皇室とキリスト教

昭和天皇実録今、皇居にて「昭和天皇実録」が公開されています。それに基づいて、週刊朝日が次の記事を書いて、ちょっとした話題になっています。

昭和天皇、キリスト教に関心の理由

(オンライン化されたこの記事は貴重だと思いますので、コメント欄に保管させていただきます。)

同じ週刊朝日の関連記事には、眞子さまと佳子さまが国際基督教大学に入学したことについても、「“佳子さまICU志望”で考えた 皇室とキリスト教はどんな関係?」という記事に書いています。

このような報道で驚く方々も多いと思います。それは、私たちが受けてきた教育がそうであったからでしょう。路傍伝道をしても、「日本は仏教と神道の伝統をもった国であり、キリスト教は西洋の宗教だ。」と考える一般の方々が圧倒的で、クリスチャンになっても、そうお考えになっているかもしれません。

けれども、皇室とキリスト教の関係は明治時代からかなり広く、深いです。むしろ、一般市民よりもキリスト教にもっと触れており、人間関係の中でも、知識的にもキリスト教に近い人々であると言ってよいと思います。今上天皇が少年であられた時、家庭教師は、クューカー教徒のヴァイニング夫人であったし、現皇后は聖心女学院出身であり、カトリック信仰を持っていたのではと言われています。そして、私の身近な人でも皇室に接触があるであろう宣教師がいます。

https://youtu.be/2k5IpnMPprs

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陰謀論と神の主権

今日、米同時多発テロが起こり、世界が「対テロ戦」の時代に入って早13年経ちます。初めはアルカイーダ掃討のため、アフガニスタンを占拠するタリバンとの戦いから始まり、テロを支援する大量破壊兵器を持っているということで戦ったイラク戦争(第二次湾岸戦争)と続き、イスラム過激派との戦いは実に、ISとの戦いで再び大規模に始まろうとしています。

アメリカがイラク戦争を始めて数日後から、下のページで多くの記事を書いてきました。

聖書の中のイラク

そして当ブログでも、9月11日になると書いてきました。

日本キリスト者が試される9・11
911と311

米同時多発テロも陰謀論のネタに

世界貿易センター炎上13年経つこの日、「陰謀論と神の主権」という題名で書き残したいと思います。私は、ユダヤ人国際資本、フリーメイソン、イルミナティ、ロスチャイルド云々という陰謀論についてはトンデモであると思っていたので、基本的に無視していたのですが、真面目に経済界で受け入れられ、キリスト教界でも一部に信じられていることが分かってきました。9・11の後に、あるキリスト教の月刊誌に米国の自作自演説が堂々と書き記されているのです。 続きを読む 陰謀論と神の主権

「美味しんぼの鼻血」から学ぶ教訓

私たちの教会は、創世記から順番に学ぶ聖書通読による説教で礼拝を捧げています。今はヨブ記です。ある意味、教会こぞって、私たちの生きていることについて深く考えているのではないかと思います。

「矛盾」にある真理

考えさせられていることの一つは、自分の知識と現実の乖離です。現実は私たちが考えているように単純ではないということです。私たちは物事を自分の理解、把握の中に入れたいので、それに収まり切れない現実に原因を見出そうとし、責め立てていきます。しかし現実、いや神の真実自体が、人間には”矛盾”している真理を孕んでいることを知る必要があります。

美味しんぼの「鼻血」最近の時事問題で、「美味しんぼの鼻血」がありましたね。放射能によって鼻血が出てきたと描いた漫画美味しんぼについて、福島県当地から風評被害として抗議があっただけでなく、津波で被災した県からの廃棄物処理についても健康被害を受けたとする記述もあったために、大阪市からも抗議があり、ついには政府(環境大臣)までが苦情を述べ、公式の見解を環境省のホームページにも載せる、というところまで発展しました。そして、美味しんぼはビックコミックスピリッツから休載ということになりました。

この件について、次の記事が私を激しく頷かせました。私はこれまで、マスコミ全般に対して批判的でありましたが、マスコミの中にいる方々が通っていることを想像しながら書いた記事であり、これまでの姿勢を少し反省しました。ここ数年でマスコミによる報道がセンセーショナルにしてしまっているのは、私たち読者たちの読解力不足が一因であることを教えています。 続きを読む 「美味しんぼの鼻血」から学ぶ教訓

今と昔の日本・イスラエル関係

前記事「ネタニヤフ・イスラエル首相訪日」の補足記事ですが、首相の訪日中は情報を更新していきますので、一度ご覧になった方ももう一度戻って見てください。

私は今回の非常に静かな(?)ネタニヤフ首相訪日を通して、興味深い日本とイスラエルの関係を見つけることができました。

安全保障の協力

一つは、「イスラエル友好議連」という議員たちの集まりを主催している、中谷元衆議院議員の存在です。ネタニヤフ首相がこの場でお話しをしました。
『日本・イスラエル友好議員連盟』主催 歓迎昼食会

中谷氏は、元陸上自衛官であり、テロリズム対策のための法整備等で動いている人です。イスラエル公安大臣イスラエル武官とも会っています。そこで今回の共同声明には、サイバーセキュリティーと日本の国家安全保障局とイスラエルのそれとの意見交換、また両国の防衛当局の交流拡大を図るというものがあります。ネタニヤフ首相は、北朝鮮の核脅威とイランの核脅威の共通課題があるから、協力しなければならないことを強調しました。

かつての日本も、ユダヤ人への働きかけは軍人から始まっています。「安江仙弘」という人物がいます。彼は反ユダヤ主義の古典「シオン賢者の議定書」に興味を示し、翻訳までしましたが、パレスチナとエジプトに訪問した時に、観念的な反ユダヤ文書によるユダヤ人理解の誤りを悟りました。けれども、ユダヤ人の流浪の姿に同情して、陸軍きってのユダヤ通になったと言われています。そこで安田は、満州国におけるユダヤ人保護に尽力しました。彼はイスラエルの「ゴールデン・ブック」に偉大なる人道主義者としての名前が刻印されることとなりました。 続きを読む 今と昔の日本・イスラエル関係

指導者への執り成し - 安倍首相のために祈る

昨日の礼拝の後に、東アジアキリスト青年大会に、私たちの教会から参加した人々に恵みの分ち合いをしていただきました。

クリスチャン新聞の記者の方が参加されたので、ウェブ上では現地からの速報もあり、そして3月2日号の新聞にも早速、報告が書かれています。その一部を紹介します。

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直接中国からの牧師の参加はなかったが、日本人、韓国人の牧師が講演、メッセージし、実際的な国際関係の問題をふまえ、聖書的な生き方を勧めた。参加者は文化や政治体制、言語を越えて、学びや交わり、互いの理解を深めた。
2日目の夜には、各国で祈祷課題を挙げ、それぞれの国のために祈った。祈祷課題は以下の通り。[中国]①中国のキリスト教のリバイバルのために、クリスチャンが霊的な目が開かれて、成長できるように②神様が中国を用いられ、中国が神様のみこころに従えるように③国の指導者のため、国が神さまの公正と公義で支配されるように[日本]①日本人の救いのために②安倍晋三首相のため、指導者のために③教会が中国、韓国のことを知って、立ち上がってまず祈りから始められるように。[韓国]①南北統一のために。北朝鮮の指導者が、神さまのみこころを知ることができるように、南も北を理解できるように②脱北者のためにクリスチャンがどのように接するべきか模索し、やるべきことを見つけられるように③韓国のクリスチャンの間で、信仰と生活がかけ離れ、本質を失った状態があるので、回復できるように。宣教の情熱をもった若者が立ち上がるように。
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国際/互いを知り祈る 東アジアキリスト青年大会3

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秘密保護法案とキリスト者の迫害

今、騒がしくなっているこの法案とキリスト者の心構えについて、知人の牧師さんがブログで記事を書いておられます。もうこれ以上、付け足すことがないほどで全文引用したいところですが、リンク先をご一読いただければ、と思います。

秘密保護法案の成立を受けて思うこと

私はホームページやブログで、予てからキリスト教会に対する迫害について関心を寄せて自分の意見を書いてきました。聖書には必ず、キリスト者は敬虔に生きようとすると迫害を受けるとあるけれども、日本という土壌ではどうなっていたのか、という疑問から調べました。カトリックを加えるならキリシタンの殉教には涙し、その超人的な堅忍には驚くべきものでありましたが、明治以降のプロテスタント史においては、暗い側面があります。

それは第一に、真に迫害を受けた人は、社会的周辺に追いやられていくことです。迫害を受けながら、なおのこと勝利し、世俗の権力者が最終的にはその存在を認めざるを得ないという、初代教会、また今の中東諸国や社会主義国の一部にあるような神の証しを見ることができない、ということがあります。しかし、ごく少数の人がその信仰を貫き、そのまま世を去るという軌跡は認めることができます。 続きを読む 秘密保護法案とキリスト者の迫害

日本の皆さんへ - 韓国と中国を思いやろう

前記事「韓国の皆さんへ - 日本の保守派とは」の補足として書きます。日本語で書いてしまったので、むしろ日本人の人がたくさん読まれたと思うからです。

かつて「日本」にさせられていた韓国

知らなければいけないことは、前にも話しましたが、韓国の人々にとって、70年近く前まですべて「日本人」にされていた、ということです。周りにいる韓国の方々は、ご両親が日本語が話せる、とか、昔の日本の食べ物や文化的な習慣など、懐かしがったりするような人もいて、また日本の軍人に目の前で親が殺された、という人もいたりして、「日本」から切り離せない人々なのです。

また、どの高校に行ったかなど、比較的裕福な人は親日拠りの高校で、お金のない人は独立派の高校など、「日本」に対する姿勢で社会構造があり、それが文化の中に深く根づいています。私たちにとっては戦後は70年近く前の話ですが、韓国民にとっては今も残存しており、そして朝鮮戦争という日本敗戦に付随して起こった戦争の中で、今も休戦でありながら、その戦争の中に生きている人々なのです。 続きを読む 日本の皆さんへ - 韓国と中国を思いやろう

韓国の皆さんへ - 日本の保守派とは

韓国の皆さんへ、と書いているのですから韓国語で書くのが正当だと思いますが、しかし、私の韓国語力が微妙な問題で十分に表現できると思わないこと、そして日本語の分かる方であれば知日派あるいは、日本在住の韓国の方でしょうから、私の話す事情、背景をよりわきまえておられると思うからです。

まず、私の背景を紹介します。私はキリスト教の宣教師・牧師です。アメリカの教会からの支援を受け、今は、東京中心部で開拓伝道をしています。そして、北東アジアへの働きかけに関わったこともあります。韓国語もある程度話せます。これまで中韓朝の兄弟たちを思いつつ、日本の同胞への伝道を続けている身です。日本のキリスト者にはいろいろな考えがあり、これから話す内容は純粋に、私個人の見解であり、以上、関わりのある人々の見解ではありませんので、よろしくお願いします。

日本保守派は韓国の国是を後押しする人々

私は、韓国の人々に一つの矛盾を感じています。それは、韓国は北朝鮮という共産主義圏との対立によって出来上がった国であり、今でも豆満江までを自国とする休戦状態の国を、自由主義の半島統一を願って支援する日本の保守派に対して、「極右」と言って強硬な反日姿勢を示すことであります。 続きを読む 韓国の皆さんへ - 日本の保守派とは

中韓の人と日本人の淵

先週は、私、そして私たちの教会にとって、「ベトナム週」になりました。日本語学校に現在、増えているベトナム人の学生と文化交流をし、また教会に興味のある学生に声をかけて、礼拝にも数名、来てくれました。私はその中で、日本にいて自分自身も感じていたこと、それがベトナム人の学生の子の口から、ぽろっと出て、「これだ!」と思った一言があります。それは「日本人は冷たい」です。彼女は、「そう思っていたけれども、こんなに温かくしてくれる日本人がいるんだ」と言って感動していました。そして会が終わった後もずっと離れずに、まるで小学生が大学生のボランティアのお兄さん、お姉さんに離れないかのように(もちろんこれは比喩で、実際は20歳代)、素直で、人懐っこい子たちでした。

上の一言は、ある、中国人の子の口からもぼそっと出たのを聞いたことがあります。彼女によると、日本にいる中国の人は日本人が好きではないだろう、ということです。「では、あなたはどうなの?」と尋ねると、「普通の日本人は・・・」と答えていました。そう、日本に在住する外国人に心を寄せるのは例外的な日本人であり、他の一般の日本の人たちには、概して好印象を持つのが難しい、とのことです(そして彼女は、これは文化の違いであることも理解しています)。 続きを読む 中韓の人と日本人の淵

山本太郎氏当選に思う

参院選が終わり、いつもなのですが、妻も私も、自分の投票した人はずっと落選しています。(汗)今回、東京で当選した元俳優、山本太郎氏に関して書いたほうがよいかな?と思いました。

反原発運動の功罪

山本太郎氏と言えば、もちろんその反原発運動が選挙の争点であります。日本のキリスト教会の中で、反原発の姿勢を取る教会、個人、教団が多く現れました。全体としての雰囲気は、個々人のキリスト者はいろいろな意見を有しているのに、「キリスト者 → 反原発」という構図になっています。

私は、これまでのブログで社会正義、また社会運動とキリスト者について論じてきましたが、私の立場は、「キリスト者は社会運動の活動家として召されているのではなく、あくまでも福音宣教者として召されていること。けれども福音そのものに、イザヤ書に預言され、福音書に実現された、社会的弱者に届くキリストご自身の宣教が含まれており、それゆえキリスト者は弱者に注がれている神の霊的祝福をもって、その人たちと共に生きる」というものです(参考ブログ)。ですから、反原発への活動を促す書籍や講演がキリスト教関係で出ていますが、私にはどうも肌に合いません。 続きを読む 山本太郎氏当選に思う