エジプト人キリスト者に広がる愛の御国

前記事の続きです。

兄弟たちは、小羊の血と、自分たちのあかしのことばのゆえに打ち勝った。彼らは死に至るまでいのちを惜しまなかった。(黙示12:11)」

私たちは悪いニュースを聞きますが、必ず良いニュース、福音がその裏側にあります。今、心が震えています。リビアにおいて、イスラム国のテロリストによって、斬首された二十一人のコプト教徒のエジプト人の内、二人の兄弟にあたる人が、アラビア語のキリスト教衛星放送の番組で、インタビューに答えました。次の動画を見ました。初代教会の聖徒たちの再現、また過去のキリシタンの二十六聖人のエジプト版ではないかと思いました。キリストの愛による神の御国が激しく攻め入っています。

番組進行者:「ベシールさんは、リビアで殺された被害者の一人の兄弟です。ベシールさん、今のお気持ちをお伝えください。あなたの兄弟、あなたの信仰、そして神から期待していることを教えてください。」
ベシール:「一人ではありません、二人いました。殉教者ビショイ・エスタファノス・カメルと、殉教者サムエル・エスタファノス・カメルです。彼らを誇りに思っています。ビショイは25歳、サムエルは23歳です。彼らはキリスト教の誇りです。彼らは私の誇りでもあります、誇りをもって頭を上げて歩かせています。」 続きを読む エジプト人キリスト者に広がる愛の御国

リビアの海岸に流された聖い血

後藤さんのイスラム国による斬首に引き続き、ヨルダン空軍中尉の火あぶりの映像、そしてリビアにおいて、出稼ぎ労働者のエジプト人コプト教徒(エジプト発のキリスト教一派)21人が、リビアの地中海の海岸で斬首される映像が流れました。ヨルダンは前者により本格的空爆を開始、同じくエジプトもリビアにあるイスラム国支部の拠点への空爆を開始しました。(参照ブログ:「安倍首相の中東歴訪から見える聖書世界」)

我々キリスト者全てに対するジハード宣言

その映像に出てきた言葉、セリフは、政治的目的だけでなく、キリスト者に対する宗教的ジハードであることが明言されています。

「血で署名された十字架の国民へのメッセージ」

人々よ、最近あなた方は長い間十字架を掲げる者の斬首をする、シャムとダビク(シリアのこと)の丘の我々を見てきたが、今日、我々はローマの南側、イスラムの地、リビアにいる。ここからもう一つのメッセージを送る。

すべての十字軍へ:お前たちが我々に対して一つになって戦っているのであれば特に、安全があなたにあるようにと願いたい。お前たちがシャイフ、オサマ・ビン・ラデンの体を隠したこの海で、アッラーに誓って、それをお前たちの血も混ぜ合わせる。

私はこれまで、「主よ、来てください」という言葉を初代教会の信者たちに倣って使っていました。しかし、これほど重く、その言葉の意味が心に沈みこんだことはありませんでした。ある方がフェイスブックで以下の文を残していました。 続きを読む リビアの海岸に流された聖い血

後藤さん、天でお会いしましょう!

今、涙を浮かべながら書いています。日本そして世界を巻き込む事件の中でお亡くなりになった後藤健二さんですが、彼はキリストを信じる者です。晴れて天国に凱旋できました。哀しみと共に流れる歓喜の言葉をここに書かせていただきます。

まずは、私が今朝フェイスブックで書いた、主への祈りです。

「主よ、残されたご家族、奥様に深い慰めがありますように、イエス様のご臨在によっていつも支え、癒してくださいますように。経済的な必要も満たされ続けますように。

主よ、どうか祈った祈りをかなえてください。後藤さんの残したキリストの証しを、戦闘員にイスラム国の指導者の良心に、聖霊によって明らかにしてください。そしてイエス様ご自身が、他のムスリムにもしておられるように、彼らの夢、幻に現れてくださいますように。イスラム国の人々を、キリストの御国へと引き入れてくださいますように。

主よ、私たち日本国民のためにお祈りします。後藤さんは今、あなたご自身のおられる天で安息を得ておられることを知っています。それは、彼が自分の罪を悔い改め、イエスの名を呼び求め、キリストの流された血によって赦されたからです。一人でも多くの日本の人々を、後藤さんと同じところに導き入れてください。

ヨルダン国王と国民のために祈ります。どうか、国民の心を強めてください。空軍中尉が生きていますならば、奪還できますように。ヨルダン国が強められ、平和と安定を、あなたからの平和が確保されますように。彼らにも、後藤さんの残したキリストの証しが伝わりますように。

日本政府のために祈ります。テロ対策のためのさらなる知恵が与えられますように。ヨルダン国に対する難民援助を滞りなく実行し、さらに助けられますように。」

次に、MGFの菊地一徳さんが書いた言葉です。(Facebook続きを読む 後藤さん、天でお会いしましょう!

人質交渉から見える「ヨルダン」

高度な内部情報

先日ブログでも紹介し、少しずつ読み進めていた「イスラーム国の衝撃」を読了しました。よくまとめられており、2001年の米国同時多発テロ以降のアルカイダの動きから現在に至るまでの流れを上手に映し出しています。一章ずつ、勉強会みたいなのをしてもいいのかもしれません。

池内恵准教授の著作は、「現代アラブの社会思想―終末論とイスラーム主義」で知ることとなりました。私は、聖書預言とイスラエルへの関心から、アラブ社会とイスラムがどのように発展してきたのかに興味が出てきて、それで手にしたところ、これほど分かり易い書物はありませんでした。初めは「思想」という分野は、取っ付きにくいかもしれません。けれども、慣れてくるとキリスト者の聖書信仰に近づいた内容、関連のあるものなので分かりやすくなります。アラブ人はイシュマエルの子孫としての系統を持っていますし、イスラムはユダヤ・キリスト教から派生した宗教だからです。

本書も決して裏切りませんでした。上記の本の続編という感じでした。つくづく、私たちはとてつもない時代に生きていると思います。時代は、いや神ご自身が、私たち日本人を無関心でいさせないようにしている、と感じています。

ところで、皆さんもご存知の通り、人質交渉は痛々しい結果となりました。湯川さんがテロリストによって殺されたことはほぼ確実となりました。そして、後藤さんを通して新たに出していたイスラム国の要求は、深刻な内容を含んでいます。それは、後藤さんとの引き換えに、ヨルダンの死刑囚となっている、自爆未遂の女性テロリストの解放です。彼らは、巨額の身代金と比べたら簡単なことだと後藤さんの口を通して話していますが、いいえ、これは本格的なヨルダン国に対する挑戦であります。「女性の囚人の解放によるイメージアップ」という即効的効果もありますが、「日本とヨルダンの分断」を狙ったものであり、「ヨルダンの弱体化」、そして究極的には「ヨルダン王国の転覆」を意図しているものです。 続きを読む 人質交渉から見える「ヨルダン」

テロ戦に相対する日本人の心構え

テロはもはや「議論」ではなく「対策」の時

前記事でご紹介しましたように、イスラム国による日本人人質殺害予告について、クリスチャンとして執り成すことが、いま先決です。それ以外に、何をしなければいけないのか?まず、「対テロ戦に日本も入った」ことを認識すべきです。対テロ戦、とは心構えのことです。安倍政権批判は結構ですが、今の時点でこれを梃子に批判をすることは、まさにテロリストの目的を達成させてしまうこと。このことだけは、最低限守ってもらいたいです。イスラーム思想の研究者である池内恵氏が、今、日本が置かれている状況を下のブログ記事で指導しています。お二人の人命のみならず、これからの日本人やその他の国々の人々の安全と生命のためには、必読とも言える大切な文章であります。

「イスラーム国」による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ

また、次の記事もテロと隣り合わせになる社会をどのように生きなければいけないのか、また別の研究者が良い指針を与えてくれます。

テロと自由と日本社会

ぜひ文脈を知ってほしい

そして、なぜイスラム国が人質殺害予告をするに至ったのか?その文脈は、まさに先日ご紹介した安倍首相の中東歴訪と聖書預言の記事です。

安倍首相の中東歴訪から見える聖書世界

ヨルダン・エジプト・イスラエルのイスラム国対戦の支援

ツイートでも、以下のようにまとめました。お読みください。

私はかねてから、安倍政権の政策に、同意できないものも多くあるけれども、全否定するのではなく良いところを評価していきたいと思っていました。その一つが「価値観外交」です。日本が空気のようにして当たり前にもっている自由と民主主義。それを共有している国は信頼でき、緊密な相互の経済協力をしていく、ということです。その積極的、平和的関与によって、不安定な地域のその要因を取り除く手助けをしていく、という考え方です。もちろん、戦略的に価値観の異なる人々といかに共存すべきか、ということも模索しなければ、現実的ではありません。しかしこのことも、足りない部分はありこそすれ、中国との「戦略的互恵関係」やロシアとのつながりや、日本の外交ルートを価値観でごり押しにしない点というのも大切でしょう。 続きを読む テロ戦に相対する日本人の心構え

後藤健二さんのための祈り

もう多くの方がご存知でしょうが、イスラム国に人質になった日本人二名のうち、一人はキリスト者です。

イスラム国が日本人2人(後藤健二氏と湯川春菜氏か)を人質として拘束 安倍総理による対中東2億ドル支援を非難 人質の殺害を警告【インタビュー】国際ジャーナリスト・後藤健二〜それでも神は私を助けてくださる〜

祈りをずっと捧げていますが、与えられている思いを今日、フェイスブックで分かち合いました。こちらにもご紹介します。・・

イスラム国の人質になっている、キリスト者でもある後藤健二さんのために祈るにはどうすればよいのか?多くの人がその救済を祈っているが、私もその一人だ。しかし、それよりも大事な祈り課題がある。それは、「イスラム国のテロリストの救い」である。

クリスチャン新聞1月25日に、「ムスリムの救いのため祈りを」という題で、イスラム圏宣教師の荒川恵水氏への取材記事がある。そこで荒川氏はこう告げている。

「重要課題は、イスラム・テロリストにも十字架の福音が主の特別な方法で伝えられることである。そのことを主に祈り、主がその働き人を遣わしてくださるように祈ることが私たちの責任であることを心に留めたい。(マタイ9:36‐38)」 続きを読む 後藤健二さんのための祈り

安倍首相の中東歴訪から見える聖書世界

安倍首相の掲げる「積極的平和主義」、その外遊の国々の多さにも表れています。歴代首相を短い期間にすでに越えているそうです。(参考記事)そして始まったのが、1月16日から21日までの「中東歴訪」であります。

ようやく始まる日イ関係

五月、ネタニヤフ首相が来日したことについて、日本のマスコミがほとんど一切報じなかったことで、大きな衝撃を受けたことをお伝えしました。

ネタニヤフ・イスラエル首相訪日(5月11-14日)

私はこの訪問は、国交を結びながら、なおかつアラブ・ボイコットを恐れてイスラエルと距離を取ってきた日本国がこれからイスラエルに近づく兆しだろうという感触を得ました。第一に、イスラエルはかつてないほどの経済的好調を遂げており、何より地中海近海で油田発見による地政学の大変動の可能性、そして、その国情によって生み出された、農業、医療、ITにおける先端技術と起業性は、世界に影響力を及ぼしつつあったからです。

そして第二、世界の基軸が西から東にゆっくりと動いていることです。西洋は今でも絶大なグローバル・スタンダードを築いていますが、それでも底流で徐々に徐々に、その流れが東へと動いています。イスラエルにとって、輸入国の第二位は今、中国です。韓国は、その地政学と政治体制からイスラエルは以前より親近感を持っており、強い軍事的結びつきがあり、そしてイスラエル国内には、東南アジアからの出稼ぎ労働者が増えています。アジア諸国は、アラブの目など全く度外視してイスラエルと付き合いを始めていたのです。

第二次世界大戦後の秩序の中で世界経済大国の地位を確保した日本だけが、取り残されている姿をもどかしく見ていました。しかし、それが今、動き出したという感じがします。

相変わらず、日本のマスコミは安倍氏のイスラエル訪問を小さく報じていますが、イスラエル首相官邸のFacebookYoutubeは、数多くの記事、写真、動画を掲載しています。(日本の首相官邸のフェイスブックにも少し、報道があります。)

安倍首相イスラエル訪問

続きを読む 安倍首相の中東歴訪から見える聖書世界

The Third Target(第三の標的)

アメリカから日本に帰る飛行機の中、次の本をずっと読んでいました。

The Third Target(出版社のサイト)

イスラム国がシリアで残されていた化学兵器サリンを入手、「第三の標的」をここで行なうと、イスラム国の指導者が語る「その国」とはどこか?これが意外や意外、(いや、本当は意外ではないが)種明かしをすると「ヨルダン」です。

これは、フィクション小説なのですが、ジョエル氏のこれまで出したフィクションはすべて、後でノンフィクションになってしまいました。(氏の著作リスト)イスラム国の台頭も、台頭する数か月前にこの本を書き記していたので、ドンピシャなのです。そういった視点で読むと、ヨルダン国王の政権を転覆させて、シリア、イラクに続けてヨルダンを倒し、そしてイスラエルに近づいて征服する、というシナリオはものすごく怖いほど、現実味を増しています。

そして本書の中に、ヨルダンに対する聖書預言を出しています。アモン(北部と中部)、モアブ(中部)、そしてエドム(南部)は、エレミヤ書等、すべてに荒廃が定められている裁きを受けます。中東和平のフィクサーであるヨルダン国王が除去されるのであれば、これらの預言の成就に現実味を増すという視点から書いたのでしょうが、ゆえにかえって、実際の専門家を越えて先んじて何が起こるかを読み取っています。

The Times of Israelの記事:The Islamic State’s Third Target

フランス新聞社へのテロ

私がアメリカで旅行している時に、この事件のニュースを耳にしました。折しも、宣教会議で食事の同じテーブルに、フランスのカルバリーチャペルの牧師さんと一緒にいた時に、その話を聞きました。映像を見ていないため、あまり実感を持てずにいたのですが、これは大きな意味を持つ事件であることがじわじわと分かってきました。四つの論点があると思います。

①イスラム教テロの拡がり

イスラム国の台頭においては組織のある実体を伴っていますが、今の動きは、組織を超えた思想によって個別に起こるテロが頻繁に起こっています。予てから当ブログで話していますが、テロリズムに闘うのは警察力や武力以上に、また経済的状況や教育以上に、「思想」や「価値観」によるものであり心の中の問題だということです。参考になる記事をご紹介します。

専制独裁主義の価値観と民主主義のそれとの戦争=フランス銃撃テロ事件(ミルトス社社長、河合一充氏)
「フランスの新聞社銃撃テロ事件の本質は何か。一般には、「言論の自由」への挑戦だと受け止められている。しかし、イスラエルの識者はそうではないという。「イスラム過激主義の価値観」と「西洋の民主主義、人道主義の価値観」との戦争だ。どちらかが勝つまで続くことを覚悟しなければならない、と。この見方はまだ、ヨーロッパ人に受け入れられていないが、イスラエル人ははっきりと見抜いている。」

イスラム過激テロは 人事でないヨーロッパ 日本も(同上の氏)
「日本では、フランスのテロ襲撃事件をどのように感じているのだろうか。対岸の火事ではなかろうか。イスラエルの指導者は、90年代からパレスチナ過激派(ハマスなど、イスラム原理主義)との戦いの最中、世界に警告していた。『イスラエルで起きていることはやがて、世界に広がるぞ。何も、イスラエル内だけに限定されるわけではない!』それを現実に実感しているのが、ヨーロッパ人であろう。ヨーロッパのメディアを見ていると、イスラム国、アルカイダなどの危険を訴え、新たな脅威の時代を意識しだしている。おそらく9・11の時にも、あれはアメリカで起きたこと、ヨーロッパは関係ない・・とは言わないまでも、どこか人事だったかもしれない。しかし、今やイスラム原理主義や過激派の恐ろしさが身近に迫っている認識にある。日本にもこのテロ戦争がやって来ないとは、絶対に保証できない。そのことを認識すべきだ。」 続きを読む フランス新聞社へのテロ

「イスラーム国の衝撃」(予告)

年始は、イスラム国についての新書がわんさか出て来ている感じです。これまで雑誌や新聞記事であってものが、体系的になったものとして出てきます。私は兼ねてから信頼できる、イスラム学者として池内恵(さとし)東京大学准教授の著作を追っていました。イスラム国についての解説も情報が溢れていますが、これから「イスラーム国の衝撃」という題名で、著書が出ます。オーソドックスな書物で基礎知識を付けて、それからニュースを追うのが良いかと思います。

イスラーム国の衝撃思い立ったら新書−−–−1月20日に『イスラーム国の衝撃』が文藝春秋から刊行されます

私の中東情勢やイスラムの動きについての主な情報源は英文のもので、イスラエルと周辺の中東発のものが大半です。またアメリカからのものもあります。それと池内氏の発信しているものに違和感がありません。けれども、欧米かぶれしている訳ではなく、実際の第一資料に当たって、自分で思考している姿を見ることができ、日本人としての主体性や、当事者としての意識も感じます。

「イスラム国」を理解する鍵

もちろん、キリスト者としてはさらに、霊的な判断、聖書的な見地を加えないといけません。私はイスラム国は、クリスチャンに分かり易く話すなら、「イスラム版の神の国」であるとみなしています。どの主権国家からも認知されない、アッラーから直接でてきた異次元の「国」であり、それは内的世界だけでなく、行政も機能する「可視的な国」となっています。キリスト者にとって御国は霊的なものであると同時に、将来、キリストの到来によって可視化されるものであるのと同じです。 続きを読む 「イスラーム国の衝撃」(予告)