エジプト旅行記その5 − 博物館事情その@考古学博物館
腹ごしらえも済み、午後は涼みがてら博物館めぐりを決め込んだ。ピラミッドはかなり暑くなりそうなことは簡単に想像できたので、午後はエアコンのきいた博物館でゆっくりとエジプトの歴史を堪能しようと考えた。しかしそんな考えは大変甘かった。
ツタンカーメンの埋葬品も展示してある有名なエジプト考古学博物館は徒歩圏内。そこで、考古学博物館へ向かう。博物館自体は大きいのでどこに有るかすぐに分かるが、そこへ行く横断歩道がない。車どおりの多い車道を渡ろうときょろきょろしている我々に警官が声をかけた。「博物館に行くの?」我々が大きくうなずくと、その警官、車に向かって合図して、我々を博物館までエスコート。えらく親切な警官だとの感激が覚めやらぬうち、その警官の持ち場が、博物館だったことに気づく。
ちょうどお昼の12時を過ぎたところ。太陽はさらにガンガンに照りつける。博物館の周りはとんでもない人だかり。その人たちも我々と同じように、避暑のために博物館に入ろうとしているのだろう。人の流れをかき分け、かき分けして、ようやく中に入ったときには、ぐったり。10メートルもいかぬうちに、階段を腰掛代わりに休憩している一群を見つけ、その仲間入り。気持ちが良く分かります。休みながら気づいたのは、博物館にエアコンがないこと。巨大なファン(扇風機)はあっても、涼しい風は吹いてこない。人間も多い。これ以上休んでもどうにもならないことが分かって、腰を上げた。
物凄い量の展示物。一応時代別に、昔のものから年代順にざっくり並べられているが、説明がほとんどない。何を見ているのかわからぬまま、とりあえず展示物を見ながら自分たちなりの解釈をしていくうちにだんだん、自分たちが博物館の中にいるのか、骨董品の倉庫の中にいるのか、わけが分からなくなっていく。遺跡発掘で見つかったものをとりあえず収納したとしか思えない。しかし、それでいて、さりげなく番号がふってあるので、やっぱり何らかの分類はされているのだろうが、素人にはちんぷんかんぷん。さらに建物の上へ行けば行くほど気温も上がる。歴史好きの私も最後はもうどっちでもよくなってしまった。
数千年にわたる歴史を見たはずなのだが、力があまりないときは、展示物のサイズが小さく、力が大きかったであろうときは、展示物のサイズが大きい。内容や質に目立った変化を感じることはできない。(無論専門家が見れば大きな差があるのでしょうが。)そして、ギリシャやローマに合併吸収されていく過程では、それらの影響を受けて、エジプトらしさを失う。かつては偉大な国で一台文明が築かれ、技術も進んでいたのかもしれないが、発展性をみることはできなかった。それがこの博物館をまわったあとの我々の感想だ。そして、エアコンぐらいつけて欲しい。入館料は欧米に比べても、決して安くないのだから。