しい宣教師」
石器時代のようにして生きている部族が存在していたことが世界のニュースになったのですが、なぜ近づいた人々が必ず殺されるようなところに独りで近づいたのか、無謀ではないか?という疑問を多くの人が抱いていましたが、CNNのニュースでほぼ全てが明らかにされました!
Diary of US ‘missionary’ reveals his last days
CNNのインタビューに答えているのは、彼が提携していたAll Nationsという宣教団体の代表の方です。メアリー・ホーさんと言います。
明らかにされたのは、ジョンさんはこの宣教と使命について、高校生の時、つまり10年ぐらい前から準備していたとのことです。彼はグーグル・マップなどを使って、そこにまだ福音が届けられていないことを知り、その時から大学での専攻は救命士の技術であるとか、言語であるとか、全てが北センチネル島の原住民に、イエス・キリストの福音を伝えるために備えていたとのことです。
メアリーさんが言うのは、彼には確かに神の召しがあったとしています。
そしてもう一つ、インド政府が今年八月に、北センチネル島への渡航禁止令が解除したことを知って、出かけて行ったとのこと。(参照記事)
そして独りで行動したのではない、ということも明らかにされています。共にチームで行く用意のある兄弟たちはいたようなのですが、危険を察して、最後は独りで行くことにしたようです。
そして何よりも、彼が最後に日記で残した内容が心動かされます。まさに、キリストのお心と言ってよいでしょう。
「私が帰還するにしても、しなくとも、すべてが主の栄光となりますように。」
「気が狂っていると思われているかもしれませんが、けれども、これらの人々にイエス様を伝えることは価値あると思います。
もし私が殺されても、彼らに怒りを燃やしたり、また神に怒ることはしないでください、むしろ、どうか、あなたも神の召しに従順に生きることができるようにしてください、そしてこの幕を通過する時(肉体から離れる、つまり死ぬということ)、再び会いますように。
これは無益なことではないのです、センチネル族の永遠のいのちがかかっていることであり、黙示録7章9‐10節にあるように、彼らが神の御座の周りで自分の言語で神を礼拝するのを見たいと、願ってやみません。」
https://www.facebook.com/story.php?story_fbid=500374453801677&id=100014873790327
追記:
殉教したジョンさんの話題は、アメリカではかなり大きくなっているようです。リベラルの人たちの間では、宣教や回心ということ自体に嫌悪感を覚えている人たちがいますが、そうしたことを意識して、宣教学者の人が、リベラル紙のワシントン・ポスト紙に寄稿しました。
Slain missionary John Chau prepared much more than we thought, but are missionaries still fools?
私が先のブログ記事で書いたのと内容が重なっていますが、、年数をかけて準備して、宣教団体ではかなり調べられ適性を見極め、それからワクチンをたくさん打ち、さらに、自ら防疫のための隔離を一定期間してから、向かったそうです。
そして福音派のクリスチャニティ・トュデイ紙にて、その続編とも言うべき内容を書いています。
John Chau, Missions, and Fools
植民地主義との癒着ということは、このひろばでも、クリスチャンの間でもかなり語られますが、宣教学ではこれは大きな重要課題としていつも取り扱われています。はっきりしているのは、この若いジョンさんは、やはり現代版のジム・エリオットでした。当地の原住民を愛してやまない宣教師で、キリスト者として霊的に十分整えられていた人だと思います。