池上彰に物申す

在イスラエル日本人の方のブログ記事、紹介します。

池上彰に物申す

トランプ次期大統領の義理の息子ジャレド・クシュナー氏がユダヤ人ということで、「解説」なるものを週刊文春で池上さんが書かれたそうですが、まるで出鱈目のことを書いているので、それを正す内容です。

そうなんです、池上さん、キリスト教を含む三大宗教のことたくさん書いているし、中東やイスラエルについても書いているのですが、基本が全然なっておらず、びっくりすることがあります。かつて、三つの記事を書いたので、関心のある方は読んでください。

ここが変だよ!池上彰さん (その1)
ここが変だよ!池上彰さん (その2)
ここが変だよ!池上彰さん (その3)

突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する

イギリスのユダヤ教チーフ・ラビ、ジョナサン・サックス氏が、2016年9月27日に、欧州連合議会において、新しい形の反ユダヤ主義について雄弁に語っています。下は、原稿の英文を意訳したものです。

これまで、ロゴス・ミニストリーのサイトでは数多く反ユダヤ主義について取り扱ってきました。下の日本語の意訳の後に、関連記事をリンクします。

The Mutating Virus: Understanding Antisemitism(突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する)

ユダヤ人憎悪はユダヤ人で終わりません。ヒトラーによって苦しみを受けたのはユダヤ人だけではありませんでした。スターリンによって苦しめられたのはユダヤ人だけではありませんでした。イスラム国やアルカイダ、イスラム聖戦によって苦しんだのはユダヤ人だけではありません。反ユダヤ主義がユダヤ人だけに向けられたものであると考えたら大間違いです。これは、ヨーロッパに対する最大の危機であり、何世紀にも渡って達成した自由に対する脅威なのです。 続きを読む 突然変異したウイルス:反ユダヤ主義を理解する

シリアの廃墟

あまりにも痛々しい映像です、しかし主は私たち以上に痛みをもって、次の預言をしておられます。

ダマスコに対する宣告。見よ。ダマスコは取り去られて町でなくなり、廃墟となる。(イザヤ17:1)」

映像は戦争前のアレッポと、現在のアレッポです。(アレッポは、ダマスカス(ダマスコ)からすぐ近くの、シリアの町です。)

ロシア、イラン、トルコ、世界情勢の激変

以前、記事「聖書信仰による世界観」において、高原剛一郎さんの講演を紹介させていただきました。最近の講演を紹介します。

米国大統領選が間近な中で、ロシアが選挙にまで介入していると噂され、またプーチン氏が母国に外交官などの家族を帰国させているなど不穏なニュースが入っていますが、今、しっかりと上の講演にある世界情勢の把握と、聖書に書かれているイスラエルと周辺の状況を改めて把握しておくべきです。

ロシアによる中東関与が、イランからさらに今、トルコに至っていることについては、詳しく「「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」②」において説明しました。ぜひそちらを読んでください。それから最近の動きを紹介します。

プーチン・エルドアン両大統領の会談開始:西側の懸念は現実のものに
プーチン、エルドアン両大統領の連合は世界のパワーバランス変える可能性
ロシア・トルコ首脳会談、ガスパイプライン建設で合意

そしてロシアはシリアを梃子に、どんどんイスラエルに近づいています。 続きを読む ロシア、イラン、トルコ、世界情勢の激変

「悪を善、善を悪とする」時代

ああ。悪を善、善を悪と言っている者たち。」(イザヤ5:20)

これから、今の時代の特徴について、難しい問題を取り組みたいと思います。

自衛行為が聖書の禁じる「復讐」か?

あるクリスチャンの方が、フェイスブックのページを立ちあげて、最近の教会における政治的な偏りに取り組んでおられます。例えば、国防について、憲法九条を守る立場から自衛隊は無くす方向に持っていくことが”御心”であるとすることに対する違和感を表明しています。最近は、神学者や教役者の中にも、例えば家に変質者が襲ってきたとしても、”抵抗しない”という発言まで散見されます。

このことについて、しばしば引用されるのが「殺してはならない」「敵を愛しなさい」「剣を鞘に収めなさい」「国は国に向かって剣を上げず」・・というようなものです。しかし、これらの神の言葉が自衛隊不要論、国や家族を守ることの否定にまでつながるのか?という問題提起をしておられます。

私も、同じ葛藤を抱いています。このような平和絶対主義を聖書が言っているのか?と聞かれれば、私は、はっきりと「否」と答えます。以下、山上の垂訓にある主の命令に対する問いかけを、同じページで、ある牧師さんがされていたので、それぞれの問いかけに私なりに応答したものを、下に紹介します。 続きを読む 「悪を善、善を悪とする」時代

オリンピックに見るアラブの病気

卓球をしていた私は、いつも卓球の試合の動画を見るのが好きですが、リオ・オリンピックにおける卓球選手の活躍はずっと見ています。特に、水谷隼選手のオールラウンドのフォームは本当に美しいです。

そんな中、話題になったニュースで、そうだよなと分かりつつも、げんなりさせられたニュースがありました。柔道の試合で、イスラエル選手の握手をエジプトの選手が拒んで、大きな非難が起こり、ついに帰国処分にさせられたというものです。(ブログ記事

柔道男子100キロ超級1回戦でオル・サッソン選手(イスラエル)からの握手を拒むイスラム・エルシェハビ選手(エジプト)Photo: Associated Press
柔道男子100キロ超級1回戦でオル・サッソン選手(イスラエル)からの握手を拒むイスラム・エルシェハビ選手(エジプト)Photo: Associated Press

そこで、この問題に真正面から取り組んだ、非常に良質な記事を読みました。 続きを読む オリンピックに見るアラブの病気

AIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)とは?

日本会議と比べられるのは不快ですが、分かり易くAIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)について直球の説明をしています。この説明から、唸らされる程のイスラエルの現実を知っているのは必要です。

https://youtu.be/BsYhJ893xQA

超大国を執り成し、生存を図るユダヤ人

このビデオは、脅威的なものとして語られていますが、イスラエルという国は、逆に、それだけの他国が決して受けることのない尋常ではない脅威を、これまで、周辺国家やイスラム教の国々から今に受けるまで受けています。ユダヤ人の長い歴史の中で全滅を目論む勢力に対して、どのように生き残るのかということを前提に考えて生きています。受けている脅迫は、文字通りの抹殺です。

そして私たちの信じる聖書には、そのことを初めから証言しています。ヘブル人の男の子がナイル川に投げ入れられる所から始まり、ペルシヤにおいては文字通りのユダヤ人全滅の勅令が王から発布されました。そしてエステルのように、当時の超大国の王への執り成しによって、主が絶滅の危機を逆転されることもされます。AIPACは、そういった意味で、超大国であるアメリカを味方に取り込み、生存し続ける執念のような政治的ロビー団体です。 続きを読む AIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)とは?

「イスラエル建国史」滝川義人著

重厚な建国の歴史紹介

先の、「サイクス=ピコ協定」についての書籍の紹介で、時のユダヤ人の離散と帰還についても触れましたが、ここで思い出したのが、ハーベストタイム・ミニストリーズ出版の冊子で連載された、以下の「イスラエル建国史」です。

「イスラエル建国史」バックナンバー

紀元後70年のローマによるエルサレム破壊によって離散したユダヤ人が、どのように離散した地で社会を形成し、それから近代に入り、祖国帰還が起こったかを概観することができます。この重厚な内容を無料で読めるのは、凄いです。

BFPのティーチングレター「奇跡の国-イスラエル -前編-」から

ちなみに、以前紹介した、物語調の本「イスラエル建国の歴史物語」が読み易いと思います。そして、しっかりとイスラエル近現代史を知りたい方は、邦訳されたものとしては「イスラエル全史」をおすすめです。

左翼と陰謀論の反シオニズムには注意 続きを読む 「イスラエル建国史」滝川義人著

「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」②

サイクス=ピコ協定 百年の呪縛前記事①においては、本書の前置きの話で終わってしまいましたが、ここから中身に入ります。

ダニエル書にある世界帝国

私は、この本に衝撃を受けたのは、まず、ダニエルの見た幻にある「世界帝国の姿」の続きを見たからです。ダニエルは、ユダの国とエルサレムが神によって引き抜かれた後の、異邦の諸国、殊に世界帝国となった国々の興亡の幻を見ました。ネブカデネザルは、金属によってできた人の像であり、金がバビロン、銀がペディヤ・ペルシヤ、青銅がギリシヤ、鉄がローマ、そしてその後の世界はローマの影響を残しながら緩くつながり統合できていない、粘土と鉄のまじりあった姿を描いています。足の指はもちろん十本です。

The great image that God revealed to Nebuchadnezzar in a dream was interpreted by the prophet Daniel. Each section represents a world-ruling superpower. Each succeeding metal is less valuable, but each succeeding metal is stronger, as each empire was more powerful than the last.
The great image that God revealed to Nebuchadnezzar in a dream was interpreted by the prophet Daniel. Each section represents a world-ruling superpower. Each succeeding metal is less valuable, but each succeeding metal is stronger, as each empire was more powerful than the last.

続きを読む 「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」②

「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」①

サイクス=ピコ協定 百年の呪縛先日、池内恵氏による「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」を完読しました。

「いまや中東の地は、ヨーロッパへ世界へと難民、テロを拡散する「蓋のないパンドラの箱」と化している。列強によって無理やり引かれた国境線こそが、その混乱を運命づけたとする説が今日では主流だ。しかし、中東の歴史と現実、複雑な国家間の関係を深く知らなければ、決して正解には至れない。危機の本質を捉える緊急出版!」(新潮社のウェブサイトから)

終末論や陰謀論をまともに扱ったイスラム研究者

その前に、私の読書の中での池内恵氏との出会いを紹介したいと思います。その付き合いは、2001年の米国同時多発テロの起こった後に出版された、「現代アラブの社会思想 ― 終末論とイスラーム主義(本ブログ記事)」からでした。今でさえ、現実の世界趨勢として、差し迫った危機として一般社会でも認知されていますが、当時、「終末論」や「イスラム主義」を直球で、まともに取り扱っていたのは見ることはなく、私は、アメリカの聖書教師によるものしか知りませんでした。池内氏はキリスト者でもなく、ムスリムでもないのに、どうして、等身大のイスラムの世界をこれほどまで精緻に描写できるのか、とても不思議でありました。 続きを読む 「サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」①