１Ａ　不忠実　２４
　　　１Ｂ　礼拝への献身　１−１４
　　　２Ｂ　敵による神の裁き　１５−２７
２Ａ　中途半端な心　２５
　　　１Ｂ　御言葉と御声への従順　１−１３
　　　２Ｂ　悪の弄び　１４−２８
３Ａ　思い上がり　２６
　　　１Ｂ　名声の広がり　１−１５
　　　２Ｂ　霊的越権行為　１６−２３

本文

　歴代誌第二24章を開いてください。今日は24章から26章までを学んでみたいと思います。ここでのテーマは、「霊的劣化」です。品質が良くなくなってくることを劣化と言いますが、ユダの国の霊的な素質がだんだん劣っていく姿を見ていきます。

１Ａ　不忠実　２４
１Ｂ　礼拝への献身　１−１４
24:1 ヨアシュは七歳で王となり、エルサレムで四十年間、王であった。彼の母の名はツィブヤといい、ベエル・シェバの出であった。24:2 ヨアシュは、祭司エホヤダの生きている間は、主の目にかなうことを行なった。24:3 エホヤダは、彼のためにふたりの妻をめとらせた。彼は息子たちと娘たちを生んだ。

　前回の学びの続きです。ヨシャパテの息子ヨラムがアハブとイゼベルの娘アタルヤと結婚してから、ユダ王国は最大の危機に突入しました。北イスラエルで行なわれていたバアル信仰をユダにも導入し、さらに王の息子たちが危うく全員殺されそうになりました。それでもダビデに対する神の約束があるため、神はその恵みによって、その家系が途絶えることを許されませんでした。祭司エホヤダの妻エホシェバによって赤ん坊のヨアシュは神殿で隠れて育ち、七歳になったときにエホヤダは公に彼を王として任命しました。そして、アタルヤを排除して、神の民になることの契約をユダの民と結ばせました。

　そしてヨアシュは、敬虔なエホヤダの教育の下で育ち、成人になっても主を愛する人となりました。

24:4 その後のことであるが、ヨアシュは主の宮を新しくすることを志し、24:5 祭司とレビ人を集めて、彼らに言った。「ユダの町々へ出て行き、毎年あなたがたの神の宮を修理するために、全イスラエルから金を集めて来なさい。あなたがたは急いでそのことをしなければならない。」ところが、レビ人は急がなかった。24:6 それで、王はかしらエホヤダを呼んで彼に言った。「なぜ、あなたはレビ人に要求して、主のしもべモーセとイスラエルの集団の、あかしの天幕のための税金を、ユダとエルサレムから持って来させないのですか。」24:7 というのは、あの悪女アタルヤ、その子たちが、神の宮を打ちこわし、主の宮の聖なるものをもすべてバアルのために用いたからである。

　ヨアシュが、霊的な指導力を発揮している場面が書かれています。アタルヤによって、神殿はかなり破損していました。これを修繕して、主への礼拝の場として復活させたいと願いました。それで、イスラエルから金を集めなさい、と祭司とレビ人に命じています。

　ヨアシュは、神殿修繕にそれほど熱心になっていなかった彼らを叱責さえしています。レビ記の最後の章27章に、人身評価にしたがった金額をささげる規定が書かれていますが、それは主の幕屋のために用いられるべきものです。イスラエルの人たちからこのお金を徴収することなく、神の宮をないがしろにするとは何事か、と叱っているのです。

24:8 王は命令した。すると、彼らは一つの箱を作り、それを主の宮の門の外側に置いた。24:9 そして、神のしもべモーセが荒野でイスラエルに課した税金を主のみもとに持って来るように、ユダとエルサレムに布告した。24:10 すると、すべてのつかさたち、すべての民が喜んで、それを持って来て、箱に投げ入れ、ついにいっぱいにした。24:11 金が多くなったのを見て、レビ人たちが箱を王の役所に運んで行ったとき、王の書記と祭司のかしらに仕える管理人が来て、箱をからにし、それを持ち上げ、もとの場所に返した。彼らは毎日このように行ない、多くの金を集めた。

　すばらしいですね。イスラエル人には、喜んでささげる心がありました。興味深いことに、旧約聖書の中で、喜んで、自ら進んでささげるイスラエル人の姿をたくさん見かけます。仕方がないから、いやいやながらささげている様子を見いだすことができません。献金はこのようなものです。喜んでささげる人を、主は愛してくださいます。

24:12 そこで、王とエホヤダは、これを主の宮の奉仕の仕事を行なう者に渡した。彼らは、主の宮を新しくするために石切り工と木工を、主の宮を修理するために鉄と青銅の細工師を雇った。24:13 こうして、仕事をする人々は仕事をし、彼らの手によって、細工物の修復がされた。彼らは、神の宮を元のとおりに建て、これを堅固にした。24:14 彼らは、完工の際、残った金を王とエホヤダの前に持って来た。彼らは、それで、主の宮の器具、すなわち、ささげる務めに用いる用具、深皿、金銀の器などを作った。こうして、人々はエホヤダの生きている間、絶えず、主の宮で全焼のいけにえをささげた。

　集められたお金は、神殿の修繕に十分にあり余るほどでした。余ったお金で、宮の中の祭具も新しいものを造りました。これで、神の礼拝への思いが新たにされました。

２Ｂ　敵による神の裁き　１５−２７
　ここまで霊的なヨアシュが、どうしてこうなるのか？と思われるほどの霊的に急降下する姿を次から見ます。

24:15 さて、エホヤダは老年を迎え、長寿を全うして死んだ。彼は死んだとき、百三十歳であった。24:16 人々は彼をダビデの町に王たちといっしょに葬った。彼がイスラエルにあって、神とその宮とに対して良いことを行なったからである。

　エホヤダは長寿を全うしました、130歳です。そして、王たちといっしょに葬られています。ヨアシュを教育し、霊的なことも、また政治的なことも指導したエホヤダは、ユダから非常に尊敬されていました。

24:17 エホヤダが死んで後、ユダのつかさたちが来て、王を伏し拝んだ。それで、王は彼らの言うことを聞き入れた。24:18 彼らはその父祖の神、主の宮を捨て、アシェラと偶像に仕えたので、彼らのこの罪過のため、御怒りがユダとエルサレムの上に下った。

　ユダのつかさたちの中で、偶像礼拝をしたいと願っていた人たちがいたようです。エホヤダが生きている間は、まさかこんなことは頼めないと思っていたのでしょうが、彼が死んだので、ヨアシュにその願いを聞き入れてもらえるよう彼の前でひれ伏しました。なんとヨアシュは、この願いを聞き入れました。それでユダの中で再び偶像礼拝が始まります。

　ここから私たちは深い教訓として学ぶことは、「神との関係は一世代でなければならない。」ということです。私たちの神は父であって、お祖父さんではありません。だれかを通して神を知るのではなく、自分自身が神を知るのです。エホヤダという霊的な家庭教師が付いていましたが、そのような教育者がいることは大切です。けれども、自分が主なる神に個人的・人格的関わりを持って、かつてヨシュアがそうであったように、自分自身が主に与えられた約束にしっかりとしがみついていなければいけません。けれども、ヨアシュは主との関係をそこまで徹底させていませんでした。そこでエホヤダがいなくなったと同時に、自分の信仰もなくなってしまったのです。

24:19 主は、彼らを主に立ち返らせようと預言者たちを彼らの中に遣わし、預言者たちは彼らを戒めたが、彼らは耳を貸さなかった。

　主はあわれみ深い方なので、人が罪に陥ったり、悪を行なったりすると、必ず預言者など、警告する人々をその人に遣わされます。その時、私たちは耳を貸さなければいけません。警告は無駄にはされていません。そして、私たちは警告を聞き、自分のあり方を捨てて、その言われているとおりにしていきます。ところが、このことがヨアシュには出来ていませんでした。

24:20 神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤを捕えたので、彼は民よりも高い所に立って、彼らにこう言った。「神はこう仰せられる。『あなたがたは、なぜ、主の命令を犯して、繁栄を取り逃がすのか。』あなたがたが主を捨てたので、主もあなたがたを捨てられた。」24:21 ところが、彼らは彼に対して陰謀を企て、主の宮の庭で、王の命令により、彼を石で打ち殺した。

　なんと、偶像礼拝を行なっていたユダの人々は、エホヤダの子ゼカリヤを押しで打ち殺してしまいました。ヨアシュは何らその陰謀を阻止すべき王権を発揮しませんでした。おそらくは、彼はエホヤダのやり方があまりにも厳しいと思っていたのでしょうか？自分はいろいろなやり方が許されて良いと思っていたのでしょうか、一見、寛容そうに見える彼の態度は、人殺しさえも許すほどの偽善的なものだったのです。

　ところで、イエスさまがゼカリヤの死についてお語りになっている場面があります。マタイ23章35節です。今、イエスさまは律法学者とパリサイ人に、「忌まわしいものだ。」と責められています。「それは、義人アベルの血からこのかた、神殿と祭壇との間で殺されたバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上で流されるすべての正しい血の報復があなたがたの上に来るためです。」

　ユダヤ人の聖書はもちろん旧約聖書ですが、私たちが持っている旧約聖書とでは編纂の仕方が違っています。もちろん内容はまったく同じですが、それぞれの巻の順番が違っているのです。私たちの聖書では、旧約はマラキ書で終わっていますが、ユダヤ人の聖書では第二歴代誌が最後です。つまり、イエスさまが律法学者とパリサイ人に言いたかったことは、聖書の初めから最後まで、義人を殺した血があなたがたの上に来る、ということです。あなたがたは、初めの時から終わりの時まで、ずっと正しい者を殺してきたし、今も正しい方を殺そうとしているではないか！と弾劾されているのです。

24:22 ヨアシュ王は、ゼカリヤの父エホヤダが自分に尽くしてくれたまことを心に留めず、かえってその子を殺した。その子は死ぬとき、「主がご覧になり、言い開きを求められるように。」と言った。

　正しく主がさばいてくださいますように、ということです。

24:23 その年の改まるころ、アラムの軍勢が彼に向かって攻め上り、ユダとエルサレムに来て、民の中の、民のつかさをひとり残らず殺し、分捕り物を全部、ダマスコの王のもとに送った。24:24 アラムの軍勢は少人数で来たが、主が、非常に大きな軍勢を彼らの手に渡されたからである。それは、この人々がその父祖の神、主を捨てたからである。彼らはヨアシュを裁判にかけた。

　主は敵を用いて、ヨアシュをさばかれました。これまでは、イスラエルが少人数であるにも関わらず、敵の大軍を追い散らす主の働きがありましたが、ここではその逆です。少人数のシリヤの軍勢によって、大きなイスラエルの軍勢が負けているのです。

24:25 彼らが重病の状態にあるヨアシュを捨てて、離れて行ったとき、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子たちの血のために、彼に謀反を企てた。彼らは、病床で彼を殺し、彼が死んだので、彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓には葬らなかった。

　ヨアシュは裁判にかけられただけでなく、重病に陥り、さらに謀反によって殺されました。王たちの墓にさえ葬られませんでした。

24:26 彼に謀反を企てたのは次の者たちである。アモンの女シムアテの子ザバデ、モアブの女シムリテの子エホザバデ。24:27 彼の子たちのこと、彼について述べられた多くの預言のこと、神の宮の再建のことなどは、王たちの書の注解にまさしくしるされている。ついで彼の子アマツヤが代わって王となった。

　いくらエホヤダのためとは言え、王に対する謀反は罪でした。彼の後のアマツヤがこれら反逆者たちをさばきますが、謀反を起こした者たちは、みな異邦人の母の血を持っていました。アモン人の母、そしてモアブ人の母です。皮肉なことですが、ユダヤ人たちが偶像礼拝を行ない、異邦人の血が混じった人たちが、エホヤダの子たちのことを思いヨアシュを殺しています。

２Ａ　中途半端な心　２５
１Ｂ　御言葉と御声への従順　１−１３
25:1 アマツヤは二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はエホアダンといい、エルサレムの出であった。25:2 彼は主の目にかなうことを行なったが、全き心をもってではなかった。

　ヨアシュは、エホヤダを介しての主との関係でしたが、アマツヤは中途半端な献身がその特徴だったようです。

25:3 彼の王国が強くなると、彼は自分の父、王を打ち殺した家来たちを殺した。25:4 しかし、彼らの子どもたちは殺さなかった。それは、モーセの書の律法にしるされているところによったからである。主はこう命じておられた。「父親が子どものために殺されてはならない。子どもが父親のために殺されてはならない。人が殺されるのは、自分の罪のためでなければならないからである。」

　ヨアシュを殺した反逆者たちをさばきましたが、その子たちは、モーセの律法を重んじて殺しませんでした。当時の慣習のことを考えてみれば、これはすごいことです。母も子もみな、連帯責任で殺されるのが常でした。けれども、そうした当時の常識に反してまでも、モーセの律法を重んじたアマツヤがいます。

25:5 アマツヤはユダを召集し、ユダおよびベニヤミン全員を、千人隊の長、百人隊の長の下に、父祖の家ごとに整列させた。こうして、二十歳以上の者を登録し、従軍して槍と大盾を手にする精鋭三十万人を得た。25:6 さらに、彼はイスラエルから、銀百タラントで、十万人の勇士を雇った。

　かつて、アサが王であったとき、ユダとベニヤミンの精鋭部隊は合計五十八万人いました。今や、三十万人しかいません。これだけ見ても、いかにユダ王国が小さくされているかを見て取れます。

　アマツヤは、人数が少ないと見て、イスラエルから雇われ兵士を十万人抱えました。これが、主のみこころにそぐわなかったようです。

25:7 神の人が彼のもとに来て言った。「王よ。イスラエルの軍勢をあなたとともに行かせてはなりません。主は、イスラエル、すなわち、すべてのエフライム族とは、共におられないからです。25:8 それでも、あなたが行くと言われるのなら、そうしなさい。雄々しく戦いなさい。神は敵の前にあなたをつまずかせられます。神には、助ける力があり、つまずかせる力もあるからです。」25:9 アマツヤは神の人に言った。「では、イスラエルの軍勢に与えた百タラントはどうしたらよいのか。」神の人は答えた。「主はそれよりも多くのものをあなたに与えることがおできになります。」

　北イスラエルの人たちとは主はともにおられない、というのが、傭兵を取りやめるべき理由でした。人数ではなく、兵士たちが主に対して献身しているかどうかが大事でした。アマツヤは、「それでは大金を叩いて雇ったけれども、どうすれば良いのか。」と心配し始めました。けれども預言者は、「主がもっと多くのものを与えられます」との約束を伝えました。

25:10 そこで、アマツヤは、エフライムから彼のもとに来た軍隊を取り分けて、彼らの所に帰したので、彼らはユダに向かって怒りを激しく燃やし、怒りに燃えながら、自分たちのところへ帰った。

　エフライムの傭兵たちの、心の状態が露にされています。主が言われていることで激しく怒っているということは、彼らは元々、神を神としていなかったのです。

25:11 アマツヤは奮い立って、その民を率いて塩の谷に行き、セイルの者たち一万人を打った。25:12 ユダ族は一万人を生けどりにして、彼らを岩の頂上に連れて行き、その岩の頂上から、彼らを投げ落とした。彼らはひとり残らず砕かれてしまった。

　歴史家ヨセフスは、ユダはエドム人らをペトラにまで連れて行き、そこにある大きな岩の頂上から彼らを突き落とした、と書いています。

25:13 アマツヤが自分とともに戦いに行かせずに帰した軍隊の者たちは、サマリヤからベテ・ホロンに及ぶユダの町々に突入し、三千人を打って、多くの物をかすめ奪った。

　先ほど戦いに行くのを断わられてエフライムの軍隊の者たちのことです。なんとひどいことをしたものでしょうか！このような被害が出ましたが、彼らを仲間に入れなくて正解でした。

２Ｂ　悪の弄び　１４−２８
25:14 アマツヤは、エドム人を打ち殺して帰って来て後、セイルの者たちの神々を持ち帰り、これを自分の神々として立て、その前に伏し拝み、これに香をたいた。

　アマツヤの心が表れています。彼はモーセの律法を重んじ、また主の声に聞き従いましたが、当時にこのような悪を弄んであそんでいます。全き心ではなく、二心だったのです。

25:15 そこで、主はアマツヤに向かって怒りを燃やし、彼のもとに預言者を遣わして、彼に仰せられた。「なぜ、あなたは、あなたの手からその民を救い出すこともできないような神々を求めたのか。」25:16 彼が王に語っているうちに、王は彼に言った。「私たちはあなたを王の議官に任じたのか。身のためを思ってやめなさい。なぜ、打ち殺されるようなことをするのか。」そこで、預言者はやめて言った。「私は神があなたを滅ぼそうと計画しておられるのを知りました。あなたがこれを行ない、私の勧めを聞かなかったからです。」

　ヨアシュのときと同様、アマツヤも主の預言者の言葉を聞き入れませんでした。そして預言者は、「神があなたを滅ぼそうと計画しておられるのを知りました」と言っています。神はすべてのことをご存知です。ですから、勧めを行なっても預言を聞き入れないこともご存知です。その予知のゆえに、主はアマツヤがさばかれるようにあえて計画を立てておられます。アマツヤが主からの知恵を聞かないで、自分の悟りに頼って、そのまま滅ぼされることをお許しになります。

25:17 そののち、ユダの王アマツヤは、よく考えた上で、エフーの子エホアハズの子、イスラエルの王ヨアシュに、使者を送って言った。「さあ、勝敗を決めようではないか。」25:18 すると、イスラエルの王ヨアシュは、ユダの王アマツヤに使者を送って言った。「レバノンのあざみが、レバノンの杉に使者を送って、『あなたの娘を私の息子の嫁にくれないか。』と言ったが、レバノンの野の獣が通り過ぎて、そのあざみを踏みにじった。25:19 あなたは、どうだ、自分はエドムを打ち破ったと言った。あなたの心は高ぶり、誇っている。今は、自分の家にとどまっていなさい。なぜ、争いをしかけてわざわいを求め、あなたもユダも共に倒れようとするのか。」

　イスラエルの王ヨアシュは、悪王でしたが、それでも彼が語っている言葉には知恵があります。それは、「自分の家にとどまっていなさい」ということです。エドムに勝ったことは、主にあって誇っていなさい。自分自身でとどめていなさい。それ以上のものを求めてはいけない、ということです。ところが人は思い上がります。パウロがこう言いました。「だれでも、りっぱでもない自分を何かりっぱでもあるかのように思うなら、自分を欺いているのです。おのおの自分の行ないをよく調べてみなさい。そうすれば、誇れると思ったことも、ただ自分だけの誇りで、ほかの人に対して誇れることではないでしょう。（ガラテヤ6:3-4）」

25:20 しかし、アマツヤは聞き入れなかった。それは、神から出たことで、彼らがエドムの神々を求めたので、彼らを敵の手に渡すためであった。

　エドムの神々を弄んだことで、彼の判断能力が低下していました。私たちは罪を弄ぶと、判断能力が失われます。本来なら分かることが分からなくなります。冷静に、理性的に考えれば非常におかしいことなのに、自分の身を滅ぼすようなことも行なってしまいます。

25:21 そこで、イスラエルの王ヨアシュは攻め上った。それで彼とユダの王アマツヤは、ユダのベテ・シェメシュで対戦したが、25:22 ユダはイスラエルに打ち負かされ、おのおの自分の天幕に逃げ帰った。25:23 イスラエルの王ヨアシュは、エホアハズの子ヨアシュの子、ユダの王アマツヤを、ベテ・シェメシュで捕え、エルサレムに連れて来たうえ、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、四百キュビトにわたって打ちこわした。25:24 またオベデ・エドムの管理していた神の宮にあったすべての金と銀、およびすべての器具、それに王宮の財宝と人質を取って、サマリヤに帰った。

　なんと、自分たちの陣地であるエルサレムの壁が壊されています。さらに、神殿の中の財宝まで奪われています。罪を弄ぶと、まず自分を守る防護壁が壊されます。自分は大丈夫だと思って心の中に設けていた防護壁が壊されて、ますます罪を犯すようになります。それから自分の心であがめている主ご自身との関係が傷つきます。

25:25 ユダの王ヨアシュの子アマツヤは、イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュの死んで後、なお十五年生きながらえた。25:26 アマツヤのその他の業績は、最初から最後まで、ユダとイスラエルの王たちの書にまさしくしるされているではないか。25:27 アマツヤが主から離れた時、エルサレムで人々が彼に対して謀反を企てたので、彼はラキシュに逃げた。しかし、彼らはラキシュまで追いかけて、そこで彼を殺した。25:28 彼らは、彼を馬にのせて行って、ユダの町に先祖たちといっしょに葬った。

　アマツヤも父と同じように、謀反によって殺され、かつ王たちとはともに葬られませんでした。

３Ａ　思い上がり　２６
　そして今日、三人目の王ウジヤです。覚えていますか、イザヤが神の召しを受けた時は、ウジヤ王が死んで、彼が天の神の御座を見たときです。この時代以降、イザヤが預言者として活躍していました。

１Ｂ　名声の広がり　１−１５
26:1 ユダの民はみな、当時十六歳であったウジヤを立てて、その父アマツヤの代わりに王とした。26:2 彼は、アマツヤが先祖たちとともに眠って後、エラテを再建し、それをユダに復帰させた。

　エラテはエイラットのこと、紅海に接する現代のイスラエル南端の町です。

26:3 ウジヤは十六歳で王となり、エルサレムで五十二年間、王であった。彼の母の名はエコルヤといい、エルサレムの出であった。26:4 彼はすべて父アマツヤが行なったとおりに、主の目にかなうことを行なった。26:5 彼は神を認めることを教えたゼカリヤの存命中は、神を求めた。彼が主を求めていた間、神は彼を栄えさせた。

　ウジヤは非常に長い期間、王権を執っています。52年間です。そして彼もヨアシュと同じように霊的教育者ゼカリヤの存命中は、主に従っていました。その従順にしたがって、主は彼を栄えさせます。

26:6 彼は出陣してペリシテ人と戦ったとき、ガテの城壁、ヤブネの城壁、アシュドデの城壁を打ちこわし、アシュドデの中の、ペリシテ人たちの間に、町々を築いた。26:7 神は彼を助けて、ペリシテ人、グル・バアルに住むアラビヤ人、メウニム人に立ち向かわせた。26:8 アモン人はウジヤのもとにみつぎものを納めた。こうして、彼の名はエジプトの入口にまで届いた。その勢力が並みはずれて強くなったからである。

　周囲の敵に打ち勝ち、服従するようになりました。

26:9 ウジヤはエルサレムの隅の門、谷の門および曲がりかどの上にやぐらを建て、これを強固にし、26:10 荒野にやぐらを建て、多くの水ためを掘った。彼は低地にも平野にも多くの家畜を持っていたからである。山地や果樹園には農夫やぶどう作りがいた。彼が農業を好んだからである。

　農産業も発展しました。

26:11 さらに、ウジヤは戦闘部隊をかかえていたが、彼らは、書記エイエルとつかさマアセヤによって登録された人数にしたがって各隊に分かれ、王の隊長のひとり、ハナヌヤの指揮下にいくさに出る者たちであった。26:12 勇士である一族のかしらたちの数はみなで二千六百人であった。26:13 その指揮下には三十万七千五百人の軍勢があり、王を助けて敵に当たる強力な戦闘部隊であった。26:14 ウジヤは、彼ら全軍のために、盾、槍、かぶと、よろい、弓および石投げの石を用意した。26:15 さらに、彼はエルサレムで、巧みに考案された兵器を作り、矢や大石を打ち出すために、やぐらの上や、城壁のかどにある塔の上にこれを据えた。こうして、彼の名は遠くにまで鳴り響いた。彼がすばらしいしかたで、助けを得て強くなったからである。

　軍事力も発展しました。そして、「彼の名が遠くまで鳴り響いていた」とあります。つまり、人気のある王さまだったのです。このような王さまを、イザヤは偶像視していたような感じがします。イザヤ書６章１節を見ると、「ウジヤ王が死んだ年に、私は、高くあげられた王座に座しておられる主を見た。」とあります。ウジヤ王がいたために、かえって御座におられる主を見上げることができなかった、つまりウジヤをアイドルにしていたわけです。私たちも、主ご自身ではなく、カリスマ性のあるすぐれた指導者を主の代わりにしているとき、神の姿を見ることはできません。

２Ｂ　霊的越権行為　１６−２３
26:16 しかし、彼が強くなると、彼の心は高ぶり、ついに身に滅びを招いた。彼は彼の神、主に対して不信の罪を犯した。彼は香の壇の上で香をたこうとして主の神殿にはいった。

　ヨアシュ、アマツヤに引き続き、ウジヤも晩年は高慢になり、身に滅びを招きました。行なったのは、神殿の中に入って、香壇で香をたこうとしたことです。

26:17 すると彼のあとから、祭司アザルヤが、主に仕える八十人の有力な祭司たちとともにはいって来た。26:18 彼らはウジヤ王の前に立ちふさがって、彼に言った。「ウジヤよ。主に香をたくのはあなたのすることではありません。香をたくのは、聖別された祭司たち、アロンの子らのすることです。聖所から出てください。あなたは不信の罪を犯したのです。あなたには神である主の誉れは与えられません。」

　かつてサウル王も同じ罪を犯しました。王はあくまでも政治を行なう存在であって、霊的な事柄は祭司のものでありました。けれども、それも行なおうとするとき、それはいわば、霊的越権行為になります。

　もし教会の中で、献金をたくさん行なうビジネスマンが、教会のことについてあらゆる指図をしはじめたらどうなるでしょうか？たしかに主は、その人をビジネスにおいて成功させてくださっているかもしれません。けれども、霊的な事柄についてキリストが牧師に任せていることまでも、思い上がって支配しようとでもするならば、必ず罰が下ります。キリストのからだが死んだも同然になってしまいます。「私は、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりひとりに言います。だれでも、思うべき限度を越えて思い上がってはいけません。いや、むしろ、神がおのおのに分け与えてくださった信仰の量りに応じて、慎み深い考え方をしなさい。（ローマ12:3）」とパウロは勧めました。

26:19 ウジヤは激しく怒って、手に香炉を取って香をたこうとした。彼が祭司たちに対して激しい怒りをいだいたとき、その祭司たちの前、主の神殿の中、香の壇のかたわらで、突然、彼の額にらい病が現われた。26:20 祭司のかしらアザルヤと祭司たち全員が彼のほうを見ると、なんと、彼の額はらい病に冒されていた。そこで彼らは急いで彼をそこから連れ出した。彼も自分から急いで出て行った。主が彼を打たれたからである。

　らい病は、レビ記によれば、汚れた者とみなされ、イスラエルの共同体から除外されます。神殿の中に立ち入ったことによる、主ご自身による裁きです。かつてミリヤムが、モーセに楯突いたのでらい病にかかりました。

26:21 ウジヤ王は死ぬ日までらい病に冒されていたので、らいを病む者として隔離された家に住んだ。彼は主の宮から絶たれたからである。その子ヨタムが王宮を管理し、この国の人々をさばいていた。

　ウジヤはまだ生きていましたが、らい病のため王の仕事をできなくなったので、その子ヨタムが彼が死ぬ前から王としての仕事を行なっていました。

26:22 ウジヤのその他の業績は、最初から最後まで、アモツの子預言者イザヤが書きしるした。

　先に話したように、イザヤはウジヤからヒゼキヤまでの時代に生きていた人です。

26:23 ウジヤが彼の先祖たちとともに眠ったとき、人々は、彼はらい病に冒されていたからと言って、彼を王たちの所有していた野の墓地に先祖たちといっしょに葬った。彼の子ヨタムが代わって王となった。

　再び、王たちとはいっしょに葬られませんでした。なんと残念なことでしょうか、彼らは、出だしは良かったのに、途中で主との歩みを放棄して不名誉な姿を後世にまで見せなければならないのです。

　パウロが言いました。「私は、すでに得たのでもなく、すでに完全にされているのでもありません。ただ捕えようとして、追求しているのです。そして、それを得るようにとキリスト・イエスが私を捕えてくださったのです。（ピリピ3:12）」あのパウロがすでに完成されていたのではない、と言いました。けれども、私たちは自分は到達した、と思い込んで、キリストを知る知識のすばらしさを追い求めることを止めてしまうのです。ヨアシュのように、アマツヤのように、そしてウジヤのように、途中まで主に従っていているのに、最後まで競走を走ろうとしない人々がいます。そして走らないと、どんどん、どんどん霊的な防御力とか、霊的内実が殺がれていきます。この自己満足に対する処方箋は、自分がまだ完成されていないことを認め、キリストを知ることを最終のそして最大の目標にすることです。


「聖書の学び　旧約」に戻る
HOME