エジプト旅行記その6 − 地下鉄事情

 エアコンもないタクシーにぼられるくらいなら、涼しい地下鉄の方がずっと快適だろうと、次の博物館への移動手段は地下鉄にした。ガイドブックによると、どこまで乗っても1エジプトポンド(約20円)はうれしい値段。

 地下鉄のホームにたどり着くと、地上よりは地下のほうが涼しいだろうとの期待は完全に裏切られた。いくらなんでも、地下鉄の車両にならにエアコンが入っているだろうと思ったが、そんな期待はしないほうがよかった。もしかすると、この国には公共の場所にはエアコンを入れない規則でもあるのかもしれない。サウナより暑い地下鉄に乗る羽目に。地下を走行するのだろうと思ったら、地上へ。さらに暑い。しかも、向かいの座席には暑苦しい格好のアラブ女性が子連れで座っている上から下まで黒尽くめ。手袋までも黒。くっきりした目だけが女性の識別子だ(例えば、ココ)。創世記29章17節に「レアの目は弱々しかったが、ラケルは姿も顔立ちも美しかった。」と書かれているが、無論アラブ人とへブル人という差はあるものの、女性の目が当時大切なチャームポイントだったことがうかがえるワンシーンだった。

 その女性、手袋のままお菓子をちぎって子どもに与えたり、自分が食べるときも顔の覆いの下のすき間からお菓子を食べているのを見て、熱中症になったりしないのかと、心配になった。衣のすそに目をやって、さらにびっくりだったのは、黒い服の下に、ジーンズを履いていたこと。

 隣に座ったメタボ系のおじさんの体温と汗を感じることができる地下鉄。この国で、夏に地下鉄に乗るには、高温サウナが好きな人だけにしたほうがよさそうだ。