「中山防衛副大臣がユダヤ人権団体に告げ口」という中傷

オリンピック開催直前に、五輪開会式のディレクターが過去の反ユダヤ発言で解任されたというニュースが大きく取り上げられましたが、ユダヤ人権団体に、中山泰秀防衛副大臣が「告げ口」したという非難がネットを駆け巡りました。その問題について、フェイスブックに一連の投稿をしました。それを、ここにアーカイブとして残しておきます。

<中山防衛副大臣が伝える前に、
すでに把握、声明を準備していた、
ユダヤ人権団体>

 小林健太郎氏が、五輪開会式のディレクターから、過去の発言で解任されたことで、それをユダヤ人人権団体に通報したとして、叩いているコメント、ほんと多いね。

 普通の場合だったら、その批判、尤もなんだけれども、その人権団体、SWCの動きって、ものすごく徹底していて迅速だっていうのは、そこを取材した人たちは、良く知っている。「告げ口したから、SWCが動いた。」という前提が間違っているんですね。

 中川氏は、朝日新聞の取材に応えて、もう既にSWCが把握していたことを答えています。事実は、中山副大臣は国益のために、(もうすでに事態を把握しているであろうSWCに)、事情説明をしていたというもの。 続きを読む 「中山防衛副大臣がユダヤ人権団体に告げ口」という中傷

患難前携挙論者の見る、自説の問題

(フェイスブックに7月16日に投稿)

説の正しさの議論ではなく、それを伝えている人々にある過ち

 興味深いです。書いたご本人は、患難前携挙を信じている人です。ここで焦点を当てているのは、患難前携挙説の間違いではなく、それを伝えている人々にある過ちです。

 いわゆる「預言が外れた」ということで落胆する人たちが多いということ。それは、預言について熱狂し始めて、必要以上に「読み込み」を行い、イスラエルの回復など、すでに成就した預言に注目するのではなく、起こり得るシナリオに注目をしすぎて、再臨の時期を特定してしまう過ちです。主ご自身も、分からないと言われたのに。 続きを読む 患難前携挙論者の見る、自説の問題

「隠された宝」(ヨセフ・シュラム著)

 今、カルバリーチャペル・ロゴス東京では、ローマ書9-11章に入っています。そこは、福音が初めに届けられたはずの、イスラエル人がそれを受け入れず、そうではない異邦人がかえって受け入れているという事実に対して、パウロが心の痛みを覚えて、イスラエルの救いを論じている箇所です。

 その中に出て来るのは、パウロ自身がそうであったように、イスラエル人でイエスが約束のメシアであると信じた、残りの民とも呼ばれる人々でありますが、当時から今に至るまで、綿々と、ユダヤ人でイエスを信じ、生きる人々はいました。ヨセフ・シュラム氏もその一人です。イスラエルにおける、ユダヤ人信者の集まる会衆(教会)の牧会者です。

 現代でこそ、「メシアニック・ジュー」という呼び名があり、ユダヤ性を強調する運動として紹介されていますが、特別な存在ではなく、いわゆるパウロなどが、「割礼を受けた者たちの中の兄弟」、キリストにある兄弟で、ユダヤ人の兄弟たちであります。

解釈学の基本の紹介

 前置きはそのぐらいにして、私が本書を読んだきっかけは、何といっても「聖書解釈」です。毎週、説教のために取り組む聖書本文があり、また日々、目にしている神のことばがありますが、そこに書かれてあることを、いろいろな角度から見ていき、その真意を知っていくことを、しばしば「解釈」と呼び、その体系化されたものを「解釈学」と呼ばれます。

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「イスラム教再考 ― 18億人が信仰する世界宗教の実相」(飯山陽 著)

 イスラム思想研究者、飯山陽さん著による、今年3月に出版された本書を完読しました。彼女の本は、「イスラムの論理」「イスラム2.0」と読んでいて、その続きと言ってもよいのが、本書です。ぜひ、以前の書評記事をお読みください。

「イスラム教の論理」読後感想 & キリスト教とイスラム教

「イスラム2.0」(飯山陽 著)書評 - キリスト教との関連から

 彼女の問題意識、イスラム思想の研究者としての資質、論理の明晰さなど、私は長いこと共鳴している一人です。今回の著書は、私自身は興味のなかった、日本のイスラム学界や言論人に対する、身勝手な彼らの「イスラム」像と、実際のイスラムを比較対比です。

 そしてもう一つ、過激イスラムを結局擁護し、共闘しているポリコレや多文化主義が、世界共産主義と同じような、現代社会における世界的脅威であるという危機感を論じているところが、本書の新しい試みです。その被害が大きく出ているのは、西欧社会です。フランスのマクロン大統領が、イスラム主義との戦いを宣言したニュースは、私には新鮮でしたが、そのことも本書で取り扱われています。

飯山陽さんのイスラムの紹介は
イスラエルやキリスト教の世界宣教の専門家のそれと一致

 私は、イスラム教そのものを学問としても学んだことがありませんが、イスラエルへの関心と、キリスト教の世界宣教から、イスラム教の世界を意識してきました。 続きを読む 「イスラム教再考 ― 18億人が信仰する世界宗教の実相」(飯山陽 著)

米国福音派教会から見る、分裂、背教の時代

 僕は米国の教会で育てられ、今も深い関係を持ち、そこが霊的故郷だと思っています。そこには、一人ひとりの兄弟が、御言葉を大事にし、そこから霊の糧を得て生きている姿を見ます。その純粋な姿に倣っていきたいし、受け継いでいきたいと願っています。

 それと同時に、余計なこともあります。これは日本の教会も例外ではなく、米国に限ったことではないのですが、米国の福音派の教会にある悪い傾向を日本に持ち込んでいるという意味で、深刻です。イエス・キリストに対する信仰の一致において一つになっているのに、意見の違い、見方の違いをまるで異端であるかのところまで引き上げ、分裂していく問題です。

 米国の場合は、西欧の思考、思想にある、二元論的な考え方、理念的なところでの分裂と言っていいでしょう、日本の場合は、自分の立場や他者の目が気になるような自己保身から来ている分裂、自分に不安があるために他者を排除するような分裂、村社会的な分裂です。

 米国のほうでは、分裂の次に見えてくる、終わりの兆しがあります。 続きを読む 米国福音派教会から見る、分裂、背教の時代

「東ローマ帝国~繁栄と滅亡・皇帝たちの軌跡」を観て

 今、2019年4月のトルコ研修旅行記を書いている最中ですが、初めの三日間は、イスタンブールの歴史的名所の訪問でした。聖書には直接関係がないけれども、ここは、東ローマ帝国の都「コンスタンティノープル」であったということで、キリスト教の世界を観ることができるだろうと思っていましたが、正直、あまり期待値は高くありませんでした。

 けれども、だんだんいつの間にか、惹かれるようになっていきました。何か自分の知らない歴史、今まで全く学校で教えられてこなかった世界史の全貌が見えてきました。そしてたまたま、以下のBS-TBSによるドキュメンタリー・シリーズを見つけ、観ていくと、強い衝撃が走りました。自分が人生の中で知っていた世界で、ものすごい大事なパズルの部分が、全く欠けていたことに気づいたのです。

 そして、それは、聖書の預言そのものでもありました。

東ローマ帝国~繁栄と滅亡・皇帝たちの軌跡

壮大な、長編ドキュメンタリー

 このドキュメンタリー・シリーズの質の高さに圧倒されました。イスタンブールで訪問した所はほとんど網羅されており、歴史の中で文脈をようやくつかみ取ることが出来ました。美しい芸術作品や遺構や自然を、高画質の映像で、ゆっくりと映し出します。このコロナ禍、まさにバーチャルで訪問しているような気分になります。そして、ハギア・ソフィアのバーチャル背景の中で、司会と専門家が解説をします。そこに、当時の資料文献を、夏樹マリさんが演出をもって朗読して、当時の様子を活写します。

 私は、ネット配信Paraviを二週間お試しの無料視聴で視ましたが、有料で購入し保存版にしてもいいぐらい、貴重な作品だと思います。(GyaoAmazon)五回シリーズですが、以下のようになっています。 続きを読む 「東ローマ帝国~繁栄と滅亡・皇帝たちの軌跡」を観て

バイデン米政権の中東外交 ― オバマ時代の再現か?

現地で信頼できなくさせている党派的政治

 バイデン米政権が発足してから、世界各地で関心が寄せられています。日本では、例えば米国務省の尖閣諸島に対する発言、国務長官の訪日に合わせて、拉致問題への連携をどのようにするかで注目が集まっています。全般的に見ますと、アジア外交は大きな変化が見られません。トランプ政権下のアジア担当者がそのまま後任になる場合もあるそうです。けれども、中東政策は、シンクタンクを含めて、国内政治対立とほぼ一致しています。

 バイデン政権は対中東では、対中のように信念がないように見えます。さらにトランプ前政権の成果、トランプ政権だったからという理由で、逆コースを歩んでいるかのようさえ見えます。

サウジアラビア人の見る米外交

 エルサレム・ポストの、在イスラエルのジャーナリストが、在アラブ首長国のサウジアラビア人の専門家にインタビューしている動画と記事をご紹介したいと思います。彼女のよどみなく出て来る分析は、これまでの私の感触や推測を、見事に可視化するような内容でした。

Political divisions make US foreign policy unreliable, Saudi expert says

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Bible Projectのすばらしさと注意点

(3月5日のフェイスブックの投稿です)

聖書プロジェクト BibleProject – Japanese

 今はSNSの時代、すべてのことが短く端的にまとめられていることが問われている時代になっています。その中で、聖書全体で何が語られているのか?をアニメーションと共に説明するBible Projectは、非常に優れた教材です。昨日も、教会で次からローマ人への手紙の講解に入るので、ローマ人への手紙の2つの動画を観ました。

 ただ、一つの不安がよぎりました。「じっくり聖書を自分で読んだ人には、整理するのに有益だが、その逆であってはいけない。」ということです。つまり、この動画を見て、それでその解説に沿って聖書を読み、それこそが聖書の教えていることなのだと同一視する危険もあるからです。

 全体の流れを把握する時も、その把握している人によって、視点が少しずつ変わってきます。ローマ人への手紙の二つの動画も、とても分かりやすく、気づかされた点が多くありましたが、「ここは、ちょっと?」と思われる部分もわずかにありました。当然ながら、作成者の聖書理解の枠組みが影響されています。

 それで、ある人は批判をし、またある人はこれを信じ込んでしまい、他の読み方をする人々を裁いてしまいます。元々の問題がなおざりにされており、それは、「聖書を自分自身で読んで、悩みつつ、求め続ける」という姿勢の欠如だからです。 続きを読む Bible Projectのすばらしさと注意点

終わりの日:「だれも知りません」とは「いつ来てもおかしくない」

「その日、その時がいつなのかは、だれも知りません。」という御言葉は、「いつ来るか分からないから気にしなくていいや!」ではなく、「いつ来てもおかしくないから、いつも準備を!」ということ

(フェイスブック投稿からの転載)

 終わりの時について、しばしば、「20年前も、30年前も、同じことを話していて、何も起こっていないではないか?」という意見をしばしば耳にします。私は、そこに一つの時間の捉え方の誤りがあるのではないかと思います。その一方で、一昨日(2月13日夜)のような大きな地震が起こると、そういった時だけ、世の終わりが近いと盛り上がる傾向もあります。

 時間的な計測で終わりが近いかどうかを測るのは、ちょうど、自分が崖っぷちにどれだけ近づいているのか?という見方だと思います。聖書の「終わりの時」は、そうではなく、崖っぷちに並行で歩いていて、「いつでも終わりが来る」という切迫感の中で私たちが生きるように命じられているのではないでしょうか?

 だから、主が来られてからも「終わりの時」(ヘブル1:2)であるし、使徒たちも自分たちの生きている時に終わりが来ることを前提に教えていたし、私たちも今が終わりの時だとして生きるのだと思います。「終わりの時」という、永遠の神によって定められた時を、私たちは「並行して歩いている」と理解しています。

 実に、「終わりの日」という言葉が始めに出て来るのは、初めの書、創世記なのです。ヤコブが臨終のときに、12人の息子に対して、それぞれの部族に起こることを語りました(49:1)。この時からすでに、神を信じる者たちは、終わりを意識して生きるように命じられていました。 続きを読む 終わりの日:「だれも知りません」とは「いつ来てもおかしくない」

「日本占領と「敗戦革命」の危機」を読んで

 ついに、私の頭の中の戦中、戦後史、情報史学(インテリジェンス・ヒストリー)と呼ばれるものの中で、次の本を完読しました。

「日本占領と「敗戦革命」の危機」江崎道朗 著

 江崎道朗さんの一連の著作、すなわち「アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄」そして「コミンテルンの謀略と日本の敗戦」が前著にありますが、それは、先の大戦とその後の米国の対日姿勢の中に、ソ連からのコミンテルン(国際共産主義運動)の分断工作があった、というものです。

 ルーズベルト大統領の政権の中枢に、ソ連からのスパイがかなり浸透しており、ルーズベルト自身が誤った政策によって、彼らに利することになりました。日本は日本で、コミンテルンの影響力工作によって、右翼の全体主義化が起こり、中国大陸への深い浸透と拡大を引き起こし、英米をそこに巻き込ませた、また統制経済における失策で、これまたコミンテルンを利する行動をしてしまった、ということです。

 その中で、日本国内では民主主義的な立憲君主制、そして経済の自由主義を奉じる保守自由主義者らの存在を浮き彫りにし、彼らも戦時中は、弾圧の的になり、そして米国では、日本を叩いたら東亜の共産化の歯止めが取れてしまうと懸念する、保守派の存在を浮き彫りにし、しかし、彼らの声は政権内では当時、小さかったことを述べていました。

「敗戦」の処理こそが、最も大きな危機

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