新約聖書に出てくる「奥義」 2001/05/29
「この奥義は、今は、御霊によって、キリストの聖なる使徒たちと預言者たちに啓示されていますが、前の時代には、今と同じようには人々に知らされていませんでした。」
「奥義」という言葉がエペソ書3章においてキーワードになっています。けれども私は、「奥義」という日本語訳は良くないと思います。新共同訳には、「秘められた計画」と訳されていますが、こちらのほうが無難でしょう。この5節に、パウロが意味している奥義の定義がなされています。
つまり、前の時代には人々に知らされていなかったけれども、今明らかにされたことであります。「キリストの聖なる使徒たちと預言者たち」とありますから、新約の使徒たちに初めて啓示されたことであり、旧約時代の預言者たちには知らされず隠されていたことでありました。まさに、秘められた計画であります。
神が私たちに秘められた計画を持っておられるとは、どういうことなのでしょうか。ちょっとたとえで話してみましょう。あなたが有能な大工さんで、棟梁であるとします。自分の愛する人と結婚することになりました。その人は、この女性を愛し、その愛をどのように示せばよいか考えています。そうだ、彼女のために別荘を建築してあげよう。だまって内緒でそれを建てるのだ。彼女が好きなデザイン、色彩、好みなどを考えながら建てよう。そして、あなたは、妻に隠して建築をはじめます。二年の歳月が経ちました。結婚記念日のときに、「ちょっとプレゼントがあるんだ。」と言って、彼女を別荘まで連れていきます。まさにあなたのあらゆる技能をもって出来上がった最良の別荘です。
これがmusterion(ムステリオン)、秘められた計画であります。神は、永遠の昔から、私たちのために計画を立てておられました。神のあらゆる知恵と思慮深さをもって、ご自分の恵みを明らかにする方法を考えられました。そしてそれを、ずっとお隠しになっていたのです。
旧約時代の聖徒たちにさえ隠しておられました。おぼえていますか、ダニエルが御使いから受けた幻について、理解できずに悩んでいたときに、御使いは、「あなたは終わりの時まで、このことばを秘めておき、この書を封じておけ。(12:4)」と命じました。あの神の人ダニエルでさえ知らなかったこと、また他の偉大な預言者も知りたいと思いながら知らされていなかったこと、それを私たちは今、知らされているのです。
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