歴代誌第一17−20章 「良い約束」
アウトライン
1A 主が立てる家 17
1B 世継ぎの子 1−15
2B 付加できないほどの祝福 16−27
2A 敵の屈服 18−20
1B 聖別する略奪品 18
2B 降参 19
3B 巨人の打倒 20
本文
歴代誌第一17章を開いてください。今日は17章から20章までを学びます。ここでのテーマは、「良い約束」です。
1A 主が立てる家 17
1B 世継ぎの子 1−15
17:1 ダビデが自分の家に住んでいたとき、ダビデは預言者ナタンに言った。「ご覧のように、この私が杉材の家に住んでいるのに、主の契約の箱は天幕の下にあります。」17:2 すると、ナタンはダビデに言った。「あなたの心にあることをみな行ないなさい。神があなたとともにおられるのですから。」
これまでの学びを思い出してください、ダビデは自分がイスラエルの王位に着座してから、初めに行なったことは、神の箱をダビデの町に運んで来ることでした。一度目は、主の指示を聞いていなかったのでウザが死んでしまいましたが、二度目はレビ人を任命してモーセの律法の通りに棒によって担がせて運びました。そしてダビデは、他の民とともに思いっきり喜んで、踊りながら神の箱がエルサレムに入ることを祝ったのです。彼の思いが、いつも神の箱、つまり天にある神の御座を思っていたことがよく分かります。
そんな彼が今、宮殿に住んでいてふと思ったことがありました。自分の宮殿は、ツロの王ヒラムの好意によって良い材料と職人によってすばらしいものが出来ていましたが、神の箱は幕の家、天幕の下にあります。主を心からほめたたえたいといつも願っているダビデは、これはおかしいと思いました。主こそが、威光を放った家に住むべきであると考えたのです。彼の心はこのように、主に注がれていました。そしてナタンも、このダビデの案に同意しました。ところが、主ご自身が違うことをお考えになっていたようです。
17:3 その夜のことである。次のような神のことばがナタンにあった。17:4 「行って、わたしのしもべダビデに言え。主はこう仰せられる。あなたはわたしのために住む家を建ててはならない。」
なんと、ご自分のためには家を建ててはならない、と命じられています。その理由が次に書いてあります。
17:5 わたしは、イスラエルを導き上った日以来、今日まで、家に住んだことはなく、天幕から天幕に、幕屋から幕屋にいた。17:6 わたしが全イスラエルと歩んできたどんな所ででも、わたしの民を牧せよとわたしが命じたイスラエルのさばきつかさのひとりにでも、『なぜ、あなたがたはわたしのために杉材の家を建てなかったのか。』と、一度でも、言ったことがあろうか。
イスラエルの民はずっと、流浪の旅を続けてきました。エジプトを出てからシナイの荒野へ、それからカナン人の地へ行きましたが、カナン人の地においても敵の存在によって、安心して定住でいるような状態ではありませんでした。そこで、主が住まわれる場所は移動式のものでなければならず、それゆえ幕屋の中におられたのです。
そして、主はダビデが神をほめたたえ、神を愛したいと思われている以上に、ただ彼を愛し、彼を祝福したいと思う心を注ぎ出されます。
17:7 今、わたしのしもべダビデにこう言え。万軍の主はこう仰せられる。わたしはあなたを、羊の群れを追う牧場からとり、わたしの民イスラエルの君主とした。
今ダビデに、自分がどこから出てきたのかを思い出させています。今のダビデはイスラエルの君主です。けれどもかつてのダビデは、羊飼いです。神の恵みはここから始まりました。私たちがクリスチャンになった後に、パリサイ人のような高慢の罪を犯してしまう理由の一つに、自分がどこから出てきたのかを忘れてしまうことがあります。自分の何らかの努力や功績によって今の自分がいると思ってしまうのです。そこから、ねたみや争いや敵意が生まれます。けれども、自分が罪に死んだ者であり、神の怒りを受けて当然の身であったことを思えば、今の自分を決して誇ることはできません。
17:8 そして、あなたがどこに行っても、あなたとともにおり、あなたの前で、あなたのすべての敵を断ち滅ぼした。わたしは地上の大いなる者の名に等しい名をあなたに与える。
ここから、ダビデ個人、またイスラエルの全体に対する神の大きなご計画が明かされています。それは、かつてアブラハムが神によって約束された祝福の延長になっているものです。アブラハムはかつて、「あなたを大いなる国民とし、あなたの名を大いなるものとする。あなたを呪うものをわたしが呪い、あなたによって地上のすべての民族は祝福される」という約束を与えられました。これと同じ、いやまさにこの約束がダビデに受け継がれるような形で、主が新たに約束を与えられているのです。
初めは、ダビデが大いなる名が与えられるということです。アブラハムに並び、ダビデほど世界中で名誉な名前はないほど、彼は偉大になりました。約束が実現されています。
17:9 わたしが、わたしの民イスラエルのために一つの場所を定め、民を住みつかせ、民がその所に住むなら、もはや民は恐れおののくことはない。不正な者たちも、初めのころのように、重ねて民を押えつけることはない。
アブラハムはかつて、「あなたに、この土地を与える」と言われて、カナン人の地を所有することを約束されましたが、今ダビデに対して、この土地に安心して住むことができるようになる。敵から脅かされることはなくなる、と約束されています。
17:10a それは、わたしが、わたしの民イスラエルの上にさばきつかさを任命したころのことである。
これは、士師記のときのことです。士師の時代、イスラエルはいつも周囲の敵に脅かされて生きていました。
17:10bわたしはあなたのすべての敵を屈服させる。わたしはあなたに告げる。『主があなたのために一つの家を建てる。』
ダビデに、これらの敵を屈服させるという約束を与えられています。そして、「主があなたのために一つの家を建てる」と約束されています。思い出してください、ダビデが主のために家を建てたいと願っていました。彼がそれだけ主を愛し、主をほめたたえる、祝福したいと願っていたからです。けれども主は、それをよしとされませんでした。主のために何かを行なうことよりも、その願いをはるかに越えて、主がご自分を愛する者たちのために祝福を注ぎたいと願われているのです。
私たちキリスト者に対しても、主は同じ考えを持っておられます。使徒ヨハネは、「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされました。(1ヨハネ4:10)」と言いました。私たちが主のために何かをすることが事の本質なのではなく、主が私たちのためにキリストにあって行なってくださったこと、それがエペソ書1章3節にあるように、天にあるあらゆる霊的祝福をもって祝福してくださった、ということ、そしてローマ4章にあるように、アブラハムの信仰にならう者すべてに注がれる、アブラハムと共に受ける祝福です。一方的に神が祝福しようと思って祝福してくださるのであり、私たちはただ主の前にひれ伏して、主の恵みに圧倒されて、主に応答し、従っていくしもべの身なのです。ですから、ダビデは主のために家を建てたい、と願ったのですが、そうではなく主が彼のために家を建てることをお考えになっていたのです。
17:11 あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちのもとに行くようになるなら、わたしは、あなたの息子の中から、あなたの世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。17:12 彼はわたしのために一つの家を建て、わたしはその王座をとこしえまでも堅く立てる。
主がお語りになっていた家とは、物理的な家ではなく王朝のことでした。ダビデ王朝がとこしえまでも続くという約束でした。それは彼の世継ぎの子によって実現します。むろん彼の息子ソロモンにその期待がかけられるのですが、それ以上に、かつてアブラハムに「あなたの子孫によって、祝福される」と約束されたように、メシヤ=キリストによって王国が確立される、と約束されているのです。
17:13 わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。わたしはわたしの恵みをあなたの先にいた者から取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。
「あなたの先にいた者」とは、サウルのことです。サウルは退けられましたが、同じように退けられることはない、と約束してくださっています。
17:14 わたしは、彼をわたしの家とわたしの王国の中に、とこしえまでも立たせる。彼の王座は、とこしえまでも堅く立つ。」
これがメシヤ預言、キリストの預言です。神の家にキリストが立ち、神の国の中にキリストが王として君臨されます。その王座は永遠に続きます。主がお生まれになった時、また、主が歩かれているときなぜ、人々が「ダビデの子」とこの方を呼んだかは、この約束に基づいているのです。
17:15 ナタンはこれらすべてのことばと、これらすべての幻とを、そのままダビデに告げた。
ここまでがナタンが主ご自身から受けた言葉と幻でした。それをダビデに告げます。
2B 付加できないほどの祝福 16−27
17:16 ダビデ王は行って、主の前に座し、そして言った。「神、主よ。私がいったい何者であり、私の家が何であるからというので、あなたはここまで私を導いてくださったのですか。
ダビデは今、天幕にある神の箱があるところにやって来て祈っています。
17:17 神よ。この私はあなたの御目には取るに足りない者でしたのに、あなたは、このしもべの家について、はるか先のことまで告げてくださいました。神、主よ。あなたは私を、高い者として見ておられます。
ダビデは気づいていました、これが自分の息子だけに関わることではなく、メシヤがでてくることを知りました。だから「はるか先のこと」と言っているのです。
17:18 このしもべに誉れを与えてくださったことについて、ダビデはこのうえあなたに向かって何をつけ加えることができましょう。あなたはこのしもべをよくご存じです。
「何を付け加えることができましょう」とのことですが、ダビデは戦士である王であるだけでなく、詩人でもありました。彼が書いた詩の多くが詩篇に載っていますが、よくもまあ、ここまで自分の神への気持ちを言葉にして書き表すことができたなあ、と感心します。しかし今、彼はそのような言葉を発することができないほど、圧倒されています。言葉では言い尽くせない驚き、畏怖の念です。
主が圧倒的な恵みをもって私たちに臨まれる時に、私たちは同じように深い祈りへと導かれます。人間の言葉で話せば、神への感謝と讃美に表れをかなり限定してしまうことになるほど深くなるときがあります。ジロラーモ・サヴォナローラという宗教改革者は、「祈りが究極に達すると、言葉は無意味なものとなる。」と言いました。
17:19 主よ。あなたは、このしもべのために、あなたのみこころのままに、この大いなることのすべてを行ない、この大いなることをすべて知らせてくださいました。
ダビデは先ほどから自分のことを「しもべ」と言い続けています。彼は神からの圧倒的な祝福を知って、高慢になるのではなく、かえってへりくだっています。そして神ご自身を次からほめたたえます。
17:20 主よ。私たちの耳にはいるすべてについて、あなたのような方はほかになく、あなたのほかに神はありません。17:21 また、地上のどの国民があなたの民イスラエルのようでしょう。神ご自身が来られて、この民を贖い、これをご自身の民となさいました。あなたがエジプトから贖い出してくださったあなたの民の前から、国々を追い払うという大いなる恐るべきことを行なって、名を得られるためでした。17:22 こうして、あなたの民イスラエルをとこしえまでもあなたの民とされました。主よ。あなたは彼らの神となられました。
主ご自身のことついて、また選ばれたイスラエルの民について話しています。置換神学を信じている人たちは、イスラエルがとこしえの神の民であるというところを度外視して、彼らはキリストを拒んだのであるから退けられたのであり、新しいイスラエルは教会なのだ、と言います。しかし教会が建てられた後に手紙を書いたパウロは、「彼ら(イスラエル)は、福音によれば、あなたがたのゆえに、神に敵対している者ですが、選びによれば、先祖たちのゆえに、愛されている者なのです。神の賜物と召命とは変わることはありません。(ローマ11:28‐29)」と言いました。
17:23 どうか、主よ。あなたが、このしもべとその家について約束されたことが、とこしえまでも真実をもって行なわれますように。あなたの約束どおりに行なってください。17:24 あなたの御名がとこしえまでも真実なものとされ、あがめられ、『イスラエルの神、万軍の主は、イスラエルの神。』と言われますように。あなたのしもべダビデの家が御前に堅く立ちますように。17:25 わが神よ。あなたは、このしもべの耳にはっきり、しもべのために家を建てようと言われました。それゆえ、このしもべは、御前に祈りえたのです。
ダビデは、こんな大胆な祈りが祈れるものか、と思いながら祈っていたことでしょう。けれども、それは神が約束してくださったから、その約束の通りになれますようにという祈りだからこそ祈れる、と言っています。
17:26 今、主よ。あなたこそ神であられます。あなたは、このしもべに、この良いことを約束してくださいました。17:27 今、あなたは、おぼしめしにより、あなたのしもべの家を祝福して、とこしえに御前に続くようにしてくださいました。主よ。あなたが、祝福してくださいました。それはとこしえに祝福されています。」
メッセージ題は、ここのダビデの言葉「良いことを約束してくださいました」から来ています。
2A 敵の屈服 18−20
そして18章から、ダビデが敵を屈服させていく記事が載っています。主がダビデに、「敵を屈服させ、民が安住できるようにする」と約束されたことが実現していきます。
1B 聖別する略奪品 18
18:1 その後、ダビデはペリシテ人を打って、これを屈服させ、ガテとそれに属する村落をペリシテ人の手から奪った。
ガテはペリシテ人の首都のような町です。前回、ダビデが王となったことを聞いたペリシテ人が急襲をしたけれども、二度も失敗したところを読みました。今度はダビデのほうが攻勢です。
18:2 彼がモアブを打ったとき、モアブはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。
モアブは、死海の東にある国です。彼らもイスラエルに従属するようになりました。
18:3 ダビデは、ツォバの王ハダデエゼルが、ユーフラテス川流域にその勢力を確保しようと出て来たとき、ハマテに出て、彼を打った。18:4 ダビデは、彼から戦車一千、騎兵七千、歩兵二万を取った。ダビデは、その戦車全部の馬の足の筋を切った。ただし、戦車の馬百頭を残した。
イスラエルのずっと北のほうの、ユーフラテス流域での戦いでダビデは勝利しました。これで、かつてアブラハムに主が約束された、「ユーフラテスからエジプトの川まで」という土地所有の約束に、一歩近づいた形となります。
18:5 ダマスコのアラムが、ツォバの王ハダデエゼルを助けに来たが、ダビデはアラムの二万二千人を打った。18:6 ダビデはダマスコのアラムに守備隊を置いた。アラムはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。こうして主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。
アラムとはシリヤのことです。ツォバの王の援軍に来たのですが、ダビデは逆にシリヤを自分たちに屈服させました。
18:7 ダビデはハダデエゼルの家来たちの持っていた金の丸い小盾を奪い取り、エルサレムに持ち帰った。18:8 ダビデは、ハダデエゼルの町ティブハテとクンから、非常に多くの青銅を奪い取った。これを用いて、ソロモンは青銅の海や柱、および青銅の器を作った。
ダビデは戦いに勝ったときに、その略奪品を神殿のための材料として集め始めました。ダビデは主に、「あなたはわたしのために家を建ててはならない」と命じられましたが、神殿を建てる準備はしてはならない、とは命じられていませんでした。そこで自分の子に神殿建設を託して、そのための材料をこのときから集めていたのです。
18:9 ハマテの王トウは、ダビデがツォバの王ハダデエゼルの全軍勢を打ち破ったことを聞いた。
18:10 そこで、その子ハドラムをダビデ王のもとにやって、安否を尋ねさせ、ダビデがハダデエゼルと戦ってこれを打ち破ったことについて、祝福のことばを述べさせた。ハダデエゼルがトウに戦いをいどんでいたからである。トウは金、銀、青銅のすべての器を贈り物とした。18:11 ダビデ王は、それをもまた、彼がすべての異邦の民、すなわちエドム、モアブ、アモン人、ペリシテ人、アマレクのところから運んで来た銀や金とともに、主に聖別してささげた。
ダビデは、ハマテのところまできてハダデエゼルに打ち勝ったのですが、ハマテには王がいてアハデエゼルによって虐げられていたようです。それでハマテの王は自らダビデに服しました。ダビデの子キリストに対しても、人間はどちらかを選ぶことができます。それは自ら服して、その祝福を受けるか、それとも敵対して滅ぼされるかのどちらかです。
そして、ハマテの王は金銀・青銅の贈り物をダビデに与えており、また他の屈服した異邦の民からも金や銀が与えられています。これらをダビデは主に聖別しました。
18:12 また、ツェルヤの子アブシャイは、塩の谷でエドム人一万八千を打ち殺した。18:13 彼はエドムに守備隊を置いた。こうして、エドムの全部がダビデのしもべとなった。このように主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。
アブシャイはダビデの部下の中でも勇士に数えられていた人です。死海の南東にいるエドム人を打ち負かしました。
18:14 ダビデはイスラエルの全部を治め、その民のすべての者に正しいさばきを行なった。
ここが大事ですね、彼がイスラエルの王となりえたのは、すべての者に正しいさばきを行なっていたからです。「正義」がその特徴でした。イザヤ書を読むと、来るべきメシヤは正義と平和をもって世界を統べ治めることが預言されています。武力でも富でもなく、正義が国を治める土台となるのです。
18:15 ツェルヤの子ヨアブは軍団長、アヒルデの子ヨシャパテは参議、18:16 アヒトブの子ツァドクとエブヤタルの子アビメレクは祭司、シャウシャは書記、18:17 エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の上に立つ者、ダビデの子らは王の側近の者であった。
国の閣僚たちの名です。
2B 降参 19
19:1aこの後、アモン人の王ナハシュが死に、その子が代わって王となった。19:2 ダビデは、「ナハシュの子ハヌンに真実を尽くそう。彼の父が私に真実を尽くしてくれたのだから。」と考えた。そこで、ダビデは使者を送って、彼の父の悔やみを言わせた。
アモンはモアブの北に位置する国です。ダビデはかつて、おそらくはサウルからの逃亡中にナハシュから親切にしてもらえたようです。そこでハナシュの死にさいして、悔やみの言葉を言わせるために使者を遣わしました。
19:1bダビデの家来たちがハヌンに悔やみを言うため、彼のもと、アモン人の地に来たとき、19:3 アモン人のつかさたちは、ハヌンに言った。「ダビデがあなたのもとに悔やみの使者をよこしたからといって、彼が父君を敬っているとでもお考えですか。この地を調べ、くつがえし、探るために、彼の家来たちがあなたのところに来たのではありませんか。」19:4 そこでハヌンはダビデの家来たちを捕え、彼らのひげをそり落とし、その衣を半分に切って腰のあたりまでにし、彼らを送り返した。19:5 人々が来て、ダビデにこの人たちのことを告げたので、彼は彼らを迎えに人をやった。この人たちが非常に恥じていたからである。王は言った。「あなたがたのひげが伸びるまで、エリコにとどまり、それから帰りなさい。」
ひげは、当時、男性のシンボルでありましたから、とてつもない屈辱をハヌンはダビデに与えたことになります。
19:6 アモン人は、自分たちがダビデの憎しみを買ったのを見て取った。そこでハヌンおよびアモン人は、銀一千タラントを送って、アラム・ナハライムとアラム・マアカとツォバとから戦車と騎兵を雇った。
アラムつまりシリヤは、ハダデエゼルがダビデを攻めたとき援軍に行きましたが、ここでもアモン人に雇われて、傭兵を遣わしています。
19:7 彼らは自分たちのもとに、戦車三万二千台とマアカの王とその軍勢を雇った。彼らは出て来て、メデバの前に陣を敷いた。アモン人も、彼らの町々から集まり、いくさに臨もうと出て来た。19:8 ダビデはこれを聞き、ヨアブと勇士たちの全軍を送った。19:9 アモン人は出て、町の入口に戦いの備えをした。共に来た王たちは、別に野にいた。19:10 ヨアブは、彼の前とうしろに戦いの前面があるのを見て、イスラエルの精鋭全員からさらに兵を選び、アラムに立ち向かう陣ぞなえをし、19:11 民の残りの者は彼の兄弟アブシャイの手に託して、アモン人に立ち向かう陣ぞなえをした。
挟み撃ちにされたので、ヨアブは、より強力だと思われるアラムの軍に自分が対抗し、アモンの軍はアビシャイに任せました。
19:12 ヨアブは言った。「もし、アラムが私より強ければ、おまえが私を救ってくれ。もし、アモン人がおまえより強かったら、私がおまえを救おう。19:13 強くあれ。われわれの民のため、われわれの神の町々のために全力を尽くそう。主はみこころにかなうことをされる。」
最善を尽くそう、けれどもすべては主に任せよう、という態度です。これは、私たちが試験を受けるとき、大会に出場したりするときなどに必要な態度ですね。
19:14 ヨアブと彼の部下の兵士たちが戦おうとしてアラムの前方に近づいたとき、アラムは彼の前から逃げた。19:15 アモン人はアラムが逃げるのを見て、彼らもまた、ヨアブの兄弟アブシャイの前から逃げて、町にはいり込んだ。そこでヨアブはエルサレムに帰った。
シリヤが逃げたので、アモン人も逃げました。
19:16 アラムは、自分たちがイスラエルに打ち負かされたのを見て、使いを送り、川向こうのアラムを連れ出した。ハダデエゼルの将軍ショファクが彼らを率いていた。
シリヤは、今度は傭兵としてではなく軍隊としてイスラエルを攻めてきました。
19:17 このことがダビデに報告された。すると、彼は全イスラエルを終結し、ヨルダン川を渡って、彼らのほうに進み、彼らに向かって陣ぞなえをした。ダビデはアラムに立ち向かうために戦いの備えをした。彼らは彼と戦った。19:18 アラムがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはアラムの戦車兵七千と歩兵四万をほふり、将軍ショファクを殺した。19:19 ハダデエゼルのしもべたちは、彼らがイスラエルに打ち負かされたのを見て、ダビデと和を講じ、彼のしもべとなった。アラムはそれからはもう、アモン人を救おうと思わなかった。
シリヤもアモンも、また先に戦ったハダデエゼルのしもべたちも、みなイスラエルに歯向かうことはなくなりました。
少し話はずれますが、このようなイスラエルの戦争の行ない方は現代でもそうです。彼らは領土拡張のために先制攻撃をしません。仲が良い関係にあるならばその関係を保ちますが、敵対する者たちに対して防衛戦を展開します。私たちの霊的生活でも同じことが言えます。主は、平和を造る者は幸いであると言われ、パウロも知っている限りの人たちとは平和を保ちなさい、と言いましたが、自分たちのキリストととの関係を脅かす敵の攻撃、つまり世から、自分の肉から、そして悪魔からの攻撃に対しては、毅然とした態度を取る必要があります。結果として、御霊が支配される領域が広がります。
3B 巨人の打倒 20
20:1 年が改まり、王たちが出陣するころ、ヨアブは軍勢を率いてアモン人の地を荒らし、さらに進んで、ラバを包囲した。ダビデはエルサレムにとどまっていた。ヨアブはラバを打ち、これを破壊した。20:2 ダビデが、彼らの王の冠をその頭から取ったとき、それは金一タラントの重さがあり、それには宝石がはめ込まれているのがわかった。その冠はダビデの頭に置かれた。彼はまた、その町から非常に多くの分捕り物を持って来た。20:3 彼はその町の人々を連れて来て、石のこぎりや、鉄のつるはしや斧を使う仕事につかせた。ダビデはアモン人のすべての町々に対して、このようにした。こうして、ダビデと民のすべてはエルサレムに帰った。
一節にある「年が改まるころ」というのは春の季節です。雨季が終わるころ、戦争の季節になります。ヨアブたちは、敵対するアモン人たちに最後の一撃を与えるためにその首都ラマに行って、攻略させました。そしてアモン人を奴隷化しました。こうして敵を征圧しています。
ところで、ちょうどこの時期にダビデはバテ・シェバとの姦淫の罪を犯しました。自分は戦争に行かずに、夕方まで宮殿で眠りこけていたのです。しかし歴代誌の著者はこのことは一切書いていません。これは以前に話しましたが、歴代誌の目的は、神がユダ国とダビデに対して、どのような恵みと計画を与えておられるかを知ることによって、帰還後のユダヤ人が将来と希望を持つことです。ダビデは罪を犯しましたが、その罪を悔い改め、神は彼の罪を赦されました。神にあっては、ダビデには罪を見いだされることはなかったのです。
ここが、信じられないほどすごいことです。キリストにあって、神は私たちに罪を認められないのです。失敗すれば、もちろんダビデのように刈り取りをします。しかし、神の目からは義人として認められており、咎められることはもはやないのです。(しかし、ダビデが犯したもう一つの罪については、次の章で詳しく取り上げています。これは、神殿を建てる場所の経緯を知る上で大切な出来事だからです。)
20:4 その後、ゲゼルでペリシテ人との戦いが起こり、そのとき、フシャ人シベカイは、ラファの子孫のひとりシパイを打ち殺した。こうして、彼らは征服された。
18章の初めはペリシテ人との戦いでしたが、周囲の敵との戦いの最後は同じくペリシテ人で締めくくられています。
20:5 またペリシテ人との戦いがあったとき、ヤイルの子エルハナンは、ガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを打ち殺した。ラフミの槍の柄は、機織りの巻き棒のようであった。20:6 さらに、ガテで戦いがあったとき、そこに、指が六本ずつ、二十四本ある背の高い男がいた。彼もまたラファの子孫であった。20:7 彼はイスラエルをそしったが、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺した。20:8 これらはガテのラファの子孫で、ダビデとその家来たちの手にかかって倒れた。
ラファの子孫は、ゴリヤテのように巨人でした。思い出してください、イスラエルが約束の地に入ることができなかった、その原因となったのは彼らが先住の巨人を恐れたからでした。けれども今、約束の地にいて、これらの巨人をも制圧しています。神の約束がこのような形で実現しています。
今日はここで終わりにしますが、神が敵を屈服させるという約束はことごとく成就していきました。神も同じように、ご自分がそうするとおっしゃられたことは必ず成し遂げてくださいます。私たちはまず、神の約束を知る必要があります。具体的に、自分の生活の中で神のみこころを知るのです。そして、神の召し、呼びかけに対して自分が応答して、それに向かって前進するのです。主は必ず、約束を実現するにあたって障壁となっているように思われるものを、みな取り除いてくださいます。自分たちが主のためにできること、ではなく、主が私たちのために用意されている良いものが実現していくのです。
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