(3月30日にフェイスブックに掲載)
私の信頼している、イスラエルとの架け橋になっているキリスト教団体や個人の一つが、「シオンとの架け橋」さんです。先週末、イスラエルのコロナ対策を、イスラエル現地からの報告と、神戸在住の石井田直二さんによる、聖書から「執り成す」ことについての学びを、疫病に関して語ってくださいました。
2月終わり頃から、コロナ対策を始めるイスラエルが進んでいる道に、応援する気持ちでいるものの、おかしいな?と感じる部分があり、ユダヤ民族にある、神の選びからくる気高さを感じられない部分がありました。ここ一か月ぐらいの間、FBでも、いろいろと批判的な投稿を書き続けてきたと思います。
けれども、僕は深く、聖書信仰からイスラエルを愛し、親イスラエルの人間だと思っていただけに、こんな自分でいいのか?と悩んでいました。
愛しているからこその問題直視
驚くことに、現地レポーターの方がその深く横たわっていた疑問を、まっすぐにそのまま語ってくださっていました。ご自身も否定的なことを説明するのは非常に躊躇していながらも、けれども、執り成すためには不都合なことも知らないといけないこと、愛しているからこそ直視しなければいけない現実を語っておられました。同じ思いであったのを知り、神から来ているものと分かり、安堵しました。
一般庶民の触れる医療制度の深刻な問題
コロナについて、イスラエルはあまりにも極端な封じ込め対策をしていますが、その背景に、「スタートアップなど、華々しい医療先端技術は目立つけれども、看護師の不足、ベッド不足など、医療制度が長年のこと大きな問題を孕んでいて、その中でコロナ禍が襲った」ということです。
有事体制に慣れており、危機意識は世界随一と、私も心底、そうだと思っていますが、一般人が受ける福利の、最も身近な部分がおざなりにされていると感じていました。建国70年ちょっとですから、まだまだこれから整えられるのだろうと思っていますが、けれどもこの問題を直視しなければいけないのに、むしろそこから逃げるために、かえって、厳格な隔離、封鎖政策を立て続けに取り続けて、問題解決からむしろ遠ざかっているのではないか?と心配になります。
ウィルスとテロリストは違う
自分たちは対テロ戦においても、先んじてすべての手を打っていくといういう従来の方法はその通りですが、しかし、テロは人が行う敵対行為であり、ウィルスは、神の御手の中で広がっているものです。ウィルスについて、聖書では「疫病」という、旧約聖書にも数多く語られている大きな話題なのですから、そこで神の前にへりくだる必要があるのではないか?と感じます。
その大事なところが抜けているので、たといイスラエル人が有事において慣れっこになっていると言っても、ミサイルやロケット、自爆テロやナイフテロとはまるで違う、過酷なストレスを受けているはずだと思っていました。日本語の記事でイスラエルのやり方を称賛するものがでましたが、私は複雑な気持ちでいたのです。
生命重視が裏目に出ている深刻さ
やはり、イスラエル国内にいる人々は、そうした戦時におけるストレスやトラウマよりも、さらに強いストレスを受けており、ユダヤ教では自殺はあり得ないこと(実際、イスラエル人から自殺なんて普通あり得ないことだ、と命の尊重の観点から話を聞いたことがあります)なのに、自殺者が出てくるのではないか?と言われています。人の命を救うために行っている措置が、人々を鬱に追い込み、命まで取りかねない問題に直面しています。
ユダヤ教正統派への優遇
そして、私は、ネタニヤフ右派政権で違和感を抱いていたことがあります。「ユダヤ教正統派優遇政策」です。これは実は建国以来持っている矛盾でもありますが、世俗国家でありながら、超正統派が生活保護を受け、兵役も免除、なのに政府に対しては絶えず反発し、反目し、問題を起こしています。
ネタニヤフ政権は右派連立を造るために、宗教政党も取り入れます。純粋に宗教心を持つことは、イスラエルにユダヤ教は当然ありますから、それはすばらしいです。しかし、新約聖書の時代にもあった問題が、今のユダヤ教にもあるのではないか?とずっと思っていました。それは、政治との癒着です。
閣僚の中に、非常に排他的な言葉が出てきたりし、私は嫌悪感を抱いていました。超正統派にも、様々な問題があると聞いています。事あるごとに、彼らは「ナチス」「ホロコースト」を使いますが、ホロコーストって、こんな安価なものなのか?その歴史の重みを、そんな政治的なことや、宗教的偏見の中で使っていいものか?と思っていました。
今回のコロナで、ずっと横たわっていた問題が、顕在化しました。なぜこれほどまでに厳格な隔離・封鎖対策をしているのに、感染者が増える一方なのか?かなりの大きな割合で、ユダヤ教施設から出てきているのです!一般のイスラエル人は、あまりにも厳格な隔離を命じられているのに、彼らだけはどんどん集まり、「三つの密」の中に見事にいます。そうすると感染者がもっと増えますから、一般市民に一律に厳しくなり、この既得権のために市民の大半が苦しめられているのです。
私は当初から、イスラエル保健省って大丈夫なのか?と思っていました。だって保健相は、そもそも科学を信じていない超正統派のラビなのです!これは、連立を組む時に、宗教的な人々も閣僚に入らないといけないからそうなっているのですが、政治的に力を持っているから、感染拡大の原因を作っている、ユダヤ教のグループを野ざらしにしているのです。
つまり、当時、パリサイ派にあった問題に重なるのです。カエサルには従わないということでいつもローマ当局と問題を引き起こしているのですが、神の国はそんな低い次元のところの対立ではない、「カエサルはカエサルに、神のものは神に返しなさい」とするイエス様の言葉は、今も有効だということです。
仲間にある憎悪
そして最後に、イスラエル総選挙にまつわる、互いの反目です。ネタニヤフ首相は非常に能力のある、時に天才的な政治指導者だと思っていますが、そういう話ではなく、三回も総選挙をしなければいけない泥仕合です。ユダヤ人の間にある対立は、イエス様ご自身が70年のエルサレム破壊を預言されましたが、その時に、ローマ人がユダヤ人を殺すよりも、妥協しないユダヤ人が仲間を殺していたという、苦々しい歴史があります。
へりくだる祈りにある、神の思い直しと憐れみ
イスラエルが清められる必要があると感じています。メシアが来れば、ゼカリヤ13章にはきよめの泉が開かれるとありますが、イスラエルのあるべき姿を体現した方に、イスラエル人が目を向けることを祈っています。
最後に、シェア元の石井田直二さんの疫病についての聖書的解説ですが、驚きました。先日、私が投稿した時に説明したサムエル第二24章と同じ個所からの説明でした。
しかも、さらに深く、神の憐れみについて解説してくださっていました。人の悔い改めに応じて、神は災いを思い直してくださるという働きがあります。イスラエルのためにも、そして日本や世界のためにも、へりくだって悔い改める祈りの中で、コロナ流行を神が終息させてくださる鍵があるような気がしました。