エジプト旅行記その1 − ホテル事情

 ガイドブックによると五つ星ホテル以外は、あまり星の数は関係ないということだったので、主人はペンション系の安宿を予約した。安宿と言われたので、石鹸ぐらいはあってもシャンプーまでは無いだろうと思い、以前にホテルで泊まったときにもらってきたシャンプーを3つ旅行鞄に入れて出かけた。

 ところが、いきなり経由地の仁川空港で主人が突如、安宿には石鹸がない、と言い始めて・・・家にいくらでも小さい石鹸はあったのに、何でいまさら・・・。それで仕方なく、石鹸を求めて仁川空港をさまよう羽目に。やっと5ドルの竹塩石鹸のサンプルをゲットした時には、搭乗時間に。しかし、10数時間後に、この買い物は正しかったことが判明するのである。

 カイロ空港に降り立って、お迎えのタクシー(ハイヤー)の運転手を見つけてほっとしたのもつかの間。乗ったタクシーはかなりボロイ。かなり暑いのにもかかわらず、エアコンは無かった。空港からホテル(安宿)まで20分ちょっと行ったところに、一応看板はあるものの・・・。窓ガラスは割れて、お化け屋敷をちょっと良くした程度。エレベーターは使うと危険なので使わないようにとの張り紙。5階まで荷物を持って上りました。その間運転手は手伝おうとしない。おそらく手伝ってもらったらたんまりチップを要求されたであろうというのは想像に難くないが。

 宿屋の主人に紅茶を勧められ、夜の10時を過ぎていたのにもかかわらず、紅茶を飲んで、部屋を見せられて、「きれいですね。いいですか。」と日本語で言われたが(ちなみに、この安宿の売りは、宿屋の主人が日本語を話せるということ)、う〜ん。答えに困った。お世辞にも、きれいとは言えないが、汚いとも言えない。黙って、スマイル。天井に扇風機が付いていて、宿屋の主人が扇風機を回してくれたが、暑いのに風量があまり無い。宿屋の主人がいなくなると、すかさず主人は、私がいじらないほうが良いと言う忠告を無視して、風量設定を変更。途端に、物凄い騒音。強風に設定しようものなら、天井から落っこちそうな勢いだった。

 宿屋の主人の説明は、「ここは、24時間お湯が出ます。」とかなり誇らしげ。不潔ともいえないが決して清潔とも言えない。野郎二人の経営なので、ムサイ感じは否めない。(後にエルサレムでは、男性二人が経営するペンションに泊まることになるのだが、その小奇麗さと比べると・・・いや、比べてはいけないのかもしれない。)日本のトイレの幅と同じで長さだけを少し長くした感じの狭いところが、トイレ兼シャワールーム。もう一つもっと広いバスルームがあったが、別の客が使っていた。安宿は、シャンプーはもちろんのこと、石鹸だけでなく、タオルもトイレットペーパーも無かった。以前にいた日本人の人が残していったであろう、ポケットティッシュの使いさしが、トイレの水タンクの上にさみしそうに置かれていた。

 やっと、くたびれ果てて、寝る段になって・・・。布団を干していないようだ。布団がしけり気味。掛け布団をかぶらなくても寝冷えの心配もなさそうだったので、ややしけった布団は、無視して掛け布団をかぶらず、そのままその上で寝た。

 次の日の朝食。昨日の晩と同じあの紅茶とパン(ジャム)、ゆで卵、チーズ。他の客の分もいっぺんに出てきた。うち一つを取り上げると、パンに虫の死骸らしきものが付着している。ぎょっとして、虫のないお皿を取り上げて、食べ始めると、別の泊り客が来て、さっきの虫パンの皿を取り上げた。そこで、虫パンであることの注意をした。前泊した客のようで、上手に主人にお願いして、別のパンに取り替えてもらったようだ。次の朝もこの全く同じメニューを食べることとなった。

 ピラミッドを見ようと、安宿の玄関を出て、一階下ると、そこには犬か何か動物に漁られた後のゴミ袋と散乱したごみを発見。なんだか私たちの知っているどこかの国にそっくり!人の気質が明るいだけ違うが、後はあんまり変わらない。ちなみに、町はどこもかしこもごみだらけ。そこも全く同じ。もしかして、地球上できれいな国は日本しかないのかもしれないと、はたと考え込んでしまった。