エジプト旅行記その4 − 食べ物事情


 気になっていた長距離バスチケットを無事購入して一息ついたところで、博物館めぐりをする前にまず腹ごしらえをしようということになった。

 ガイドブックに安くておいしい庶民のたべもの「コシャリ」との説明があり、シェラトンホテルからそう遠くないガイドブックお薦めの店へ向かった。

 その店に行くには、ガイドブックの地図によると、ナイル川にかかる橋を渡って、それからさらに5分ほど歩けば、全行程徒歩20分程度に見えた。「暑いよ〜、一駅でも地下鉄で行こうよ。」という主人を尻目に、20分ぐらい歩けなくてどうする、と叱咤激励して歩くことに。実は後で、地下鉄もなかなか曲者であることが判明するのだが、ともかく暑い中歩いて店に向かった。

 すると、ホテルを出て間もない場所で、いきなり見知らぬ人から、「君たちエジプトが怖いところだと思っているんだろう。そんなことはないよ。僕は、このホテルの従業員だ。」と話しかけられた。これって何?とにかく、かまわないでくださいと、どんどん離れていくと、奴さんもあきらめたようだ。しかし、ホテルの従業員って?しばらくして振り返ると、奴さん、ホテルとは反対方向に歩きながら、携帯電話で話している。いったい何者?目的は?物乞いだったのか、暑さで頭がおかしくなった人なのか、正体不明の人物でした。

 何せ道がごちゃごちゃしているので、なかなかお目当てのお店が見つからない。さらに20分ほどうろうろして、ようやくお目当てのお店が見つかった。

 なかなかこぎれいだし、エアコンも効いている。「コシャリ」の中サイズは一つ5エジプトポンド。お水はいくらと尋ねると、2.5エジプトポンドとのこと。ガイドブックによると、水一本買うのにも交渉が必要などと書いてあったが、ガイドブックでは交渉しても2エジプトポンド、高いと3エジプトポンドとあったので、レストランでこの値段ならもういいやと言い値で購入。

 水についてはガイドブックで、エジプトの水が日本の水より硬度が高くおなかを壊す日本人もいると書いてあった。エジプトには、夜遅く到着する予定だったので、水を買う暇もないし、そんなに遅くにうろうろしたくないと思い、日本から1.5リットルの水と500mlのスポーツドリンクを持ってきていたのであった。しかし、あまりの暑さに冷たい水を見て生唾が・・・。「コシャリ」が、薄味に慣れた我々の舌には塩辛く感じたことも手伝い、レストランの中で二人で1.5リットルのボトルをほとんどあけてしまったのであった。その後もさらにまたもう一本買い、一日で3リットルを飲んだが、おなかを壊すことはなかった。感謝。

 「コシャリ」。決して激ウマとは言えぬまでも、おいしく食べられる。米とマカロニもどきと、豆などもろもろは入っているが、炭水化物の塊。しかもかなり油っぽい。辛いソースとレモン汁をかけて食べるそうだが、辛いソースはパスして、レモン汁なるもの(どうみてもレモン汁には見えない)をかけてみた。少し油っぽさが抑えられて、かけた方がおいしい感じ。ただし、この食べ物かなりおなかに重かった。

 結局いくつかの事情からエジプトで食べた食事は、安宿で出た朝食以外は、「コシャリ」のみになるのである。とにかく、われわれの命をつないでくれた大切な食事であった。「コシャリ」万歳!

 ちなみに、なぜコシャリしか食べなかったか、その理由は・・・。この後、いろいろめぐった後、疲れ果てて午後3時過ぎに安宿に戻った後、爆睡。夜の8時ごろ目が覚めるも外出の元気はなく、しかも言葉も分からぬのに、主人にお持ち帰りの食事を探してもらうわけにもいかず、安宿から徒歩圏内の同じ店の「コシャリ」を食べることになったわけだ。